茂木健一郎氏 @kenichiromogi 第1950回【夏目漱石だったら、TOEICなんて受けないよね】連続ツイート

茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート１９５０回をお送りします。文章はその場で即興で書いています。本日は、感想です。

茂木健一郎 @kenichiromogi

私は、TOEICの意味がわからない、と以前から申し上げているけれども、どういうところが意味がわからないのか、ということを今朝は改めてclarificationしたいと思う。もちろん、これは個人的な見解で、TOEICを受けたい、使いたいという人がいるのは仕方がない。

茂木健一郎 @kenichiromogi

TOEICのsample questionを見て驚くのは、その無味乾燥、知的負荷の低さである。TOEICの記述を見ると、日常生活や国際ビジネスに用いる英語力を測るなどと述べられているが、その「国際ビジネス」とは、一体、どのようなものだと思っているのだろう？

茂木健一郎 @kenichiromogi

Financial Timesはぼくの大好きな新聞で、おそらく国際ビジネスというと代表的な新聞の一つなのだろうが、経済、政治の分析はもちろん、文学や美術についても、きわめて高度な評論を載せる。英文も、当然のことながら面白い。夢中になって読むこともある。

茂木健一郎 @kenichiromogi

比較して、TOEICの英文は、人をバカにしたような内容のものが多い。知的負荷が低すぎるのである。教養が要らない。そのような英語が、日常的には重要なのである、という主張なのだろうが、私は極めて疑問だと思っている。TOEICなんかに拘泥していると、結局二流の話者にしかならない。

茂木健一郎 @kenichiromogi

TEDの会場で行われているトークや議論を見ても、あるいは、ビジネスのトップの方との話を振り返っても、国際ビジネスで必要とされるのは圧倒的な教養力であり、dumbing downした内容のTOEICで、一体何が測られるのか、ぼくには全くわからない。

茂木健一郎 @kenichiromogi

そもそも、誰かを採用したり、海外に派遣する人を選ぶ時に、TOEICのスコアを参照するという日本の企業（の一部）にあるらしい習慣が全くわからない。誰かの英語力なんて、５分か１０分面接すればわかるし、必要ならば英語を書かせればいいし、それで十分だと考える。

茂木健一郎 @kenichiromogi

TOEICという謎のテストが隆盛しているのは、日本の企業の方の英語力が平均して低いということと、標準化、お墨付きを好む日本人のメンタリティが結びついた特殊状況でしかなく、TOEICのために勉強するなどという事態は、英語力の教養という意味においては、nightmareでしかない。

茂木健一郎 @kenichiromogi

英語を勉強したいんだったら、例えばbbc radio 4　bbc.co.uk/radio4　を聞き流していることをおすすめする。知的な負荷という意味でも、教養という意味でも、申し分のないインプットが得られる。国際ビジネスでも、もちろん、役に立つ。

茂木健一郎 @kenichiromogi

夏目漱石は圧倒的な英語力のあった人だが、TOEICを受けるなんてことは全く考えられない。TOEICは英語圏の文化、教養の広がりというものを「馬鹿化」したものに過ぎず、そんなものに社会的資源が注がれているということは、日本の大学などの知的劣化の表れであるとしか、私には思えない。

茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート１９５０回「夏目漱石だったら、TOEICなんて受けないよね」をテーマに、９つのツイートをお届けしました。

茂木健一郎 @kenichiromogi

夏目漱石だったら、TOEICなんて受けないよね lineblog.me/mogikenichiro/… pic.twitter.com/69QruvRFeK

拡大