ツイッター小説 お気に入りセレクト 2011/03/05

今日読んだついのべの中から独断と偏見で味のある作品をセレクトしてみました。 ついのべ #twnovel とは140文字以内で書かれた短い物語です。
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夢名 七志 @mumei7c

よくあるのは半ダースを連ねたものだ。新鮮かどうか解り易いよう、全ての筒には等間隔で窓がはめ込んである。内容物は勝手に詰め替わるので、古い物が混ざっている事はなさそうだ。押し込まれても声は出さない。活きが良いとも思えない。不味そうである。日本人の缶詰は朝から走る。 #twnovel

2011-03-04 23:30:26
Shimada Yuichi @chimada

新聞には今日も明るい記事がいっぱいだ。「ママ。新聞って何の為にあるの」「それはね。幸せな出来事をみんなで共有するためよ」けれど私は新聞が大嫌い。だって、気持ち悪いから。「悲しいことから無理に目を逸らそうとしているみたい」「悲しいことは身近にあるものだけで充分よ」 #twnovel

2011-03-04 23:37:51
だりむくれ @darimukuretyu

#twnovel 明日のことは明日考えよう、と思って私は眠った。夢の中で私は明日のことを考えていた。明日は早く起きよう、明日は仕事をやりきろう、明日は出来る限りの生き方をしよう、と思っていた。そうして私は目を覚ました。今がいつのなのか分からず、明日がいつなのかも分からなくなった。

2011-03-04 23:46:41
ヒデユキッス @hideyukiss

#twnovel 「よく使用される君がうらやましいよ」数学教師の道具箱にいる分度器はここに来て日の浅い三角定規を褒めた。だが分度器の本当の心の中は違っていた。使用度が高いということは事故も多い。特に定規のとがった部分はよく欠ける。長年生きてきた古株は新入りに冷ややかな視線を送る。

2011-03-05 00:09:04
ケイ @wtnkei

今日の終電にもくたびれた人たちが規則正しく座っていて、彼らの爪先は思い思いの方向を向いていた。まるでそれぞれの明日を目指すみたいに。気づけば時計は24時をまわっていて、実はもうそれぞれの今日が始まってるんだな、なんてことを考えながら、僕は、電車を降りた。 #twnovel

2011-03-05 00:29:08
高山 環 「ふたりの余命 余命一年の君と余命二年の僕(宝島社文庫)」発売中 @Takuya11

#twnovel 「どんな仕事をしているの?」バーの女が私に訊ねた。「池の妖精に『あなたのウンチは金のウンチですか?銀のウンチですか?』と言われて『どっちでもないです。普通のウンチです』『正直な方ですね。両方のウンチをあげましょう』『結構です』というような仕事かな」「大変そうね」

2011-03-05 06:43:21
キヨシロウ @kiyoshiro_aoi

#twnovel 僕は魔法学校に通う未熟な魔法少年。隣の席の魔法少女に恋をした。ある夜僕は魔法を使った。『彼女が好きだ。彼女の心が欲しい』魔法は成功し僕は彼女の心を手に入れた。しかし翌日会った彼女には優しさのかけらもなかった。僕のせいで心ない魔法少女になってしまったのだ。

2011-03-05 08:32:12
葉山なぎ @lull_nagi

朝、枕元に封の開いた蒸しパンがいた。なぜミルクティも一緒にいないのかと難癖をつけながら張り付いている紙をぺりぺりと剥がす。やたらにかさついていて、しかめっつらになる。蒸しパンは口の中でガリッと音を立て、砕けた。寝たのは昨日ではないようだとぼんやりした頭で考えた。 #twnovel

2011-03-05 13:33:56
kyo365 @kyo365

10年前に住んでいた街に行った。街の10年と袂を分かった僕の10年。違う道のりを経て再会。僕は10年で得たものと失ったものをポケットから取り出し道端に並べた。失ったものの方が多い気がした。「まあまあじゃないかな」街が言った。僕は立ち上がり次の10年を歩き始めた。 #twnovel

2011-03-05 13:35:53