不知火に落ち度はない特別編 -アウターヘブンIF-(前章)

そんなわけで、今回は特別編のIF話。 本編でも影響力のあるアウターヘブン。 その誕生には天龍の犠牲と龍田の絶望がありましたが、今回は『天龍を助けることが出来ていたら?』という所から始めていこうと思います。 長々してますが、よろしければのんびりごらんください。 続きを読む
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不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「あー。有坂中佐、一つ聞いていっすか?」 「いいよ。移動はもうしばらくかかるから」 「個人的なアンタの立ち位置聞かせてくれませんか?」 「ああ、それか。うーん……」 何か言おうとしては、いろいろ考える仕草を見せ。 #不知火に落ち度はない

2017-01-22 11:41:02
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「私はそも、艦娘には反対する立ち位置を取っていたかな」 「……」 だろうな。それは艦娘を所持してないことからして明らかだ。 「でも、結局は『仕方ない』から、軍の采配に荷担した。済まそうと思えば仕方ない、で済まされるだろうけど」 #不知火に落ち度はない

2017-01-22 11:45:30
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「じゃあそれで理不尽に死んだ人間に、仕方なかったとはとても言えないよね」 笑みのままで。有坂中佐は言った。 「兵頭少佐もそれは同じだ。状況的には仕方なく、彼──三船大佐を殺したよね?」 「ま、そっすね」 嘘はつけない。 「じゃあ、それ許される?」 #不知火に落ち度はない

2017-01-22 11:48:17
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

ああ。 そうな。 それは── 「当然許される話じゃないな」 「そういうこと。だから兵頭少佐はもう、責任を被るしかない。死んで解放されるほど、生やさしくはないよ」 #不知火に落ち度はない

2017-01-22 11:50:11
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「わりと厳しいっすね」 「私はそうだよ? 許すと口にしたことは、今まで数えるほどしかないのだし」 有坂中佐はそう言い、さらに一つ付け足した。 「差し当たっては、まず龍田ちゃんと、天龍ちゃんを無事国外に逃がすことから始めようか」 #不知火に落ち度はない

2017-01-22 11:54:50
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「……そっすね。って言いたいンですけどさ、有坂中佐」 「何かな兵頭少佐」 「もうちょっと被害者面してくんねえと、かわいそうさが一切沸かないんですけど。あの龍田」 今もなおスマホ越しに、嬉々として放火範囲を広げている龍田がそこにいたのだった。 #不知火に落ち度はない

2017-01-22 11:57:07

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

そうして俺達がたどり着いたのは、港である。 そこには一隻のクルーザーがあり、その前には── 「遅かったじゃねえか。兵頭のおっさん」 腕組みをして、相当不機嫌そうな天龍が居た。 顎には絆創膏が貼られており、俺の行動を責め立てているようだった。 #不知火に落ち度はない

2017-01-22 12:04:31
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「つーか、人寝かせてる間に無茶苦茶してくれやがって。おかげでオレの覚悟台無しどころか、居場所なくなっちまったじゃねーか」 「それについちゃ反論させてくんねえかな!?」 覚悟を台無しにしたのは認めよう。 だが、居場所奪ったのはお前の妹なんですよ!? #不知火に落ち度はない

2017-01-22 12:06:51
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「うっせ却下だ聞こえねー。こっからどうするか指針を決めとけよ。あと運転と飯もよろしく」 「ちょっとは遠慮しろよ、あとNoプランか!?」 「オレ完全に巻き込まれてるだろが、これ。とばっちり喰ってるんだぞ」 「あらあらー、でも天龍ちゃん当事者でしょ-?」 #不知火に落ち度はない

2017-01-22 12:10:18
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「なー、龍田だけ連れてけよ。オレまだ日本でやることあんだよ」 「お前連れてかないと話が一気にややこしくなんだよ! わかれよ!」 聞き分けのないガキかお前。 実際巻き込まれたわけだが、ここまで聞き分けないスタイルされると、遠慮もしなくていい気がしてくる。 #不知火に落ち度はない

