視界が滅茶苦茶セックスした　後編（完結）

劉度 @arther456

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（これから小説を投稿します。TLに長文が投下されますので、気になる方はリムーブ・ミュートなどお気軽にどうぞ。感想・実況などは #ryudo_ss をお使いいただけると大変ありがたいです。忙しい方はtogetterまとめ版をどうぞ。それでは暫くの間、お付き合い下さい）

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【視界が滅茶苦茶セックスした】後編

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ザイルの自宅に、３台の車が向かっていた。ピースフル・フォレストのメンバーと、高額で雇われた街のならず者たちだ。タバサを乗せた車は、監視カメラが捉えていた。その映像をハッキングで盗み出し、タバサが逃げ込んだ家を割り出したのだ。1

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車から降りた男たちは、そのまま３組に分かれて家を包囲した。すなわち、２組が家の正面に、残りの１組が家の後方を取り囲む陣形である。《突入しろ》「突入！」隊長の指示を受け、先頭の部隊がドアをこじ開け侵入した。「ようこそ、いらっしゃいました」「えっ」2

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彼らを出迎えたのはメイドだった。「何だお前は！？」「こいつ、ロボットか？」「ターゲットじゃないよな？」「誠に恐れ入りますが、あなた方は器物損壊、及び不法侵入を犯しています」ロボットは手を後ろに組んで、無表情に語りかける。「現在、警察に通報中です。速やかにお引き取りを」3

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「どうする？」「壊した方がいい、よな？」「そうだな」しばし顔を見合わせた後、一人がロボットに銃を向けた。直後、その男が後ろに吹き飛んだ。「え？」いつの間に抜き放ったのだろうか。ロボットが前に出した右手には、うっすらと硝煙を立ち上らせる拳銃が握られていた。4

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「侵入者、撤退意志、皆無」掲げた左手にも拳銃があった。侵入者たちは慌てて玄関の壁に張り付く。逃げ遅れたひとりが銃弾の犠牲になった。「マリナ・ファイブ・オー・オー・クロフト、戦闘モードへ移行。陸軍マニュアル分隊行動編に基づき、迎撃を開始します」5

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『このあと滅茶苦茶セックスした』。ここ数日、ザイルはずっとこれに対して怒っていた。まず広告そのものが邪魔だ。視界の1/3がいきなり奪われる。気が散るし、車の運転はとにかく気をつけないといけない。そして、消しても消しても悪びれもなく現れる。7

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それに内容が下らない。成人雑誌も乗せない三流の文面が生活のありとあらゆる所に紛れ込んでくる。所詮この世はセックスまみれだと主張しているかのようだ。事実そうだとしても、文句を言う権利はある。同じプラカードを持った人間が目の前に立てば、殴り飛ばしているだろう。8

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そして何より、こんな下らないもので世界を滅茶苦茶にしようという魂胆が、ザイルの怒りを頂点にまで引き上げていた。かつて、同じような下らない世界の終わりが、彼の妻と両目を奪っていった時のように。だからこれからのザイルの行動は、全て怒りによって引き起こされたものである。9

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「おいどうなってる！？」「コンピューターが攻撃を受けています！このままだと、中の情報を全て盗み出されます！」「早く発信元を……いや、あの女ハッカーだ！違いない！ピアーズは何やってるんだ！？」倉庫のひとつ、居心地よく改装された室内で、男が喚いている。10

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男はスマートフォンを手にすると、電話をかけた。２コールで繋がる。《もしもし》「俺だ！ジェイブだ！まだ制圧できないのか！？」《予想外の抵抗にあっている。軍事用AIを搭載したアンドロイドだ》「なっ、馬鹿か！？普通の家だろう、そこは！」11

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《それはそうだが、そうとしか言いようがない。制圧にはもうしばらく時間がかかる。こちらは指揮に専念する。以上、通信終わり》電話は一方的に切られた。「クソッ！」ジェイブはスマートフォンを叩きつけようとして、止めた。怒っていても思い留まれるほど、重要なもののようだ。12

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「ハッカーどもを急がせろ！最初にあの女のコンピューターをファックした奴には、ボーナスをくれてやる！」「はい！」連絡係の兵士が部屋を飛び出していった。これで室内には残り４人。ザイルは立ち上がり、窓越しに一番近くにいた兵士の背中を撃ち抜いた。13

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奇襲に対して、物陰に身を隠したのは２人。思わず立ち竦んでしまったのは１人。その１人に向け、ザイルは容赦なく引き金を引く。「なんだクソがぁ！？」ジェイブが机の影に隠れながら銃で反撃してくる。一度、窓の影に身を隠してから、ザイルは思い切って室内に飛び込んだ。14

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着地と同時に目の前の机を蹴り倒し、盾代わりにする。最後の護衛が乱射したマシンガンは、それで防ぐことができた。弾幕が途切れた瞬間、ザイルは立ち上がり、弾切れに戸惑う護衛を射殺する。残りはジェイブだけだ。15

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「うおおっ！」机の影に隠れながら、ジェイブはなおも銃を撃ってくる。迂闊に顔を出せない。ザイルも撃ち返すが、ジェイブはしっかり身を隠していて当てられない。「あの野郎……！」元軍人なだけあって、射撃の技術は完璧だ。その事実が、余計にザイルを怒らせた。16

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新しい弾倉を拳銃に詰め、ザイルは机の影から飛び出した。身を低くしてソファや柱を盾にしつつ、ジェイブの隠れる机の横に回り込もうとした。だが。「何っ！？」「おうっ！？」ジェイブも同じことを考えていた。柱の角を曲がった時、いきなり２人は鉢合わせになった。17

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ザイルは銃を構えようとしたが、その前にジェイブに銃を叩き落された。同時に、ザイルは狙われかけた敵の銃口を抑え込んだ。「ぬうっ……！」「ぐうう……！」単純な力比べでは、ジェイブのほうが上だ。だが、ザイルには技術がある。18

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ザイルはわざと腕の力を抜いた。当然、ジェイブの腕は必要以上に跳ね上がる。その手を更に押して、柱に叩きつける。怯むジェイブの顔面に、ザイルは拳を叩き込んだ。ジェイブの手から拳銃が滑り落ちた。「この野郎っ！」ジェイブも反撃の拳をザイルの腹に突き込む。19

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「ぐうっ！」痛みを堪え、ザイルはジェイブの拳を強引に抱え込んだ。そのまま胸倉を掴み、鼻柱に頭突きを叩き込もうとする。しかし、その前にジェイブがタックルを仕掛けた。下半身の備えがおざなりになっていたザイルは引き倒され。ジェイブにマウントを取られてしまう。20

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「このっ、サイボーグ野郎がっ！」ザイルの顔面に、ジェイブの容赦ない拳が振り下ろされる。「てめえらが！金で！能力を買うから！俺らは出世できねえ！生身の！貧乏人扱いだ！」怨嗟を撒き散らしながら、ジェイブは次々とパンチを繰り出す。21