フォビドゥンフォレスト４話「大規模作戦・発動！」 #1「小形黒音」

フォビドゥンフォレスト＠カクヨム投稿中 @fbd_forest

「フォビドゥンフォレスト３話「蝶舞の町内」 まとめ」をトゥギャりました。 togetter.com/li/1059870

フォビドゥンフォレスト＠カクヨム投稿中 @fbd_forest

「【３話分追加】フォビドゥンフォレスト妖怪図鑑・１」をトゥギャりました。 togetter.com/li/1056785

フォビドゥンフォレスト＠カクヨム投稿中 @fbd_forest

●●●●■■■●●◆▲

フォビドゥンフォレスト＠カクヨム投稿中 @fbd_forest

俺の操縦する緑の戦闘機が波状の拡散弾を放ち、エイリアンの戦闘UFOを撃ち落とす。 「よっしゃあ！」 「お先に失礼」 その爆発が収まらねぇうちに、黒音さんの黒い機体が爆炎を突き抜ける。二重の四角に入ったアイテムにぶつかって中身を回収する。 「あっくそ！ずりぃぞ」 1

フォビドゥンフォレスト＠カクヨム投稿中 @fbd_forest

俺は加速して追い縋る。弾を自動追尾レーザーに切り替えて、頭上から近づいて来た敵を撃ち落とす。黒音さんが真下から近づいてくるのを機体でブロックしながら、降ってきたアイテムをまた横取りされる前に機体の上部で受け止める。 「っし！…ん？」 黒い戦闘機の様子がおかしい。静かだ。 2

フォビドゥンフォレスト＠カクヨム投稿中 @fbd_forest

不審に思って横目で黒音さんの「手元」をよく見ると、エネルギーチャージの操作をしている…。しまった！ 「露払いご苦労様」 右側から出てきた縦並び１０体のＵＦＯは、姿を表すなり黒音さんが放った最大威力の拡散弾で瞬殺された。続く第二陣を飲み込んで拡散弾はようやく消える。 3

フォビドゥンフォレスト＠カクヨム投稿中 @fbd_forest

「くっそ！」 黒音さんが技後硬直で動けない隙に、スコア差を埋めるべく前に出て第三陣を狙う。 「ところがぎっちょん」 黒音さん機の上に時計型のアイコンが浮かぶと、技後硬直が解けすげぇ動きで俺の前に出て次々に敵を通常弾で倒していく。さっき取ったアイテムは時間加速か！ 4

フォビドゥンフォレスト＠カクヨム投稿中 @fbd_forest

「アダムスキー型が拡散威力アップを出した場合、次の葉巻型はね、確定で時間加速を出すのよ」 「覚えゲーかよ…‥」 俺と黒音さんは今、黒音さんの家で横スクロールのシューティングゲームでスコアを競っている。互いへの直接攻撃は禁止。いかに良い位置を確保して敵を早く多く倒すかの勝負だ。 5

フォビドゥンフォレスト＠カクヨム投稿中 @fbd_forest

俺はシューティングゲームは得意な方だ。並列思考を利用した動体把握で画面全体を把握できるからな。例えば画面を16分割して16の思考でそれぞれを把握する、みてぇな要領だ。全力なら蚊柱の蚊の数を数えたりも出来る。一応、普段は学校にしろ遊びにしろ使わねぇようにはしてるけどな。 6

フォビドゥンフォレスト＠カクヨム投稿中 @fbd_forest

今回は手加減はなしだ。黒音さんもそれを望んでんだからな。残念ながら能力を使ってもなお一歩及ばねぇしな…。いくら並列思考っつってもコントローラーもゲームの機体も一つしかねぇ。今現在の画面を把握できても、やりこんで先の展開を把握しきってる黒音さんには及ばねぇ。 7

フォビドゥンフォレスト＠カクヨム投稿中 @fbd_forest

今はオプションでアイテム欄にマスクを掛けてある。ドロップアイテムは殆どがランダムで入手時に種類が確定する。マスクを掛けると使ってみるまで何のアイテムだか分からねぇ。それは黒音さんも同じだと思ったから受け入れてみれば、とんだ罠だった。バグか仕様か知らねぇがヒデェ話だ。 8

フォビドゥンフォレスト＠カクヨム投稿中 @fbd_forest

俺は何とかスコア差を埋めようと、この面のボスには積極的に攻撃を仕掛けたが、どうもＨＰ残量で攻撃パターンが５段階に変化する奴だったらしい。前面に出てた俺はパターン切り替わりごとに強力な攻撃を受ける羽目になった。特に、４段階目開幕の全方位追尾弾幕３連発は凌げたのが奇跡だった。 9

フォビドゥンフォレスト＠カクヨム投稿中 @fbd_forest

ストックしてたアイテムを使ってみたら高速化、防御アップ、瞬間無敵化という基本ながら役立つ奴ばかりだったのは運が良かったが、そこまでだ。絶妙にいやらしい位置取りで俺に後退を許さず、安地にいた黒音さんは俺のアイテム切れを狙って一気に攻勢に出やがった。 10

