フォビドゥンフォレスト3話「蝶舞の町内」 #7「姑獲蝶」
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N-O地点: 「なんだこりゃ…ジグモ妖怪の巣…?」 隊員谷の眼前には、数本の生木を糸で束ねた構造物があった。確かに何かの巨大生物の巣に見えた。そして大量に有り、生木を束ねられる糸となれば正にバケグモのそれに他ならなかった。だが巣の形状が奇妙だった。 24
2017-01-27 00:48:09前提としてバケグモの生態や巣の形状は本物の蜘蛛に近い。その上で蜘蛛の巣と言えば、網状を想像してしまうが、実際はトンネルやテントの形など多種多様である。それを知っていてもこの巣は奇妙な形状に見えた。木を隙間なく束ねた上で、上方に向かって半円状に開いている。 25
2017-01-27 00:53:41「やっぱりね」 ドローンの空撮映像を見た副隊長、小方黒音(こがたくろね)は溜息気味に呟いた。 「でもありゃあ、どうみても蜘蛛の糸だろう?黒音ちゃん」 「黒姉さんと呼んで」 「いや俺のほうが10歳以上年上なんだが…」 「最近の若者の間では年下の姉がブームなのよ」 「嘘だろ…」 26
2017-01-27 01:04:00それには答えず、本題の話を続けた。 「蜘蛛の糸が使われていたら、蜘蛛の巣、とは限らないわよ」 「それって確か…」 隊長の立森太臓は記憶に引っかかりを感じながら中継動画を見た。他の隊員達も続く。 上から覗いた巣の中には嘴の有る幼虫数匹が蠢いていた。 「こいつは…」 27
2017-01-27 01:12:32「霊波分析も出たわね」 空撮の前にも分析を掛けたが糸が邪魔で、朧気な反応しか出なかった。 「姑獲蝶か!」 「姑獲蝶!?」 「ええ。バケグモの妖気の残留反応も有るわ。恐らく、姑獲蝶の親に殺されて雛の餌になったのね」 隊員の一人がドローンから読み込んた情報を妖怪図鑑で照合する。 28
2017-01-27 01:16:08別の隊員が中継ドローン経由で他の隊にこの情報を伝える中、電子音声が図鑑を読み上げる。 『姑獲蝶:B級妖怪。危険度:高。嘴から吐く麻酔液で獲物を麻痺させて連れ去り、雛の餌にする。特に子供や女性が狙われやすく、同時に数人を拐うことが可能。鱗粉には探知を妨害する作用が…』 29
2017-01-27 01:20:23