【枇杷先生特別講義 第4弾】エスアールエルの白血病検査で検査結果に誤差があったニュースはどういう問題なの?

第4弾だっけ?
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枇杷 @loquat_priest

臨床検査では、毎回同じやり方で測定を行うことは極めて大事なので、やり方自体が間違っていた場合、毎回同じ間違い方をする可能性が高いです(ここは枇杷の推測を多分に含みます)。間違い方がそろっていれば、時間経過での動きに与える影響はとても小さくなります。

2017-03-25 21:43:20
枇杷 @loquat_priest

これらのいずれにも当てはまらない病気として、慢性骨髄性白血病のBCR-ABLという異常遺伝子があります。この病気では、国際的に標準化された方法で遺伝子の量をケタで表し、そのケタの大きさで治療の効果をみる、という診療が世界標準になっています。

2017-03-25 21:49:58
枇杷 @loquat_priest

この病気に限っては、遺伝子の量の報告が狂い、治療の選択に影響した可能性が否定できません。しかし、問題の方法で検査を行っていた医療機関は保険の関係で限られており、2015年4月からは今回の問題に含まれない検査法が標準になったため、その影響はすでに修正されている可能性が高いです。

2017-03-25 21:58:40
枇杷 @loquat_priest

以上の推論から、枇杷は今回の報道で、白血病患者さんが自分の治療や診断についていま心配する必要はなく、現状の治療を続けていただくのが望ましいと考えています。ただしこの見解は不確かな推測に基づくもので、新たな事実によって修正される可能性があることをくれぐれもご理解ください。

2017-03-25 22:03:03
枇杷 @loquat_priest

ひとつ訂正します。この方法は定量PCRのうち、あるひとつの測定法の説明でした。量が測れればどのような原理でもすべて定量PCRです。 twitter.com/loquat_priest/…

2017-03-25 22:07:57
枇杷 @loquat_priest

その工夫とは、「正常異常を問わずすべての細胞に等しくあると考えられる遺伝子」を、異常な遺伝子とともに同時に増幅させ、その増え方を比べることでもとの遺伝子の量を推定する、という方法です。このやり方を定量PCRと呼びます。(詳細は高度に専門的なので省きます)

2017-03-25 18:16:17
枇杷 @loquat_priest

あと、念のため補足を。遺伝子検査が白血病の診断に決定的なことがあると言いましたが、これはあくまで白血病の型(種類)という意味で、白血病かどうかの診断はほとんど骨髄検査の見た目によります。したがって報道の通り、今回の問題で誤って白血病と診断されたりした可能性はありません。

2017-03-25 22:24:54
枇杷 @loquat_priest

それからさらに念のため。検査の問題が心配ないことを強調するような文章にとられるかもしれませんが、枇杷は検査を使って患者さんを診るのが仕事の人で、(株)エスアールエルとの経済的な結びつき(利益相反)はありません。

2017-03-25 22:27:38