不知火に落ち度はない特別編 -アウターヘブンIF-(前章)
はじめに
※ この話は艦これ二次創作的な何かのネタ帳じみたものです。
独自設定がちらほら混じってるので、適当にご笑覧ください。
今回は本編でも強い影響力のあるアウターヘブンのIF話。
もし、あのとき天龍を助けることが出来ていたら?そこから始まるIfストーリーです。長くなるんでのんびりご覧下さい。
感想はハッシュタグ #落ちぬい か コメントまでいただけますと喜びます。
さてさて。他の方々も二次を書いてくだすったことですし。 ここでひょっこりアウターヘブンIFなどをくわだててみんとす。 最近まるっきり更新して無くてすまんですの。 #落ちぬい
2017-01-20 23:14:00本編
Sec.1 雨が降っていた
鉛色に黒を混ぜた空からは、絶え間なく雨粒が落ち、地面を仄暗く染めていく。 雨音に食い尽くされ、外界の音はどこか遠い。 室内には俺と── #不知火に落ち度はない
2017-01-20 23:22:20それが──兵頭一也の終わり。 ただの馬鹿な、提督のお終い。 返り血で染まった俺自身が、窓の向こう側から俺を見据えてそう言っていた。 #不知火に落ち度はない
2017-01-20 23:30:04「達者でな。天龍」 目を伏せ、一言を吐き出すと。 ドアの向こうから聞こえる足音を、出迎えることとした。 #不知火に落ち度はない
2017-01-20 23:32:27■
深海棲艦との戦いは激化の一途を辿っていた。 昼も夜もなく押し寄せる連中に対し、俺達再編された日本海軍は常に後手後手の対応を迫られていた。 数年前から正式運用が決定された『艦娘』という兵器は、連中に対する切り札として有効であったが── #不知火に落ち度はない
2017-01-20 23:36:49それでも『彼女達』は人間であった。 疲労すれば動けなくなり、重大な損傷を受ければ最悪死に至る。 対深海棲艦を打破する最強の兵器は、修理すれば治るという代物ではなかったのだ。 #不知火に落ち度はない
2017-01-20 23:40:22例えばそう──天龍という艦娘が居た。 姉妹艦の龍田と合わせて、深海棲艦の撃破数は既に三桁を超え、常に前線に立つ背中は味方を鼓舞した。 絶望的な状況に置いて、常に状況を打破する一手となった。 #不知火に落ち度はない
2017-01-20 23:43:05報道でも名前の挙がらない日はほとんどなく、希望の偶像とすら映ることもあった。 その影で──起こっている現実さえ見なければ。 #不知火に落ち度はない
2017-01-20 23:46:31この『戦争』に置いて、昨日までの段階で死亡した艦娘の数である。 そのうち、大多数を占めているのは安定した技術で支えられる第三世代型と、試験段階に入った第四世代型── すなわち、ろくな兵装を持たない、軽巡と駆逐艦であった。 #不知火に落ち度はない
2017-01-20 23:51:03その中で、天龍ほか数名は、古参の中に数えられる非常に貴重な戦力であった。 おそらく、今後生存し続け、技術開発が進めば戦艦クラスと同等の地位を確立するだろう、と言われていた。 ──ただし。 #不知火に落ち度はない
2017-01-20 23:53:45それは、糞野郎こと──三船忠之提督の傘下に居続けなければ、の話であった。 元陸自の特務部隊指揮官であるこの提督は、陸繋がりのパイプを太く持ち、軍でも影響力を存分に発揮していた。 若干四十の身でありながら、水雷戦隊を指揮し確実な戦果を以て貢献していた。 #不知火に落ち度はない
2017-01-21 00:00:36『人殺し三船』 貢献とは裏腹に、そう裏で渾名されるほど、その采配は苛烈を極めた。 当人は山口多聞の事だと思っていた事だろうが── #不知火に落ち度はない
2017-01-21 00:02:55何のことはない。死ぬのだ。 三船の所に派兵された艦娘は、最短で十日を待たずに死ぬ。 その死に様は様々であるが、大抵は限度を無視した運用によって『破損』する。 その死によって開いた穴は、戦果と引き替えにした新たな補充人員で埋められる。 #不知火に落ち度はない
2017-01-21 00:06:19一人死ぬ間に、二十を仕留める。 二人死ぬ間に、四十を仕留める。 五人死ぬ間に、百を仕留める。 死には功績を以て応え、功績には生を以て応える。 それが軍と三船の間の契約であるように。 #不知火に落ち度はない
2017-01-21 00:08:12それほどの戦果を上げられる理由は単純だ。 三船は、艦娘を『兵器』以外の何物でも無いと認識していた。 損壊すれば新たな補充を行い、限界まで性能を引き出そうとする。 そんな割り切りが出来るのは、恐らく三船以外居なかっただろう。 #不知火に落ち度はない
2017-01-21 00:10:08俺には、それが出来なかった。 理由の一つは、長門である。 あれは、俺の見知った──実際に繋がりのあった人間が艦娘になったものだからだ。 #不知火に落ち度はない
2017-01-21 00:17:08俺は、艦娘を兵器であると認識しながら、同時に人間であると認識していた。 疲れれば動けなくなり、深い傷を負えば死に至る。 それ故に、共同作戦を展開する三船とは、まったく反りが合わなかった。 あいつの作戦を半ば妨害する形で、横槍を入れることも多々あった。 #不知火に落ち度はない
2017-01-21 00:20:21