「フォビドゥンフォレスト3話「蝶舞の町内」 #15 「救出撃」上空+地上

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Astal_jukebox @astral_jukebox

それを考慮の上での追撃を見舞おうとするが、反撃の予兆を感じた幸川は今と真逆の軌道を素早く正確に斬り上げてから後ろに飛び退くのが精一杯だった。後転する幸川の足が天を向いた瞬間に、礼太がその上に乗り互いに蹴って跳ぶ。反動で幸川は近くの木の側面へ達し、礼太は蝶の頭上を取った。 8

2017-02-16 00:18:49
フォビドゥンフォレスト@カクヨム投稿中 @fbd_forest

これまでもドローンや弓矢で散発的に送って貰ってたが、やっと纏まった数を受け取れた。ドローンは暴風に弱ぇし、俺の指示で撃ってもらう矢だと到達率は高くても1・2枚づつだから現状維持で精一杯だった。これで攻勢に出られる。地表に追い落とせばラッタ達を待たずに乃愛達を助けられる。 8

2017-02-16 00:11:24
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直後に二人のいた位置を突風が襲う。自動車も吹き飛ばす程の威力だが、狙った敵は既にそこにはいない。蝶もそれは認識していた様だが、攻撃の向きを変えるには一手遅かったようだ。礼太が跳んだ速度が予想外だったのだ。或いは上がった能力に脳が追いついていないのかも知れない。 9

2017-02-16 00:20:18
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俺は魔力をチャージした刃16枚を思い切って双剣から切り離し、20cm間隔で飛ばした。まだ奴を殺す訳には行かねぇが、殺す気があると思わせるのが大事だ。全開で飛ばしていく!刃の網が蝶に迫る。その瞬間。 9

2017-02-16 00:19:23
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猛烈な風が巻き起こる。初撃に比べればこれでもそよ風のようなものだが、礼太は頭上へと巻き上がっていく風の先に、彼の幼馴染がいる事に気付いていた。 (ハルは大丈夫か…!?) 不安がよぎるが、だからこそ素早く眼前の敵を倒す必要がある。拳に光の力を込める。 10

2017-02-16 00:28:12
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『…って…い…!』 再び状態の悪くなった麻衣さんからの通信。それが警告だった、と気づいたのは真下から突風が巻き上げてきた後だった。まずいことに俺と奴の間…今まさに刃がある位置の風が一番強い。咄嗟に可能な限りの刃を引き戻す。確実に掠らせられる3枚は逆に加速させる。 10

2017-02-16 00:34:15
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「礼太君!目測より5ミリ手前を狙え!」 「おう!」 急な注文にも動じず、真上から頭部に拳を放つ。指示通りに狙いを微修正し、力の作用点を気持ち分だけ手前に持ってくる。その僅かなズレが次の対応動作を遅らせた。録画映像の早送りじみた動きで蝶が嘴型の口吻を開いた。麻酔液だ! 11

2017-02-16 00:41:30
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「くそっ!」 下のラッタ達は大丈夫か?いや、この程度ならなんてこたぁねぇ筈だ。俺はこっちに集中しねぇと。幸い、こっちの蝶も風に巻きこまれて上手く動けずにいるようだ。コイツは透明な以外は通常種だからな。変種とじゃとんだ凸凹夫婦だ。頑張れよ。ガキどもを落とすんじゃねぇぞ! 11

2017-02-16 00:39:20
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「バリアァァ!!」 拳を引き戻して腕を交差させ、体の前面に薄くビームを放つ。光が麻酔液を焼き尽くすが、その間に蝶は体制を整えた。 「交代だっっ!」 幸川は両手で剣の鞘を持ちながら鞘と垂直に持った左手のワイヤーガンで樹へと迫る。 「ごめん!」 礼太は鞘を蹴って後退する。 12

2017-02-16 00:46:45
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暴風が収まって来るのを待って俺はまた動いた。 『すみ…せん。刃の在庫はまだ…が、届けるの…少し待っ…下さ…』 「だよなぁ…仕方ねぇさ」 刃は15枚しか残ってねぇ。補充分も殆ど吹っ飛んじまった。風が収まったってことは奴もまた動けるようになったってことだ。不利は変わってねぇ。 12

2017-02-16 01:19:25
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幸川は鞘を放り捨て、蝶の顔を狙う。風を起こした後、羽を下に向けたままの蝶は、反動からかこれに対応出来ずに直撃を食らう。斬りつける瞬間、剣の先端が眩く光り輝く。幸川の能力だ。姑獲蝶の視力は強い方ではないが、至近距離で数千ルクスの光を受けて平気でいられるほどには鈍くはない。 13

2017-02-16 00:53:59
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刃を20メートル前辺りに飛ばし、俺も同時に飛ぶ。蝶は突進する素振りを見せたが、ありゃフェイントだ。顔に書いてある。横からの突風を嫌ってその場に留まっている。今、奴は右側に乃愛、左側に子供二人を抱えている。さっきまでもう1人の子供を捕まえていた右下の脚は鞭で折れた。 13

2017-02-16 23:13:39
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蝶は悶え苦しみ、遂に樹上から後ろへ転げ落ちる。幸川は追わずに頭上で腕を組む。礼太がそこに飛び乗る。 「頼む!」 「任せろ!」 組んだ腕をジャンプ台にし、礼太が跳んで落ちた蝶を追う。 「…今度こそ!…バン!バン!バン!」 圧縮した光弾を次々に胴体に叩き込む。 14

