dy/dxを分数だと見なさないのはトンデモでは無いから

元まとめに追記されていなかったので。なお、後半に前野氏と黒木氏のコメントを追記してあります。
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前野[いろもの物理学者]昌弘 @irobutsu

一応、「分数じゃないが、分数じゃないからと言って分母を払う計算をあきらめなくてはいけないものではない」という言い方にしておりますので、 @kururu_goedel さんのおっしゃることとそう違いはないと思うのですが。

2016-12-30 15:06:42
くるる @kururu_goedel

@irobutsu それなら授業で言っていることは全く変わりません(笑)。なんか微分を分数として教えないのはバカだとかトンデモだとか微分をわかってないだとか言われている気がしたので、自己弁護してたのですが、杞憂なら良かったです。なお物理で細かいことを無視するのも気にしません。

2016-12-30 15:21:01
前野[いろもの物理学者]昌弘 @irobutsu

@kururu_goedel 私は「分数じゃない」と言い過ぎるのも、分数と同じ感覚で計算しちゃうのも、どっちもまずいと思ってます。で、私の眼の前にいる学生はどっちかつーと「分数じゃない」と思い込みすぎて手が止まる子が多いので、ああいう発言になるわけです。

2016-12-30 15:25:17

数学者なのでDifferential formは知っているけれども、微分形式は知らないというありがちな問題な気がしなくもないのですが、追記:

黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

twitter.com/kururu_goedel/… ∫_a^b f(x)dxを【そういう気分で定義されたひとまとまりの記号】と個人的に見るのは自由だと思いますが、理工系の授業でそのように教えることは個人的にはよろしくないと思う。∫_a^b と f(x)dx は分離可能で問題無し。続く

2016-12-30 15:50:01
くるる @kururu_goedel

twitter.com/genkuroki/stat… ご意見はわかりましたが、私は「そういう気分で定義されたひとまとまりの記号」と見ます。だから、ここに黒木さんが書いたとおりの解釈を述べた上で、単なるひとまとまりの記号として定義します。

2016-12-30 15:11:31
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

続き。一般理工系ではなく、純粋数学の学科の学生相手であっても、どうせ進んだ数学を勉強すれば ∫_a^bとf(x)dx は分離可能で問題無しとなるわけだし、∫_a^b f(x)dxを「ひとまとまりの記号」を教えることにメリットはないと思う。もちろん個人でそう思う自由はある。

2016-12-30 15:52:25
くるる @kururu_goedel

@genkuroki ごめんなさい、不勉強なので、∫_a^b とf(x)dxが分離可能で問題なしというのがわかりません。何を見れば(読めば)わかりますか?

2016-12-30 16:39:06
結城浩 @hyuki

@kururu_goedel ちなみに「かっこ、かっことじ」という表現については納得なさったのでしょうか(私もよくわかってなかったのでお聞きしています)。

2016-12-30 15:51:58
くるる @kururu_goedel

@hyuki 表現というか思想の違いかなということで納得しかけたのですが、微分形式がわかってないので twitter.com/genkuroki/stat… で黒木さんがおっしゃられていることがわからないので保留します。

2016-12-30 16:54:06

偏微分まで拡張されている黒木氏の微分形式の説明:

黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

【チェインルールあたりで完全に分数扱いして、偏微分入ったあたりで全滅して、熱力学で訳分からなくなるのが定番コース】というのは表記レベルで単純に分数だと思ってはいけないという話にするなら問題無し。しかし、適切に分数だとみなせば問題ないという点にも触れないとまずい。続く

2017-01-02 09:55:42
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

続き。一つ前のツイートは添付画像の件。あんこれさんがダメなまとめを作って拡散してしまった。概念レベルの話についてはいつもわかりやすく説明してくれている前野さんの発言を参考にするのが良いです。続く pic.twitter.com/0SnTQ2vWhv

2017-01-02 09:57:40
拡大
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

続き。偏微分の周辺で学生が理解し難く原因は概念レベルで難しいからではなく、概念レベルでの区別が反映されない省略した書き方が普通になっていることだと思います。偏微分の∂f/∂x、∂f/∂yを分数だと思うためには2つの∂fを概念的に異なるものだと思わないといけない。続く

