「フォビドゥンフォレスト３話「蝶舞の町内」 #15 「救出撃」上空＋地上

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「フォビドゥンフォレスト３話「蝶舞の町内」 まとめ」をトゥギャりました。 togetter.com/li/1059870

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まとめを更新しました。「「フォビドゥンフォレスト３話「蝶舞の町内」 #14 「目標Ｂ」」 togetter.com/li/1079651

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（前回までのあらすじ：俺は片桐。田舎町の風科(かざしな)に住む高１だ。、俺は僚勇会って組織で、幼馴染や町の大人達と共に風科の禁忌の森に出る妖怪共を倒す仕事をしている。） （…森の結界を抜けてきた妖怪、姑獲蝶が俺のダチの乃愛と小学生３人を攫って飛び去りやがった）

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（森への帰り道を見失った奴は、こっちが結界に穴を開けてやっても気が付かなかった様子で、風科の空を迷走し続ける。何とか奴に先回りした俺は地上部隊と連携して奴を低空に追い落とし、まず一人の救助に成功した。だがその直後、つがいの蝶（目標Ｂ）が突撃してきやがった！）

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（姑獲蝶の限界速度の倍、時速６００キロで突っ込んできたＢの暴風で地上部隊の陣形は総崩れ、乃愛達を捕まえてる一匹目（目標Ａ）もまた高空に逃げやがった。俺は何とか奴に追いつくが、一人減った分動きの軽いＡと、足場の数と地上からの援護の手数が減った俺じゃあ相性が悪い…どうする！？）

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2017-02-05 01:03:33

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（地上部隊を襲った目標Ｂを倒し、救助活動を再開すべく片桐春夏の幼馴染、永友礼太と２０代のアマテラス大隊隊員、幸川（よしかわ）拓斗は接近戦での討伐を指示された。 ※アマテラス大隊：町内の巡回担当の隊。兼業者が多い。）

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姑獲蝶が三本足で止まる高さ２０メートルの杉の樹。その根元で幸川は礼太と共に敵を見上げながら軽く打ち合わせると後方へ通信を繋いだ。 「ワイヤーで奴に接近します。頭と羽を止めてください」 「了解！」 援護部隊が一斉に攻撃を開始する。頭部と羽根に実体弾が次々と命中する。 1

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ラッタ達が下で戦い始めた時、俺は上空５０ｍで一進一退の戦いを続けていた。俺の生命線は剣を媒介に操る刃の足場だが、奴の鱗粉をまともに浴びると、術式妨害作用で駄目になって地上に落ちちまう。目標Ｂが起こしやがった暴風で鱗粉が舞いまくってっから、油断すると刃の全滅もありうる。 1

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魔力弾は鱗粉に撹乱されるので基本的に使われない。威力を殺されるだけならマシで、最悪は跳ね返されることもあるからだ。それでも少数の手練れは、外した実弾に、鱗粉の舞う辺りを迂回した魔力弾を当てて敵の背中に跳弾させるという戦法を用い、間接的に全方位からの攻撃を成功させていた。 2

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幸い、俺が食らわせた塗料と粘着弾で奴の羽の半分は汚れて、奴自身の鱗粉は飛びにくくなってはいるが、目標Ｂが出したのもここまで舞い上がってきてるみてぇだ。今の俺の役割はまた時間稼ぎだ。下のＢを倒さねぇと迂闊に救助できねぇから仕方ねぇが、正直、キツい。 2

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何発かは急所への直撃弾だったが、樹上の蝶は僅かに怯む程度で死ぬ気配がない。そもそも、今の火力は並の姑獲蝶なら十匹近くは殺せる威力だ。急所に当てずとも数発直撃させれば十分致命傷になる筈だった。この個体が変種であるのかは分からないが、予想以上の強敵であることだけは間違いない。 3

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手数で圧倒しようにも刃が飛ばされるわ、下の大半がＢの対応に回るしかねぇわで足りてねぇ。残った下の援護部隊との連携も、通信に雑音が混じって上手くいかねぇ。いっそ完全に繋がらなきゃ諦めもつくが、鱗粉の舞い方にはムラがあるから全然駄目な時と平気な時との差が激しい。 3

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ワイヤーガンを引き戻しながら近くの木に登る二人も同じ感想を抱いていた。 「硬くないか！？」 「だな。あれだけの速度が出る以上硬い筈だとは思っていたけどね」 普通の姑攫蝶が時速６００キロで無理に動けばタダではすまない。それが無傷な以上は頑丈な筈ではあるが、予想以上だった。 4

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狙撃で奴を足止めしてもらった隙に、通信の出来る空域で下とさっと打ち合わせはした。刃のＬＥＤランプの色で下に指示を送り、支援の依頼をする符丁をざっと決めた。問題は、風のせいで思うように指示が出せないってことだがな。結局は下の自己判断頼りだ。 4

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姑獲蝶のいる木は周りより頭一つ高い。二人や中衛の援軍は周囲の木に登れる所まで登り、合図を持って近接攻撃を仕掛ける手筈だった。 『今だ！』 その合図が来た。支援部隊は一斉攻撃を止める。絶対に二人を誤射をしない位置の者だけが攻撃し、上空に飛んだ攻性ドローンは蝶の頭上を抑える。 5

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最大４０枚操作できる刃の手持ちは１４枚しかねぇ。６枚を足場にして４枚で攻撃、４枚は待機させている。本当なら３割も遊ばせておく余力はねぇんだが、剣に戻して魔力を注がねぇと刃は数分で落ちちまうし、今は無駄に浮かせても鱗粉を浴びるリスクが高ぇからな…。 5

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「てやああ！」 まず礼太が右から殴りかかるが、蝶は猛禽類じみた形の右の羽で弾き返す。開いた隙間を、幸川が正面右寄りから切りつける。蝶は左の羽を後ろに引き風を起こそうとするが、狙撃手２人の射撃と、鷲型ドローンの体当たりが同時に直撃して怯む。そこへ蝶の胸から腹へと斬撃が走る。 6

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刃と狙撃で姑獲蝶が止まった瞬間、俺はＬＥＤサインを出して足場から飛び降り、踵落としを叩き込む。人間で言う頬辺りを掠める程度だったが、それで良い。今は下手に深手を負わせる訳にも行かねぇ。奴がのけぞって飛び退くのと同時、俺も鱗粉の舞う中で、刃１枚を犠牲に逆側へと後ろ回りに跳ぶ。 6

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重い反動が幸川を押し返す。鉄塊を斬りつけたかの様な振動が握り手に響く。硬い相手に合わせて、些か過剰なまでの力を込めた筈だったが、通用していない。というよりも硬い「層」が予想よりも手前にあった。敵の表皮と鱗粉の間に、本来は存在しない…見えない防壁があるかの様に感じた。 7

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俺の体についた鱗粉は、未だ収まりきらねぇ暴風を利用して吹っ飛ばす。俺が跳んだ先で地上から撃ち込まれた「砲弾」が炸裂する。 『後ろです！』 「分かってる！」 状態の良い通信に答えると、俺は砲弾の中身…追加の刃２０枚を確保した。一旦、左右の剣に装着する。 7