ストーム・イナ・ユノミ #1

ネオサイタマ電脳IRC空間 http://ninjaheads.hatenablog.jp/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867
1
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーが振り向きざまに繰り出した拳が、トラップマスターの顔面を捉えた。「グワーッ!」トラップマスターのアンブッシュは失敗し、背中から床に叩きつけられた。彼は受け身を取って後転、起き上がりながらクナイを投げた。ニンジャスレイヤーはブレーサーで弾き返す。22

2016-12-24 15:48:56
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「サツガイという男を知っているか」ツカツカと歩み寄りながらニンジャスレイヤーは問うた。トラップマスターは後ずさった。「サツガイだと……?」彼は眉根を寄せた。眉間を汗がしたたり落ちる。「サツガイに何の用がある」「殺す」「イヤーッ!」クナイ再投擲! 23

2016-12-24 15:51:46
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャスレイヤーは床スレスレまで身を沈め、急接近する。トラップマスターは泡を食って連続でバック転し、背後の壁に体当たりした。ドオン!衝突音と共に、トラップマスターの姿が……消えた。「何……!?」ニンジャスレイヤーは駆け寄り、壁に触れた。反射的に壁を殴りつけた。強固な鉄壁だ。24

2016-12-24 15:56:30
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ガコン!左手通路の闇の奥で音が鳴った。ニンジャスレイヤーのニンジャ第六感が危機を報せる。「イヤーッ!」素早くブリッジした彼のすぐ上をマシンガンの火線が走り抜けた。BRATATATATATA!「クソッ……!」彼は腹ばいになり、素早く匍匐前進した。 25

2016-12-24 16:04:11
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

BRATATA…TATA…KBAM!投擲スリケンで突き当りの機関砲を沈黙させたのち、彼は注意深く身を起こす。視線を感じる。奴がいる。ごく近くに。警戒を続けながら廊下を進む。やがて黒塗りのフスマが現れた。脳内地図からするに、他に未踏破の部屋は無い。躊躇わず引き開ける。ターン! 26

2016-12-24 16:07:28
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「バカな……行き止まりだと……?」ニンジャスレイヤーが足を踏み入れたのは、タタミ敷きの四角い小部屋であった。それはシュギ・ジキと呼ばれるパターンで、十二枚のタタミから構成されている。四方は壁であり、それぞれには象、ダルマ、タコ、宝船の見事な墨絵が描かれていた。 27

2016-12-24 16:09:57
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

もはや先へ進むためのフスマは見当たらない。では、トラップマスターはどこへ消えたのか。「無駄だ、トラップマスター=サン……!」この謎を解くべく、ニンジャスレイヤーは右手にスリケンを握り、物音ひとつ立てぬ精緻な足運びで、部屋の中心部へと進んでいった。額の汗を右手の甲で拭った。28

2016-12-24 16:13:05
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャスレイヤーはついに部屋の中央へと達する。そして……やおら、手にしたものを頭上に投げつけた!「イヤーッ!」KRAAASH!手を離れて飛んだのは、黒く焼けるフックロープだ!鋼の鉤爪が天井を裂いた。彼は力任せにロープを下へ引いた!「イヤーッ!」KRAAASH!「グワーッ!」29

2016-12-24 16:18:21
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

天井材がメキメキと裂けながら剥がれ、手負いのニンジャが落下してきた。ニンジャスレイヤーは逃れようとするトラップマスターに踵落しを繰り出した。「イヤーッ!」「グワーッ!」そのまま踏みにじった。「グワーッ!」「グワーッ!」「無駄だと言ったはずだ……おれにはお前の存在がわかる!」30

2016-12-24 16:19:43
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(((愚かなり……カラテ足らずをジツに頼り、くだらぬ手管を巡らせた事を後悔させてやるがいい!マスラダ!)))ニューロンの奥底でナラクが嘲笑った。「イヤーッ!」「グワーッ!」「サツガイについて……サンズ・オブ・ケオスについて、何を知っている……話せ、トラップマスター=サン!」31

2016-12-24 16:28:18
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

彼女は改装途中で放棄された雑居ビルの鉄骨に寄りかかり、向かいの廃セントーを観察していた。何の変哲もない廃墟。少なくとも地上部分は。しかし彼女は辛抱強く待った。彼女は何者であろう?ダスターコートを身に着け、帽子をかぶっている。コートの肩はパディングで補強され、何故か傷だらけだ。33

2016-12-24 16:33:16
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

風が強く吹き、コートの裾をはためかせる。彼女は顔をしかめた。歳は二十頃。だが奇妙なアトモスフィアがあった。わかるものにはわかる奇妙さが。やがて灰色の空を横切って黒い影がまっすぐに飛び来たり、肩に爪を立てて止まった。それは三本足のカラスだった。 34

2016-12-24 16:35:58
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ほぼ時を同じくして、セントーのノレンをくぐって現れた者があった。彼女の追跡対象である。ついに、掴んだ。私立探偵シキベ・タカコは、セントー地下迷宮に潜むトラップマスターを仕留めて帰還したニンジャスレイヤーを見下ろした。三本足のカラスが、促すようにゲーゲーと鳴いた。 35

2016-12-24 16:38:26