2017-02-16 01:00:21
フォビドゥンフォレスト@カクヨム投稿中 @fbd_forest

つまり奴の重心は左に寄ってるってことだ。実際に体も左に傾いてる。俺はその左側から殴りかかる。全ての刃を制御してる左手の剣は鱗粉を浴びねぇように、なるべく奴から遠ざける。蝶は右の羽で打ってきた。高度が下がる。俺は腰に指した3枚の刃の1つを後ろに飛ばして、そこへ飛び退いて躱す。 14

2017-02-16 23:24:00
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重力に抵抗しようと羽根を広げた蝶を守る物はない。無防備に光弾を食らう。一発一発がB級妖怪の姑獲蝶を倒しうる威力だったが、やはり堪えた様子はない。だが注意を引くには十分だった。 「せーのっ!」 「発射!」 周囲の木から一斉にワイヤーガンが放たれる。狙いは延ばしきった羽だ! 15

2017-02-16 01:04:02
フォビドゥンフォレスト@カクヨム投稿中 @fbd_forest

そこから更に奴の左側へと跳ぶ。右の羽を振り切った奴は気流に乗って浮いた状態で左の羽で打とうとするが、その前に俺は2枚目の刃を踏み台に奴の肩へと跳ぶ。刃は鱗粉に巻かれ2枚とも落ちた。 「もう少しだからな!待ってろよ!」 俺は大声で呼びかけるが返事はねぇ。 15

2017-02-16 23:32:38
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これは先程から礼太達が使っている基本装備の移動用ワイヤーではない。妖怪捕獲用の剛性ワイヤーである。S級妖怪でも容易には千切れないものだ。本来、姑攫蝶ごときに使うものではないが、この異様に強い個体にはこれでようやく抑えられる様だ。更に粘着弾を撃ち込み鱗粉を封じていく。 16

2017-02-16 01:08:40
フォビドゥンフォレスト@カクヨム投稿中 @fbd_forest

生きてる気配は伝わってくる。寒さと恐怖で声が出ねぇんだろう。俺は口吻を向けてきた蝶の面を蹴り飛ばすろし、鉄棒の要領で背に回り込む。頭から地上へ落ちながら、粘着弾の銃をホルスターから抜き放つ。暴風の中でもこれはキープ出来た。左の上羽と下羽の隙間を狙ってぶちかます…命中だ! 16

2017-02-16 23:48:35
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鱗粉を封じた上から、再度氷結や重力などの拘束魔法が撃ち込まれる。鱗粉の妨害がなければ、術が有効になる。粘着弾やワイヤーも更に追加されていく。 「おらぁっ!」 礼太が蝶の体を脚で挟み込みながら頭を滅多打ちにしていく。 「待たせた!」 本部に通信を終えた幸川も飛び降りる。 17

2017-02-16 01:27:45
フォビドゥンフォレスト@カクヨム投稿中 @fbd_forest

俺は腰の3枚目を放ち、それを中継して数m下へ跳ぶ。安全圏かつ制御圏内に退避させておいた現状最後の13枚の刃の上へと着地する。1・2枚づつ順番に県に戻して魔力を補充しながら上にいる蝶の様子を確認する。今は徐々にに高度を下げ、今は地上35m辺りにいる。俺はその7mばかり下だ。 17

2017-02-17 00:00:01
Astal_jukebox @astral_jukebox

「はぁっ!」 羽の付け根を斬りつける。中空10m辺りで四方からワイヤーに引かれた体に文字通り全方位からの援護射撃が撃ち込まれる。だというのに…。 「いい加減!死ねよ!」 顔を最早蝶には見えないほどに変形させられてなお蝶は死ぬ気配がない。 18

2017-02-16 01:32:22
フォビドゥンフォレスト@カクヨム投稿中 @fbd_forest

粘着弾を受けた奴は、羽が開ききらず重みもある左側に傾きながら、無事な右の羽で必死に藻掻くが、もう高度を維持するのも難しいようだ。今まで奴が逃げねぇように上を塞いでた俺だが、こっからは下を維持していく。勿論、いざって時に3人を受け止めるためだ。 18

2017-02-17 00:12:28
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「お、おい!ヤバイぞ!」 ワイヤーを抑える隊員が悲鳴に近い声を挙げる。剛性ワイヤーが僅かだが引き摺られているのだ。 <キィィィィィイ!!!!> 姑獲蝶は麻酔液と体液の混ざったものを吐き散らしながら絶叫する。その全身が緊張し膨れ上がる。 「…まずい!離せ!」 19

2017-02-16 01:36:37
フォビドゥンフォレスト@カクヨム投稿中 @fbd_forest

心配なのは奴が自棄を起こして人質を放り捨てることだが、表情を見る限り、獲物を持ち帰ることを諦めた様子はねぇ。少なくとも1人は意地でキープする筈だ。落ちてくるのが2人なら何とか両腕で受け止められる。「重り」が1人だけなら奴は抱えて翔べそうだが、その対策はしといた。 19

2017-02-17 00:19:53
Astal_jukebox @astral_jukebox

蝶が強引に羽撃いた!現場指揮官の咄嗟の判断で、隊員達が引き摺られることは避けられたが、羽に絡まったままのワイヤーが周囲の木々を薙ぎ払う。殆どの隊員達はシールドで防ぐか、躱して軽症以下で済ませたが、蝶に乗っていた礼太と幸川は咄嗟に胴体にしがみついた! 20

2017-02-16 01:39:30