- sm_14th_Invidia
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クズ鉄のミサキと幻想の魔術師マハラドは毎日のように停滞竜のカブトを倒す方法を模索しました。 それはクズ鉄のミサキにとって生まれて初めての充実した楽しい時間でした。
2011-03-06 04:04:47しかし、クズ鉄のミサキは同時に物足りなさも感じていました。 一つが停滞竜のカブトを倒して里を出て《善行》を積むという未来の希望、それは確かにミサキを動かす理由の一つです。 しかし、今を生きるミサキは未来の希望だけでは足りません。
2011-03-06 04:08:34彼が前に進めたのは【鳥獣族】の雛たちがいたから。 彼らの好意がクズ鉄のミサキを支えているのです。
2011-03-06 04:10:53ミサキが彼らに話して聞かせる七つの海を渡る冒険物語、それはミサキが調べ物をして物語を創る努力をすればすぐに好意という形で返ってきます。 しかし、停滞竜のカブトを倒す努力はいつか倒せるその日まで一切の褒美はありません。 それがミサキには物足りなかったのです。
2011-03-06 04:13:37@sm_12th_Gula しょうがないわよ。 ミサキは努力をすれば愛が返ってくるという経験があるからこそ動けるんだもの。 それがなければミサキは一夜のように努力するより諦めることを選ぶわ。
2011-03-06 04:16:41だからミサキは自分の努力を【鳥獣族】の雛たちに認められ、誉められる方法を考えました。
2011-03-06 04:22:09ミサキは【鳥獣族】の雛たちの館であるとき七つの海の冒険家ミサキの話ではなく、この里に生きる切望のカカシの話を始めました。 それはこの里に住み、いずれドラゴンを倒し大陸を旅しようとする【遺物族】の物語です。
2011-03-06 04:24:48【鳥獣族】の雛たちは最初こそそんな物語よりも七つの海の冒険家ミサキの物語を聞きたがりましたが、切望のカカシの絶望と努力の物語に聞き入りました。 そして彼らは切望のカカシの物語を聞くとカカシの絶望に同情し、努力を尊敬し好意を寄せて応援しました。
2011-03-06 04:28:08ああ、これで僕の努力は報われた。彼らが切望のカカシを応援している限り僕は頑張れる。 そう、ミサキは思ったのです。
2011-03-06 04:29:01@sm_14th_Invidia なんだかおかしなことになってきたね。 クズ鉄のミサキが話すミサキの話は嘘だけど、切望のカカシという形で自分のことを話してるわけだ。
2011-03-06 04:30:42そんな中、【鳥獣族】の雛たちの1人がミサキに聞きました。 「どうしてミサキはカカシを助けてあげないの?助けてあげてよ」
2011-03-06 04:32:05その問いをミサキは予想していたしだいたいの解答は考えておきました。 しかし、いざ聞かれると上手く答えることができません。 その理由の一つは、物語を作りつつけた経験がミサキに「いざ聞かれれば口が上手く回るだろう」と楽観し完全な解答を作っておかなかったことにあります。
2011-03-06 04:34:49しかし、困ったミサキの助け船が意外なところから出てきました、ミサキに憧れる【鳥獣族】の少女、黒い雲のヒジリです。
2011-03-06 04:37:07「里を出ることを選んだら、これからずっと切望のカカシは自分の力で道を探して行かなきゃいけないんだもの。その第一歩から人に道を用意して貰うべきじゃないわ。それがカカシの最初の冒険でしょう?」
2011-03-06 04:40:57「それに」 ヒジリは微笑みました。 「最善を尽くして本当の最後の最後、どうしてもあと一歩だけ力が及ばなかったとき、そのときはきっとミサキはカカシを助けるはずよ。だって、ミサキだもの」
2011-03-06 04:42:52そうして【鳥獣族】の雛たちは納得して、七つの海の冒険家ミサキと切望のカカシの冒険は続きます。 そんな中、クズ鉄のミサキはあることに気付きました。 【鳥獣族】の雛たちはいつのまにか七つの海の冒険家ミサキの話よりも切望のカカシの話を聞きたがるようになっていたのです。
2011-03-06 04:49:51クズ鉄のミサキは【鳥獣族】の雛たちの好意を奪った切望のカカシを憎みました。 何度も諦めたことにして切望のカカシの物語を終わらせてやろうと考えました。
2011-03-06 04:51:41