ツイッター小説 お気に入りセレクト 2011/03/06

often8810 @shiba8810

寝る前何かを思いついたはずなのに朝になったら忘れていることがよくある。ギリギリまでメモをとって朝見ても、自分が書いたとは思えない。なぜだろうと考えているうちに眠ってしまった。「僕は食いしん坊。この自己紹介をするのも、君が僕に会うことを思いついたのも８回目になるね」#twnovel

おぼろちゃん @oboroose

#twnovel 探しモノが夢の中で見つかる、そんなことがあるのだろうか。目を覚ましたぼくは、夢で見た場所へ急ぐ。夜の空気をかきわけ、国道を走り、榎の交差点を左折、破れた金網をくぐり抜け、黒く冷たい防火用水に飛び込み、底の泥をさらう。しかし、やっぱりここにもぼくの身体はなかった。

鈴々@物語る鳥 @re_rhythm

始めに目を惹かれたのは鎖骨だった。三つボタンの開いたシャツの襟元から覗くどこか神経質な形。思わず手を伸ばしかけてはたと我に返る。不躾な行動に彼は微笑った。触れたいなら触れていいよ。ただしちゃんと好きになってからね。それならと問う。貴方を好きになってもいいですか。 #twnovel

@accoutname

#twnovel チケットをもらった。自由席だそうだ。確かに、席はあちこち空いてるけれど居心地のよさそうな場所はなかなか見つからない。うろうろと歩いているうちにどんどんと席は埋まってしまって、背もたれの壊れた席や、隙間風のひどい席が残ってる。座る気になれず今日もぼんやり過ごしてる

とおる7th @windcreator

彼女には変な癖がある。彼女は時たま左手の薬指と小指を、少しだけ動かすのだ。一瞬の小さな動き。映画を一緒に観ていて気付いた癖は、プロポーズした時も、結婚式でも、出産でも、子育てでも、ずっと変わらない。ある日、私は気付いた。左手の小指と薬指、Ctrl+sは保存。 #twnovel

佐木ささめ @sakiandu

#twnovel 土筆が大好きな彼の為に、袴を剥がす作業で私の親指と人差し指は真っ黒になる。石鹸で擦っても落ちない色に悩んでいると、「悪いね」の声と共に彼が指を銜えるので驚いた。汚いわと言っても粘膜が絡む動きは止まらない。言葉よりも嬉しいご褒美に、来年も指を黒く染める予感がする。

キヨシロウ @kiyoshiro_aoi

#twnovel 朝風呂に入る。目と鼻と口喉をカチャカチャっと取り外し洗浄機に入れて浴槽内の洗浄液に浸かる。溜まった毒素が身体から滲み出る感覚がたまらなく心地よい。まさにこの世の極楽だ。だが、そうのんびりもしていられない。身体を温風で乾燥させ目鼻口喉を装着。さあ出発の時間だ。

馨。 @ka0ru_

俺が宇宙飛行士になった理由を､誰も知らない。技術が進み､色んな星に行った。ずっとずっと､たった一つの星を探していた。ある星に降り立った時､涙が流れた。見つけた。まったく。探すのに何年かかったと思ってんだよ。星になる､て。どの星になるか位言って逝けよな。 #twnovel

日向日影🍊📖@文化系物書きVtuber @hyuugahikage

#twnovel 「幸せかどうかは自分の心次第」という張り紙を見た。感動した。だから自分は仕事もなく友人も彼女もいなけりゃ家族と連絡もとれず、体中が痛く吐き気が止まらないが病院も行けず、残飯や野草を食べながら公園で寝ているけど心次第なんだ。幸せなんだ。おれは、しあわせだー。

葉山なぎ @lull_nagi

朝、目が覚めたら芋虫になっていた。なんてことはなく、僕はぺたぺたと顔を触って、随分前から芋虫だったことに気づいて安堵する。歯を磨きながらどこのキャベツ畑に行こうかしらんと考えていると、彼女が「芋虫！」と叫んだのが聞こえた。すっかり朝の日課になったなと頬が緩む。 #twnovel

川奈雅礼 @tsEt_ko

目撃者の証言によると、その人物は年齢10〜90歳、身長100〜200㎝程度。頭部には数え切れない毛髪があり、遠目に見ても服を着ている可能性が高いとのこと。この情報を元に、現在警察めいた機関が全力で捜査に当たり損ねています。……以上、本日の迷宮入りニュースでした。 #twnovel

@schpertor_kaien

微笑をたたえて医者は言った。「おめでとうございます。これであなたは立派に社会復帰できますよ」見下ろす俺の身体のほとんどは、鈍く光る金属部品に侵食されていた。違う、俺が欲しかったのはこんな物じゃない、欲しかったのは、「健康」だ！ #twnovel

本はこころのふるさと @steveebis

#twnovel 昨日からの雨が止み、窓の外は青い空がつきぬけていた。今日は久しぶりの休日で、特に予定もない。こんなのんびりした朝はいつ以来だろうか。ふと外を見やると一匹の猫がこちらをじっと見ている。なんとなく視線が合い、むこうも視線をそらそうとしない。そんなとき字数制限が来た。

17+1 @17plus1

「誰も傷つけることのない優しい数を探しているのさ。身の回りにある数は様々な理由でひとを傷つけているからな。目星はついている。この世のあらゆるものの総数よりひとつ多い数、それなら誰も傷つけまい。誰にも使われる機会がないその可哀相な数を見かけたら、すぐに教えてくれ」 #twnovel