「ロックンロールはラテン音楽の一種である」というテーゼ再考
欧州も太平洋も戦場になり、ロマンを向けられるのが中南米しかなくなった第二次大戦中、ラテンの曲がヒットするようになった。こないだ書いた「ベサメ・ムーチョ」もアメリカでは1944年に大ヒットした。 twitter.com/kentarotakahas…
2017-03-21 17:57:07コンスエロ・ヴェラスケスが「ベサメ・ムーチョ」を書いたのは1941年、16歳の時。キスもしたことのない少女が初めて書いた曲が、世紀のラテン・ラヴ・ソングになった。
2017-03-02 09:10:12その仕掛人はラルフ・ピアーで、彼はブルーズ、カントリーに続いてラテンの商業的可能性を開拓した訳だけれど、ともあれ、第二次大戦が終わる頃にはアメリカの音楽界にはラテン音楽というジャンルが成立していた訳だ。
2017-03-21 18:04:37一方で、ジャズの世界では第二次大戦中にバップの革命が起こり、ビッグ・バンドは衰退して、より芸術的な、より個人主義的な音楽にジャズメン達は向かう。50年代ジャズはその傾向が強い分、ダンス・ミュージックとしての機能性は減じた。
2017-03-21 18:07:34対して、ラテン音楽はダンス・ミュージックとして強力。でも、さっき書いた「ハネ」の問題があって、ルンバのようなラテンのシンコペーションは、8分音符でハネてしまうジャズのスウィング・ビートとは相容れにくい。
2017-03-21 18:12:35そこで、それまでスウィング・ビートで演奏されていたブルーズの曲でも、8分音符のハネをぐっと減らして、ルンバのシンコペーションを入れて演奏すると、ロックンロール方向にシフトしていく訳です。
2017-03-21 18:17:10ロックンロールの「元祖」とも言われるルイ・ジョーダンにもラテンっぽい曲がありますね。これは何なんでしょう…カリプソ?youtu.be/or5gEJ1rtVI twitter.com/kentarotakahas…
2017-03-21 18:24:58実はこの「ハネ」を減らして、というのは、25年以上前に『ポップミュージックのゆくえ』の中に書いたスカの成立におけるリズム・ケミストリーとまったく同じなんだけれど、ロックンロールの成立にもそれは当てはまるのではないか、と最近は考えるようになったのです。
2017-03-21 19:01:18もちろん、スカに比べると、ロックンロールはスタイル自体が幅があるし、もっと多様な要素が絡み合って生まれている訳だけれど。50年代の初期ロックンロールと呼ばれる曲は、リズム的にはシャッフルや三連も多いしね。チャック・ベリーの初期の曲はドンタンドンタンのカントリー的な2ビートだし。
2017-03-21 19:04:01ドンタンドンタンの2ビートだけじゃなくて、シャッフルだろうがルンバだろうが、何でも2拍4拍のバックビートを効かせてやれば、ガキどもが踊り狂う音楽になる(みんな違いなんて気づかずに踊る)ってことに最初に気づいたのは、たぶん、アール・パーマーだと思う。
2017-03-21 19:13:23ニューオルリンズ出身の彼はその地に伝わるミクロ、マクロのシンコペイティッド・フォームを全部飲み込んでた。でも、2、4のスネアさえあれば、全部ポップソングに使えるんだよ。てことで、音楽の歴史を(良くも悪くも)塗り替えた。 amzn.to/2nhAXvH
2017-03-21 19:20:38これいいですね。ブルーズ進行だけれどリズムはラテン。その意味ではニューオルリンズR&Bですね。この映画知りませんでしたが、1947年ということは完全に当時のラテン・ブームの産物ですね。 twitter.com/maruomarukido/…
2017-03-21 20:42:10アール・パーマーが最初に2、4のバックビートを使ったのは、ファッツ・ドミノのこの曲だったと言われる。でも、イントロからは叩かないんだよね。サビで盛り上げるために入れる。 1949年。 Fats Domino The Fat Man google.co.jp/url?sa=t&rct=j…