2017-01-22 12:14:03
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「じゃあ、兵頭さん。ご飯はともかく、運転と今後の方針はよろしくねー❤」 「お前もNoプランなのな。予測だといつぐらいにここに軍の手回ると思う?」 「今すぐ出ないとたぶん公海上で拿捕されるかも-?」 スマホで見せてくれるのは、各地の作戦航路情報である。 #不知火に落ち度はない

2017-01-22 12:20:10
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

そっか。情報網が現状大混乱だとしても、各個で動くところは動くもんな。 艦娘を揃えてるところもフツーにあるもんな。 今すぐ出発しねえと、確かにこりゃ不味いなんてもんじゃねーよ。 ここまでやって捕まりましたじゃ、話は全部台無しだし。 #不知火に落ち度はない

2017-01-22 12:22:22
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「うっしゃ、進路は適当。取りあえず出すぞ」 「はいはーい。ねえ兵頭さんー?」 「ほい。何ですか龍田ちゃん」 #不知火に落ち度はない

2017-01-22 12:25:09
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「これからどうぞよろしくお願いしますね-、兵頭『提督』」 #不知火に落ち度はない

2017-01-22 12:27:02
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

それは龍田が。 義務ではなく。 あるいは命令でもなく。 初めて心から俺を『提督』と呼んだ瞬間であった。 #不知火に落ち度はない

2017-01-22 12:28:00
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

そうして俺達の当てのない逃避行はここから始まったのである。 先は見えず、未来も判らない。 そんな始まりが、ここにあった。 #不知火に落ち度はない

2017-01-22 12:28:56

後書き&おまけ

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

はい。そんなわけで、アウターヘブンIF。これにて前章の逃亡話は終了でございます。 軍を揺るがす大事件をぶっぱした後、駄提督はどこへ逃げていくのか。 それはまた来週とかその辺をおまちくださいませ。 #落ちぬい

2017-01-22 12:30:03
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

ここまでもやりたい放題だったけど、ここからはさらに、やりたい放題でお送りしますゆえ。 おたのしみにね? #落ちぬい

2017-01-22 12:30:40

おまけ話:長門の怒りとやさしい龍田ちゃん

と、いうわけで国外に逃げた駄提督。こうして彼はカノジョを失いました。

ざまぁ。最高にざまぁ。

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

それは、俺達が上海で隠遁生活してる時のことであった。 俺は個人的に付き合いのある李中佐の庇護の下、羽根を伸ばす時間を得たわけだが。 そんな中、ふと。 致命的な問題を思い出したのである。 #不知火に落ち度はない #おまけ

2017-01-22 12:36:11
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「あ、やべ」 「? どうしたのかしら、提督ー?」 チャイナドレスなんぞを着込み、異文化を満喫しておいでの龍田は小首をかしげておられるわけであるが。 果たしてこれを相談すべきかどうか、考えて──。 #不知火に落ち度はない #おまけ

2017-01-22 12:37:53
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「あのさ、龍田。俺ここ2ヶ月相当がんばってたよな?」 「そうねー? 艤装修理の当てに、天龍ちゃんのわがままにー、非公式救助活動に、資金調達でしょー?」 指折り数えて俺の功績を言ってくれる龍田。 最近、秘書艦的な立ち位置が板に付いてきてる。 #不知火に落ち度はない #おまけ

2017-01-22 12:40:50
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「だったら、すぽっと大事なこと抜けること、あるよな?」 「うーん? 具体的にはなーにー?」 ボディラインがくっきり、スレンダーながらもグラマーな魅力をむき出しにしておられる龍田は、俺の言いたいことを把握しようと努力はしてくれてる。 #不知火に落ち度はない #おまけ

2017-01-22 12:42:56
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