フォビドゥンフォレスト2話「バケグモ大進撃」 エピローグ 「帰還」 (前半)

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「フォビドゥンフォレスト2話「バケグモ大進撃」 #21 「回収」」をトゥギャりました。 togetter.com/li/1049358

2016-11-17 01:49:49
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フォビドゥンフォレスト2話「バケグモ大進撃」 エピローグ 「帰還」 実況・感想タグ: #禁森実況

2016-11-17 21:31:05
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(前回のあらすじ:敵を倒した俺達は、死体から寄生虫型の妖怪を発見した。これがバケグモを合体させた原因だろう。回収して帰ろうとしたが、俺は並列思考と予知の反動からか意識を失っちまった。恵里の胸へ倒れこんだらしいが全く覚えてねえ。なんであと数秒間意識を保てなかった!…俺の馬鹿野郎!)

2016-11-17 21:33:25
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白い天幕。僚勇会施設近くに設けられた長方形型テントの入口。内側は石油ストーブで暖められ、簡易ベットに5人が寝かされ、点滴などの治療処置を受けている。生存者のうち衰弱の激しい4人と、片桐春夏である。数人が交代で付き添う。天幕の向こうでは帰還の儀が行われているところだ。 1

2016-11-17 21:39:14
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重症者はすぐにでも設備の整った施設で治療させたいが、まずは障気を払い落とさねばかえって命が危ない。特に今回の場合、妖怪に寄生を受けている可能性もあるのだ。距離はあるが、天幕越しでも禊の効果はある。点滴を受けながら祝詞の奏上を聞き、礼や拍手は付添人が代わる。 2

2016-11-17 21:47:43
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穢を払う禊に続いて犠牲者と妖怪への鎮魂の祈りを捧げ、儀式が終わる。最前列の他の生存者達から順に本部施設へと移動していく。彼らは手当と聞き取り調査の後、記憶を操作・封印されてからそれぞれの家へ帰されることになる。今回は人数が多い為、数日を要するかも知れなかった。 3

2016-11-17 21:57:02
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殆どの人が去ると、僚勇会スタッフの数人が儀式場の奥から天幕内に神饌台を運んでくる。小さい篝火もだ。今の15分ほどの儀式で一応終了だが、距離があった上に重症である天幕内の彼らの為に追加で3分弱行う。衰弱の原因が寄生によるという可能性を現時点では否定出来ないためでもある。 4

2016-11-17 22:02:21
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本来なら彼等も最前列に出せば早かったが、火があるとはいえ衰弱している者を寒空の下に出す訳にもいかないし、隊員と生存者を合わせて60人以上が一度に入れるテントも無い。重症者とはいえ命の危険は脱している。やや二度手間だが、総合的に考えるとこのほうが早いのだ。 5

2016-11-17 22:06:29
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片桐に付き添っていた恵里は、天幕に入ってきた瑠梨と目が合った。思わず口を開きかけたが、目線で制され、姿勢を正す。瑠梨は円の補佐の元、前口上部分を省いた略式の儀式を行う。読み上げる祝詞は、現代語で言えば「この者達は重症なので特に念入りにご加護をお願いします」という内容だった。 6

2016-11-17 22:14:21
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瑠梨が一人一人の間で幣を振り、それぞれ付き添う者が礼と拍手を代行する。横たわる者の口に、円が酒の代わりの蒸留水を少しづつ更から匙で取って含ませる。医術的な効果は何もないが、重症者達の表情が楽になったように見えた。最後に片桐にも淀み無く同じことをして、略式の儀式は終わった。 7

2016-11-17 22:23:19
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重症者達が次々にストレッチャーで運び出されていく。 「瑠梨ちゃん、お片付けは私達がやっておくから春夏くんを運んで上げたら?」「え、でも」 円の提案に戸惑う瑠梨を後押しする様に、周りの隊員達が率先して道具を運び出しながら目配せしてくる。更には恵里も目線で来い、と促している。 8