2017-03-21 20:51:09でも、2、4のスネアがポピュラーになるには結構、時間かかってる。1955年のビル・ヘイリーの「ロック・アラウンド・ザ・クロック」に至っても、スネアは最初のうちは2小節に一回くらい。途中から2、4で叩く時もあるみたいな感じだった。ロックの基本は2、4でもなかったのだ、まだ。
2017-03-21 21:12:44ロックンロール成立史においては、同じ1955年のこれがデカイんじゃないかな。ハネを減らしてスピードアップ。ピアノの8分音符連打がそれを強調する。ドラムはアール・パーマーで、2、4のスネアががっちり入る。 youtube.com/watch?v=F13JNj…
2017-03-21 21:22:43と考えると、2、4にスネアが入る音楽が世界を支配するようになったのは、ここ60年間くらいということになる。
2017-03-21 21:26:19アール・パーマーはバーソロミューのバンドにいましたけれど、これはどうでしょうね? 1957年はロスアンジェルスに移る年です。シャッフル・ビートとハネを殺したエイト・ビートが共存してるような変な曲ですよね。 twitter.com/maruomarukido/…
2017-03-21 23:55:36@kentarotakahash デイヴ・バーソロミューのバックもアール・パーマーなのでしょうか。この曲などJディラのビートに通じるものを感じます。youtu.be/9vZeLSwz-Dw
2017-03-21 23:38:32やっぱり、リトル・リチャードの「Tutti Frutti」が出た1955年が分岐点なんだろうな。黒人のミュージシャンもハネない方がクール(or 売れる)といろいろやり出して、無理な感じのポリリズムになったりもしたと(そこが今っぽい) youtu.be/9vZeLSwz-Dw
2017-03-22 00:33:35チャック・ベリーのこれは1956年。くそカッコイイ。ドラムはアール・パーマーのライヴァルだったチェスのフレッド・ビロウ。チャックはグレッチのソリッド(6120)弾いてるのって珍しいね。 youtube.com/watch?v=9jKrHz…
2017-03-22 00:45:54デイヴ・バーソロミューもチャック・ベリーもほとんどワンループでラップしてるようなものだよなあ。1956年くらいって、そんな感じがあったんだな。
2017-03-22 00:53:19ジャズ、ロック、スカの誕生にラテンが関与しているとして、ガラージもラテン発だし、ファンクの誕生もラテンの変形だと私は考えるので(鈴木哲章ファン)、アメリカ音楽におけるラテンの影響力どれだけ強大なんだ、ラテンどっから来たって話になる。 twitter.com/kentarotakahas…
2017-03-22 01:05:19当然ながら、これは油井正一先生の「ジャズはラテン音楽の一種」に倣ったものなんだけれど、あらためて、ロックンロールとラテンの関係を考え出したきっかけは、次号のサンレコ連載に書いてある第二次大戦中のラテン・ブームなんだよね。
2017-03-21 17:55:54ちなみにおれがBlack Lives Matterで驚いたのは、ラテン音楽をブラックミュージックとして扱うんだよね。旧いラテン観を持つ人には受け入れがたい歴史観だろうし、おれ自身もちょっと牽強付会すぎるとは思うけど、でもその観点がないと理解できないことも多いよなーとは思う。
2017-03-22 01:08:19うぉー久しぶりに聴いた。何もかもかっこよすぎる。。。 T.Rex - Mambo Sun youtu.be/TQ_oxYf0Rw4 @YouTubeさんから
2017-03-22 01:10:22ロックンロールの元祖で、ラップの元祖でもある曲って何だっけ?としばらく思い出せなかったが、これだ、これだ、アーキー・シブレー。1950年。 youtube.com/watch?v=OBOcJK…
2017-03-22 01:25:15