【悪堕ちシナリオ】チョコスライム娘

バレンタインデーなのでチョコレートになってしまったチョコスライム娘の話を書きました。
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悪堕研究機構 @utakuochi

バレンタイン特別編「チョコスライム娘」: バレンタインデーにチョコレートをプレゼントしようと奮起する女性がチョコレートに侵食されてチョコスライム娘になる話。 ※長くなるので導入部は割愛します

2017-02-14 22:33:59
悪堕研究機構 @utakuochi

「お待たせ」 玄関のドアを開けると彼女が立っていた。 「ごめんね、今日は大切なことを伝えたくて……でもいつもの場所じゃ外でちょっと恥ずかしいから、あなたの家にお邪魔することにしたの」 外が寒かったのだろうか、彼女は普段身につけないような厚手のロングコートを纏っていた。

2017-02-14 22:53:09
悪堕研究機構 @utakuochi

今日はバレンタインデー、だからてっきり俺の家にチョコレートを届けに来たのだと思ったのだが、手ぶらなのである。彼女は何を伝えに来たのか、不思議に思いながらも俺の部屋に案内した。 「外、寒かったんだろ? そんなに着込んで。ほらコート掛けてやるよ」 「いや、もうちょっとこのまま……」

2017-02-14 23:05:15
悪堕研究機構 @utakuochi

「……それで、大切な話っていうのは?」 「ごめんね、今日はバレンタインだからチョコレートを作ろうと思ったんだけど失敗しちゃって」 「だと思った。だって君、ここに手ぶらで来てるし、今年はチョコレートはないんだろ?」 「ううん、違うの。チョコレート作りには失敗したけど……」

2017-02-14 23:10:30
悪堕研究機構 @utakuochi

そう言うと彼女は着ていたコートをはらりと脱ぎ捨てた。コートの下から現れたのは白く透き通る肌……一糸まとわぬ彼女の姿がそこにあった。いや、確かに全裸ではあったのだが、その身体にはリボンが巻きつけられており、それが彼女の最低限の衣服として機能している見た目となっていた。

2017-02-14 23:15:37
悪堕研究機構 @utakuochi

「な、お前その姿は……」 「ふふふ、どう? 今年のプレゼントは わ た し」 「じょ、冗談はよせ……ふざけているのか!」 「まぁ、確かにあなたでもこれは驚くよね。だから見せてあげる。私のこの姿の本当の意味を」 そう言うと、彼女は俺に恍惚な笑みを向けたまま吐息を漏らし始めた。

2017-02-14 23:23:09
悪堕研究機構 @utakuochi

途端に、彼女の透き通る肌は手先、足先からじわじわと黒ずみ始め、彼女の上半身へ向かった。いや、完全な黒ではない。黒と茶色の混じった……まさに“チョコレート”の色に、彼女の全身が染まりつつあった。 同時に甘ったるい、蕩ける香りが部屋に充満し、意識が朦朧としてきた。 「お……な……」

2017-02-14 23:28:09
悪堕研究機構 @utakuochi

彼女の裸体を見せつけられた上に、彼女自身が異常な状態へと変貌する様を見せつけられた俺は声を出そうとしたが、うまく声を出すことができなかった。声だけじゃない、思うように手足も動かせない。 そうこうしている間に、彼女の目は俺を見つめたまま、彼女の身体は頭部まで黒く染まっていった。

2017-02-14 23:31:56
悪堕研究機構 @utakuochi

「どう? プレゼントは私、の本当の意味が分かった? 私自身がバレンタインのチョコレート。とても綺麗でしょ? きちんとプレゼントになるように私の身体をリボンでデコレーションするのは大変だったのよ? でも、きっとあなたならこのプレゼントを気に入って……美味しく食べてくれるはず」

2017-02-14 23:37:01
悪堕研究機構 @utakuochi

彼女は、俺から全く目を離さず、ゆっくりと俺の方に、その“異常な姿”で歩みを進めてきた。 「溶かしたチョコレートで全身をコーティングして、っていうシチュエーションがあるじゃない。違うよ、私自身がチョコレートになったの」 彼女は俺の元に屈み込んで顔を近づけて言った。

2017-02-14 23:51:38
悪堕研究機構 @utakuochi

「甘くて蕩けそうな匂いにクラクラしているでしょ? これもチョコレートになった私の身体から出ているの。嗅いだ人の意識を蕩け尽くして何も考えられなくしてしまう」 彼女は人差し指を立てて俺の口にそっと触れた。 「そして今は、私の身体の全てが甘くて美味しいチョコレート。さぁ、召し上がれ」

2017-02-14 23:55:52
悪堕研究機構 @utakuochi

彼女の発する甘い匂いと絡みつくように、彼女が発する言葉も甘く俺の身体に染み込むように聞こえ、気がつくと俺の口に置かれた彼女の人差し指を一心不乱に舐めていた。 「あっ……あっ……すごい……あなたいいわ……気持ちよすぎて私の身体が火照って……全身が溶けてしまいそう!」