2016-11-17 22:34:01
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瑠梨は少し考えてから応えた。 「…分かりました。後はお願いします」 「ええ。また明日ね」 円は神具を箱にしまいながら微笑む。 「じゃあ瑠梨、後ろ支えて」 「うん」 瑠梨は早歩きで恵里達の元へ急ぐ。恵里は既に一人で片桐をストレッチャーに降ろしていた。 9

2016-11-17 22:51:46
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支えると言っても、こうなると瑠梨のやることは実際無い。この台は半自動走行で動くので、一人付き添えば十分であるし、緊急時は無人でも問題ない程だ。瑠梨は一応、脚側に手を置いた。恵里の先導の元、倉庫に偽装したエレベータへと入る。重症者は先に運んでしまったので3人だけになる。 10

2016-11-17 22:59:36
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「瑠梨…ありがとね」 「神託のこと?…私は見たことを伝えただけだから…」 「それと…ゴメン」 「どちらかと言ったら…私のせいだよ。未来を選べって、はる君を焚き付けちゃってたかも」 「それなら、ハルのせいよ。自分で選んで無理したんだから。それか…やっぱり私のせい」 11

2016-11-17 23:14:41
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「恵里ちゃんは凄い頑張ってるよ…一人で親グモ20匹以上…子グモも入れたら70匹は倒したんでしょ?…え、70?…いや頑張り過ぎでしょ…?」 「瑠梨ほどじゃないわよ…」 「いやいやいや……。私は、肝心な時に何も出来てないから」 「…怒るわよ」 「ゴメン」 「謝らないの」 12

2016-11-17 23:23:06
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医務室の階に着いた。瑠梨が開ボタンを押し恵里が台を先導する。 「私、はる君や…皆の負担にならないようにもっと頑張るからね」 「何言ってるの。アンタを頑張らせない為に私達がいるんでしょ!私こそもっと頑張るから!」 「いや、だから恵里ちゃんはもう充分じゃないかなぁ…」 13

2016-11-17 23:35:21
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フォビドゥンフォレスト2話「バケグモ大進撃」 エピローグ 「帰還」 続き 実況・感想タグ: #禁森実況

2016-11-20 23:03:05
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(戦闘時の脳への過負荷からか倒れてしまった片桐は、帰還の儀を終えた瑠梨と恵里によって地下の医務室へと運び込まれた…)

2016-11-20 23:05:46
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白い天井。妙に寝心地の良いベッド。俺の基地でも家でもねぇ。体に電極パッドが付いて心電図の機械に繋がってる…病室…いや僚勇会の医務室か。ベット横の時計は、火曜の…15時半。確か寄生虫を引き摺り出したところまでは覚えてる。あれが3時半ぐらいだから…丸半日は寝てた計算か。 14

2016-11-20 23:25:51
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寝過ぎて頭が痛てぇ、と思ったが、ゆっくり深呼吸をして体を伸ばすと、むしろさっぱりしてる。部屋の中は静かだ。部屋の中にもう一つあるベッドは無人で、医療スタッフもいねぇ。機械はデカいのがいくつかあるが俺の近くのしか動いてねぇし、慣れりゃ静かなもんだ。隣の部屋の声が聞こえてくる。 15

2016-11-20 23:32:33
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隣の部屋は確か応接室だ。つい内容に耳を済ます。この声は…俺の親と篠森のおっさんだ。おっさんは僚勇会のリーダーだ。曾祖父さん辺りが、風科の討ち手をまとめて僚勇会を作ったのを代々引き継いでる。数年前から部下に直接の指揮や運営を預けて政治の世界に入り、今は市長をしてる。 16

2016-11-20 23:38:07
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おっさんは俺が倒れたことを謝って経過を報告し、俺の親が「頭を上げてください、いいんですよ」とか言ってる。所々聞き取れねぇが大体そんな感じだ。俺の命に別状はねぇらしい。それより助けた連中と恵里達はどうなった。あとウチのクワガタ達だ…っと俺の親が「同僚の様子」を聞いたぞ。 17

2016-11-20 23:44:37