「フォビドゥンフォレスト3話「蝶舞の町内」 #5「地域会」
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「片桐くんは、新種がバケグモを食用の家畜にしていたと考えたようですけど…」 「だーかーらー…!そういう誤魔化しは良いっつってんの!」 丈が真白の言葉を遮る。真白は怒るでもなく、むしろ図星かのように気まずげですらある。 「アンタ、ちょっと『自分の顔をビンタしなさい』」 21
2017-01-20 22:13:38「もう皆分かってんだろ?何で一年坊や中坊を連れてか痛てっブヘッ!」 丈は自分の頬を自ら強く張った。乃利子の催眠能力である。同格以上には余程油断していないと独力では通用しない。 「何しやがる『恐怖!催眠女』!」 「『黙ってなさい』」 「 」 静かになった。 22
2017-01-20 22:17:51「…そうですね。どの道、今日は何かを決定する場ではありません。口にしてしまっても良いでしょう」 佐祐里が静かにそう言うと、パントマイムでなおも騒いでいた丈も大人しく着席した。叶音が横で心配そうに見守る中、佐祐里は続けた。 「状況証拠は、全て皆さんの懸念を裏付けています」 23
2017-01-20 22:29:48空気が張り詰める。 「ですが、物証もありません」 「物証がないのが何よりの証拠、とも言えるということですね?」 櫂の問いに佐祐里が頷く。 「まだ、そちら側のほうで動くには1・2手早い、というのが私の見解です。まだ話し合ってはいませんが、僚勇会の上もおそらく同意見でしょう」 24
2017-01-20 22:33:47「『黒幕』が…仮にいるとすればですが、何処にいるかも分からない以上、動きようもないですからね」 真白も補足する。 「だよな。当面は準備だけして待機しか無いよな」 「でも向こうの出方待ちってのは面白くないわね」 乃利子は額に皺を寄せる。丈も口をパクパクさせながら頷く。 25
2017-01-20 22:42:01「向こうは俺達を混乱させるだけさせて、様子を探ってるんじゃないですか?このままやられっぱなしで良いんですか!?人が死んでるのに…!」 「落ち着きなさい」 数少ない一年生が怒るのをその先輩が窘める。 「やられっ放しでいる気じゃないんでしょう?佐祐里ちゃん」 真白が確認する。 26
2017-01-20 22:44:55「ええ。詳細は差し控えますが、こっちから敵をつつき出す策があります。準備に時間がいるので、その前に敵が手を打ってくる可能性はありますが、この回りくどい嫌なやり口からして当面、真っ向勝負を仕掛けてくることはないでしょう」 「分かったぜ先輩。とにかく俺達も準備はしとく」 27
2017-01-20 22:53:11高月の少年を皮切りに、皆が同意を述べていく。不満のある者もいたが、対案を出せよう筈もないので周りに従った。黒幕の所在以前に有無すら未確定なのが現状なのだ。もう数点だけ確認と情報把握の摺り合わせを行った後は、いつもより短い時間ではあったが、いつもの地域会が行われた。 28
2017-01-20 22:56:25