2017-02-15 00:15:22
悪堕研究機構 @utakuochi

彼女の言う「溶けてしまいそう」とは、決して比喩ではなかった。これまで彼女の姿をした“固体のチョコレート”だったものが、身体の表面で流動し始め、ぼたぼたと液体のチョコレートとなって滴り落ちていた。 彼女の頭部もぐにゃりと溶け始め、俺の顔に一滴、また一滴と滴り落ちてきた。

2017-02-15 00:30:14
悪堕研究機構 @utakuochi

「だめ……このままじゃ私の身体を維持できない……そう、だから私を……私をあなたの全身で味わって……!」 彼女は液状化し始めている両手を俺の身体に回し、全身で抱きしめた。同時に、俺の両手が、両足が、全身が、彼女の身体から溶け出したチョコレートにどんどんと覆われていくのを感じた。

2017-02-15 00:37:09
悪堕研究機構 @utakuochi

溶けずに残っていた彼女の顔はずっと俺の目の前にあったが、ついに全身を溶かしきった彼女は両目を閉じ、顔を近づけ、俺に口付けをしてきた。 「ほら、これで最後。あなたの口からどんどんと私があなたの中へ流れ込む。そう、あなたに食べられること、それがチョコレートになった私の幸せ」

2017-02-15 00:47:22
悪堕研究機構 @utakuochi

彼女の口は、確かに俺の口を塞いでいたから、彼女の口から発せられた言葉ではない。頭の中に直接語り掛けてくるような…… 「いま、私はあなたの身体と一体化しているわ。だからこの言葉もあなたの身体に直接語り掛けているの」 ああ、そうか、と納得しながら、俺の意識はそこで深い闇に沈んだ。

2017-02-15 00:51:34
悪堕研究機構 @utakuochi

「私は本当はね、去年と同じようにあなたに贈るためのチョコレートを作っていたの。材料を溶かして、あなたの口に合うように味付けして……それで味見をしようとチョコレートに人差し指で触れた瞬間に、気を失ってしまったの。目が覚めたときには作っていたチョコレートはなくなっていて」

2017-02-15 01:15:30
悪堕研究機構 @utakuochi

「ふと私の手を見てみると、人差し指の先端にチョコレートがべっとりと付いていたから、少し舐めてみたの。そしたらとても美味しくて……ううん、もう分かるよね。チョコレートが付いていたんじゃなくて、私の指先がチョコレートに変わっていたの。それから私はひたすらチョコレートを食べていった」

2017-02-15 01:22:27
悪堕研究機構 @utakuochi

「なんでチョコレートを求めたのかはその時は分からなかったけれども、チョコレートを食べる毎に私の身体が“チョコレート”で満たされていく感覚を覚えて、それが快感だった。チョコレートを食べる毎にどんどん私の身体がチョコレートに変わってくる感覚を覚えて……最後に今の私の姿になった」

2017-02-15 01:25:06
悪堕研究機構 @utakuochi

「いま考えれば、私がチョコレートになったのはきっかけに過ぎなくて、本当は私の身体をあなたに味わって欲しかったのだと思う。私の気持ちをあなたに伝える手段がバレンタインのチョコレートだけれども、その手段が私の全身に変わるだけ。だからかな、望んで私はチョコレートになっていった」

2017-02-15 01:31:51
悪堕研究機構 @utakuochi

「これは私の意志じゃなくて、私と同化したチョコレート本来の意志かな、誰かに食べられることを幸せに思う気持ち。だからいま、あなたに食べられている私は最高に幸せ。愛しい人に食べられて、愛しい人の血肉となって溶けていって……そしてあなたが私の身体を美味しいと思うことが、何よりの幸せ」

2017-02-15 01:38:17
悪堕研究機構 @utakuochi

……… …… … 「おはよう、私の愛しい人。私からのプレゼントは気に入ってもらえたかしら?」 まだ少し意識がぼんやりするが、俺の目の前にいる彼女は、チョコレートに染まった彼女ではなくて、これまで俺が見知った、普通の女性の姿をした彼女である、ことは分かった。

2017-02-15 01:47:17
悪堕研究機構 @utakuochi

「大丈夫、心配しないで。私はほら、こういう風に普通の人間として暮らせるから」 彼女はそう言いながら顔の前に人差し指を立て、そのまま俺の顔の前に迫ってきた。 「でも、私の正体については私とあなただけの秘密。そうね、私のこの身体が味わいたくなったらいつでも求めていいよ」

2017-02-15 01:52:15
悪堕研究機構 @utakuochi

彼女の顔の前に立てた人差し指が、どんどんチョコレートに変わっていく。 「今度は舐めるだけじゃなくて、ちゃんとチョコレートとして、“食べて”欲しいんだ」 そのままチョコレートに変わった人差し指を、彼女は両の唇で挟み込んで、俺に人差し指を噛む仕草を見せつけた。 ―完―

2017-02-15 01:57:17