フランシス・フクヤマ『政治の秩序と政治の衰退』読書メモ(セルフまとめ)

フランシス・フクヤマの『政治の起源』の続編『政治の秩序と政治の衰退(Political Order and Political Decay)』を読みながらつぶやいたツイートのセルフまとめ。内容の重複が多いが気にしない。誤字脱字も気にしない。
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21世紀の道徳 @RiceDavit

アメリカはジャクソンとかのせいで官僚機構が弱かったり専門性のない素人ばかりだったのを、20世紀初頭のセオドア・ルーズヴェルトとかウィルソンの革新主義やFDRのニューディールに伴うテクノクラシーの強化などで、官僚機構の力が増したり専門性が上がっていたが…

2017-02-03 10:02:21
21世紀の道徳 @RiceDavit

…現代のアメリカでは諸々の利益団体による相反する要求を突き付けられるせいで官僚機構が機能不全になっている(目的が明確ではない、自律性が保障されていない)。この点については、アメリカ森林局が創立されてから現代に至るまでの趨勢を具体例として取り上げながら説明されている。

2017-02-03 10:06:53
21世紀の道徳 @RiceDavit

行政の能力が低くて、官僚が腐敗している可能性が高いような途上国では行政に対するルールを多く設けてコントロールするべきだが、先進国では能力に応じて行政の自律性を保障すべき。図解されている。 pic.twitter.com/TsYNNgmTeb

2017-02-03 10:19:51
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21世紀の道徳 @RiceDavit

民主主義国家では行政は市民に説明責任を負うべきだけど、説明責任を保障するための諸々の手続きは行政の能力や自律性を何らかの形で損なうものであり、それが行き過ぎて行政が無能になり過ぎても国家が市民に対して負っている義務を損なうことになるので、ナントカしてバランスを整えるしかない。

2017-02-03 10:38:21
21世紀の道徳 @RiceDavit

『「信」無くば立たず』という本を以前に書いているだけあって、市民がどれだけ国家や行政を信頼できるか(信頼が成立していれば行政に自律性を与えることが容易)、というのが重要であるとフクヤマは論じている。ギリシャやイタリアは公的機関に対する信頼が成立してこなかったので、腐敗してしまった

2017-02-03 10:41:01
21世紀の道徳 @RiceDavit

フクヤマの『政治の秩序と政治の衰退』、読み終えたぞ…。最終は『政治の起源』と『政治の秩序と政治の衰退』で行ってきた議論がまとめられていて、ペーパーバック版のあとがきでは2014年以降の世界情勢についてのコメントがされている。

2017-02-03 20:07:41
21世紀の道徳 @RiceDavit

政治制度の進化の仕組みは色んな点で生物進化の仕組みに似ている。ある地域の環境における問題に対処できる制度が残るが、環境が変わればそれまでの政治制度も変化や崩壊を余儀なくされる。また、生物における収斂進化のように、別々の場所で独立して起こる政治制度の変化には共通点がある

2017-02-03 20:12:03
21世紀の道徳 @RiceDavit

世界における多くの地域の政治制度では、バンドから部族社会へ、部族社会から国家へ、家産国家から近代国家へ、国家権力の恣意から独立した法制度の発達、公的な説明責任の登場…などの進歩が遂げられていった(後半の要素には地域による程度差が出てくるが)。

2017-02-03 20:17:42
21世紀の道徳 @RiceDavit

健全な近代的国家となるための鍵は経済成長である。”発展なき近代化”が起こって経済成長もないのに社会流動化が起こった国もあるが、それは農村部のゲマインシャフトがそのまま都市に移されたようなものであり、国家の力が弱いところに縁故主義や腐敗が蔓延して不健全な民主主義をもたらしてしまう。

2017-02-03 20:23:26
21世紀の道徳 @RiceDavit

「国家」「法の支配」「民主主義」は理想的なバランスの場合には互いを補完しあい強めあうが、多くの場合には互いを侵食し合い弱め合ってしまうので、それが政治制度の衰退をもたらす。