フォビドゥンフォレスト＠カクヨム投稿中 @fbd_forest

ボスは４段階目まではどんどん強くなるが、最後の５段階目だけは最初のより弱体化するらしく、黒音さんは至近距離では通常弾、反撃を避けながらの追尾レーザーで間断ない攻撃を続けた。勿論、俺の射線を遮りながらな。仕方なく射線の関係ねぇレーザーだけで攻撃したが、コイツは威力が低い。 11

フォビドゥンフォレスト＠カクヨム投稿中 @fbd_forest

結局スコア差が広がる一方のまま、この面はクリアされた。ＭＶＰボーナスで更に差が広がる。 「ずりぃぞ…」 画面をポーズさせて、俺は二人用のソファの腰部分に背を投げ出す。 「貴方ももっとプレイして覚えれば良いのよ」 「元ニートと一緒にすんな…色々忙しいんだぞ」 12

フォビドゥンフォレスト＠カクヨム投稿中 @fbd_forest

「言うわね…？今は働いてるし、そもそもニートじゃなくてドロップアウトだって言ってるでしょう」 「傍から見りゃ同じだろ？」 黒音さんは昔、院生時代にポンと稼いでから最近まで働いてなかった。詳しくは知らねぇが、浪費しなきゃ盤兄と二人で一生遊んで暮らせるだけの貯蓄はあるらしい。 13

フォビドゥンフォレスト＠カクヨム投稿中 @fbd_forest

このマンションの部屋も何年か前に一括払いで買ったもんだ。「働こうとしないのがニートだから、もう働く必要がない自分はドロップアウトだ」ってのが黒音さんの主張だった。それが僚勇会に入った理由は察しがつくが…今は止めとく。磐兄も含めて本人から直接聞いたことはねぇし聞く気もねぇ。 14

フォビドゥンフォレスト＠カクヨム投稿中 @fbd_forest

「傍からじゃなくて中から見なさい」 片手を地面に付けた黒音さんがセーターの首元を指で広げる。無い胸を見せつけるかのような動きだ。 「今、『アンタじゃ谷間見えねぇよ』とか思ったわね。露骨に気の毒そうな『色』だったわ」 「見せる気なら見せる気でもうちょい広げろよ…」 15

フォビドゥンフォレスト＠カクヨム投稿中 @fbd_forest

黒音さんはしばし黙りこくった。 「…そうそう、罰ゲームがまだだったわね…敗者は一生勝者の奴隷になるんだったわね」 「んな訳あるかよ。１０分間、言うことを聞くんだろ」 「そうだったわね。じゃ、その１０分で一生私に服従する覚悟を決めなさい」 「ざけんな」 16

フォビドゥンフォレスト＠カクヨム投稿中 @fbd_forest

「…じゃあ、そこに直んなさい」 「お、おう…？」 俺が座布団の上で姿勢を正すと、四つん這いの黒音さんがにゆっくりと迫ってくる。 「待て、何する気だ」 「セックス…！」 黒音さんの目が光った、様に見えた。 「婚期が迫ってついに狂ったか！」 17

フォビドゥンフォレスト＠カクヨム投稿中 @fbd_forest

俺は立ち上がって逃げようとしたが、服を引っ掴まれて立てない。仕方なく後ろへと後退る。 「…と、思ったけど兄さんがいないわね。兄さんに見せなきゃいけないのに」 「アンタは自分の兄を殺人犯にしてぇのかよ…！？」 盤兄の前で黒音さんに手ぇ出したら普通に殺されると思う。 18

フォビドゥンフォレスト＠カクヨム投稿中 @fbd_forest

「正確には『兄の目を盗んでこっそりしようとした所をうっかり見つかって慌てて隠す感じ』でないといけないのよね」 「…なんで？」 俺は上がりアクセントで尋ねた。さっきから何抜かしてんだこの女。 「そうね…これをご覧なさい」 黒音さんはすっくと立ち上がり隅のソファへ向かった。 19

フォビドゥンフォレスト＠カクヨム投稿中 @fbd_forest

ベージュの腕付きダブルソファの座面の下の隙間に手を入れると、上をぐっと持ち上げた。スマホで一枚写真を撮ってから中から四角い何かを取り出した。何で今撮った…？あ、後で元に戻すためか。いらねぇ知恵が増えちまった。 「これよ」 黒音さんが俺に差し出したのは…。 「なんだこれ」 20

フォビドゥンフォレスト＠カクヨム投稿中 @fbd_forest

俺の眼前には…ゲームのパッケージらしきものがあった。半裸の女と悪そうな男の組み合わせの時点でヤバいが、それ以上にタイトルと思われる奇怪な２～３０文字の文がヤバかった。読み上げたくもねぇが要約すると、妹が間男に寝取られるとかいう訳の分かんねぇ文字列だった。 「なんだこれ」 21

フォビドゥンフォレスト＠カクヨム投稿中 @fbd_forest

「なんだこれ」 「実妹寝取られもののエロゲーね」 「んなもん、未成年に見せんな」 「貴方だってエロゲーやＡＶくらい隠し持ってるでしょ」 「…ねぇよ」 「またまたぁ」 「ねぇって」 いや本当にねぇんだよ。信じろ。 「なるほど、貴方身近にオカズが溢れてるものね？」 「何の話だ」 22