勇者バッテン語り(2/19)

なめくじ/絵作卿 @greenmoonslug

むかーしむかし、夢世界は魔王とその眷属によって侵略されつつありました。夢世界の各土地は、ゆっくり、ただし着実に魔王によって占領されていき、人々はこれに抵抗しましたが、魔の手の侵攻は止まりませんでした

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しかしある時、夢世界に突如として巨大な影が現れました。その名はブンスーと言い、夢世界で暮らす人々の村や町、あるいは魔王の手下がはびこる土地をも見境なく踏み潰しはじめました

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この悪魔の暴走により双方は混乱の渦に陥りました。そうしている間にも、ブンスーは圧倒的な力で町という町を破壊して回ります。夢世界の住人たちも魔王の眷属たちも、ただその様を見ているより他にありませんでした

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しかしある時、ブンスーは一つの小さな村を前に足踏みしていました。なぜかその村に近づく事ができないのです。ブンスーは怒り、力任せにその村を攻撃しようとしますが、なかなかうまくいきません

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最終的にその村は、怒りが頂点に達したブンスーによって殴られ、踏みつけられ、ボロボロになってしまいました。この一部始終を見逃さずにいたのが、シンタイカという名の魔法研究家でした

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悪魔ブンスーの暴走を食い止めるために頭をひねっていた彼は、まずその村の跡に立ち寄り、そしてその村のことを調べるため、ブンスーの手が届いていない各地を飛び回り、あの村に住んでいた人達の話や書籍を集めました

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シンタイカはその村で行われていた祭りについて知りました。そのメロディを、節を知りました。ブンスーが足を止めるその曲を。彼はその因果関係に確信がもてませんでしたが、かつてその村で生きていた人たちの、ブンスーという暴威への抵抗を想いました。やがて天才は、一つの作品を完成させました

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対悪魔用人工知能兵器『アマリア・マリ』を

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その兵器には、天才シンタイカが考えうるありったけの技術が詰まっていました。ブンスーは悪魔。かつて人々が悪魔を倒したのは一千年前、一度きり。何が通用するかわかりません

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アマリア・マリは中央の少女の姿をしたコア、そして老人や若者の姿をしたその他多数の魔力式コンピュータを駆使し、ブンスーに対しあらゆる力を行使しました。そしてその間ずっと、かの村で歌われていた節を歌い続けました

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ブンスーはやはり、その歌に弱かったのです。アマリア・マリの人型システムが歌う歌声は、人々の歌声の何十倍にも膨れ上がり、ブンスーはやがて完全に動きを止めました。世界を襲った新たな暴威は、こうして鎮められたのです

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眠りについたブンスーは洞窟に封印されました。シンタイカはブンスーを鎮めるため、そしてアマリア・マリを守るため、『ブンスー教』という宗教を立ち上げ、人々に歌を継がせました

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魔王の側はというと、ブンスーの暴走の対応や後始末が遅れて大混乱。さらに、ブンスーとの戦いを終えたアマリア・マリが、持てる技術をこちら側に向けてきたため、魔王たちはこれ以上前に進む事ができませんでした

なめくじ/絵作卿 @greenmoonslug

こうして、魔王による夢世界の侵略は止まりました。アマリア・マリが魔王を牽制し、魔王は自分の領地に高い壁を作ったため、夢世界は住人側の領地と魔王の領地のちょうど半分になりました。ここから長い間、やがて第13代となった魔王と勇者バッテンが激突するその日までは、平和な時代が続くのでした

なめくじ/絵作卿 @greenmoonslug

要約:マリはシンタイカという天才が作った兵器 ただし滅亡した村がモデルなので人間みがある

なめくじ/絵作卿 @greenmoonslug

でもってその後ブンスー教は割と夢世界ではメジャーな宗教になってくる。ただし主神はあくまでブンスー、しかもありがたがられる存在になっているので、もともと荒神だった事とかマリの活躍とかはそんなに知られてない

なめくじ/絵作卿 @greenmoonslug

でも彼らが宗教活動してる間にもマリは魔王の動きに睨みをきかせて皆を守ってるわけで……やってる事は女神みたいなモン