2017-02-03 20:25:56
21世紀の道徳 @RiceDavit

国家制度の成立や変化には、その国内部における経済構造の変化のみならず、国際関係とか外国からの文化的な影響も関わってくる。東アジア諸国が中国の国家制度を真似してきた歴史とか、ヨーロッパ諸国が植民先の政治制度を破壊したり自分のところの政治制度を移植しようとしたりしたことなど。

2017-02-03 20:28:36
21世紀の道徳 @RiceDavit

政治制度の変遷には戦争や暴力も大いに関わってくる。戦争に対処する必要がある場合には法の支配や民主主義を弱めてでも国家の力を強める必要がある。また、機能不全になった政治制度の多くは国内からの革命や外国との戦争に負けて支配されることなどの暴力を通じた手段に解消されてきた。

2017-02-03 20:31:46
21世紀の道徳 @RiceDavit

さて、自由民主主義は世界的に普遍的な政治制度となるのだろうか?少なくとも、政治参加や経済的自律は人々の幸福や尊厳にとって欠かせないことなので、それが実現できる自由民主主義は権威主義体制よりも規範的・道徳的には優れているとは言えるだろう。

2017-02-03 20:35:39
21世紀の道徳 @RiceDavit

経済発展はいまだに世界各国で続いており、社会流動化が起こっている。市民や中間層の力が高まるにつれて、平等や自由を求める声も高まっていくだろう。そもそも、政治制度の規模が大きくなって対象となる人口が増えていくにつれて、法の支配や説明責任が不十分な政治制度は機能することが難しくなる。

2017-02-03 20:38:42
21世紀の道徳 @RiceDavit

しかし、機能不全を起こしてしまっている現代のアメリカにおける自由民主主義は、もはや他の国の人々が尊敬したり目を見張るようなものではなくなったので、他の国のモデルとはならない。

2017-02-03 20:40:33
21世紀の道徳 @RiceDavit

中東のイスラム過激主義の力が増しているし、ロシアではプーチンによる権威主義的な政治体制が続いているが、わざわざこれらの国に行って暮らしたいと思う人はほとんどいないだろう。特にイスラム過激主義の方は、政治制度の支配者として長持ちする見込みが全くない。

2017-02-03 20:42:30
21世紀の道徳 @RiceDavit

しかし、中国はこれからまだしばらくは発展を続けるだろう。インドでは国家の力や方の支配は弱いのに民主主義が強かったし、持続的な経済発展のために必要だったインフラ整備などが遅れたし政治家が犯罪者ばっかりで政治が腐敗している。こんな政治制度なら中国の方がマシ、と思う人は多いだろう。

2017-02-03 20:45:18
21世紀の道徳 @RiceDavit

まあでもやっぱり中国では中間層が増えているから遅かれ早かれ自由と民主主義の要求は多かれ少なかれ強まっていくだろうし、健全な場合には自由民主主義は他の政治制度よりも有益な決断を下して政治制度を長持ちさせるのだ。しかし、習近平による政治的独裁体制が成立してしまう可能性も高くてヤバい。

2017-02-03 20:48:48
21世紀の道徳 @RiceDavit

経済構造の変化とかによる影響もあるとはいえ、自由民主主義というものは自然現象によって獲得されるものではなく、究極的には人々の意志と努力によって獲得されるものである。いま民主主義の国に暮らしている私たちも、民主主義を保つ努力を続けなければ民主主義は無くなってしまうかもしれないのだ。

2017-02-03 20:51:00
21世紀の道徳 @RiceDavit

最後の結論としては…結局のところ人々の平等な尊厳に配慮できる政治体制というものは民主主義しかなくて、そして人々は自分たちの平等な尊厳が配慮されることをこれからも求め続けるだろうから、その点に民主主義の普遍的価値がある。

2017-02-03 20:54:09
21世紀の道徳 @RiceDavit

あとがきでは「本ではあまり言及していなかったけど、”小さな政府”論者とかリバタリアンがアメリカの国力を弱めさせた戦犯の一部だよ、リバタリアンが主張するような自発的なネットワークなんてほとんど期待できなくて役に立たないから政治制度というものが必要なんだよ」ということも書かれている。

2017-02-03 20:57:29
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