2017-01-02 10:00:43
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

続き。偏微分に関する省略した書き方の問題と概念レベルでの問題を混同しない方がよいという意見は積分定数さんも述べています。次のリンク先の連続ツイートを見て下さい。続く twitter.com/sekibunnteisuu…

2017-01-02 10:06:32
積分定数 @sekibunnteisuu

この場合、(∂x/∂y)(∂y/∂z)(∂z/∂x) これを普通の分数のように約分して1としてはならないが、それは偏微分が分数ではない根拠にはならない。 この表記法はかなり情報を端折っているて、分母の∂xと分子の∂xが同じものではないというのが原因。

2016-12-14 21:38:35
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

続き。数学の教科書にあるような微分形式の定義の仕方(初学者にとってはややこしい)をする前に以下のような説明があってもよいと思いました。2変数函数f=f(x,y)に対するdfという「量」がどのように定義されていると思えば、微分形式の話に繋げ易くなるか。それはこうです。続く

2017-01-02 10:12:23
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

続き。あと数学的厳密さを気にする人はdf=f'(x)dxと書くときのdfや∫_a^b f(x)dxと書くときのf(x)dxが数学的に厳密に定義されていることを当然だと思えないような人達の発言を参考にするべきではありません。微分形式の話の入り口の話。続く

2017-01-02 10:09:34
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

続き。f(x+dx,y+dy)=f(x,y)+df+ε. ここでdfはdxとdyに線形に依存し、εは(dx,dy)より高次の微小量です((dx,dy)→(0,0)のときε/√((dx)^2+(dy)^2)→0)。(dx,dy)は微小でなくても構いません。続く

2017-01-02 10:15:41
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

続き。要するに、f(x,y)を0次近似とするときのf(x+dx,y+dy)の1次近似のdx,dyに関する線形項がdfです。εは1次近似の誤差。dfはdx,dyについて線形なので df=a(x,y)dx+b(x,y)dyと書けます。続く

2017-01-02 10:18:57
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

続き。「1次近似における線形項がdfである」というスタイルにしておけばdfを数学的に厳密に定義できます。dy=0のときの分数df/dx=a(x,y)が∂f/∂xに一致し、dx=0のときの分数df/dy=b(x,y)が∂f/∂yに一致することも示せます。続く

2017-01-02 10:21:19
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

続き。以上のようなスタイルでは偏微分を本当の(極限操作無しの)分数だと思えます。近似が必要な部分を1次近似に過程に追い出してあり、dfと書いた途端に1次近似で生じる誤差を除いたものになっているので、(dy=0のときのdf)/dx=∂f/∂xの左辺が本当に分数だと思えるのです。続く

2017-01-02 10:24:19
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

続き。(偏)微分を扱うときに、近似が必要な部分を1次近似の過程に追い出してしまい、1次近似の誤差εを忘れないようにしておけば、数学的な厳密さが保たれるのと同時に、dfが適切に(論理的な曖昧さ抜きに)定義された量だと思うことができます。続く

2017-01-02 10:26:40
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

続き。以上のようにして出て来るdfのような量をさらに抽象的に定義しておいて数学的に扱い易くしたものが、数学者が書いた教科書に載っている微分形式の定義です。微分形式は「積分できるもの」でもあります。微分形式の概念は数学的に厳密でかつ記号法的にも恐ろしく使い易いものになっています。

2017-01-02 10:29:08
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

続き。Leibnitz式の使い易い微積分の記号法は概念的には微分形式の数学的に明晰に定義に繋がっているように思えます。微分形式は記号法的にも恐ろしく使い易く、微分と積分の概念を美しく統合する舞台にもなっています。数学の応用先から純粋数学まで万能に役に立つ道具だと思う。

2017-01-02 10:33:39
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

続き。df/dx=lim_{Δx→0}(f(x+Δx)-f(x))/Δxとみなして「微分は分数そのものではなく、分数の極限だ」と言うことは正しい。しかし「微分を分数(すなわちdfをdxで割ったもの)だと思ってはいけない」と言ってしまうと誤りになります。

2017-01-02 10:52:10
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

続き。「偏微分の計算で分子の∂xと分母の∂xを不用意に約分してはいけない」と言うのは正しいですが、「偏微分を分数だと思ってはいけない」と言うのは誤りとみなした方がよい。「何を何で割ったものなのかについて省略して書く習慣なので混乱が生じやすくなる」と教えた方がわかりやすいと思う。

2017-01-02 10:56:10