すべてはこのツイートから始まった。
そういや、HTLV-Iの急性感染症ってなんでないんだろ。乳児期の不顕性感染はわかるけど、成人してからのヒト–ヒト感染ってもしかしてないのか??
2016-01-06 16:53:52そして、HTLV-1を勉強しようという流れをさっそく逃さずがっちりキャッチして勉強会が開催されることに。
【勝手に告知】本日21時頃より当TLにて、びわ先生による特別講義「これでわかる!非専門医のためのHTLV-1とATLのすべて」が開催されます。皆様奮ってご参加ください!
2016-01-06 17:22:36急な公演の依頼にも気前よくこたえてくださる枇杷先生。
では、枇杷先生は血液内科クラスタのみならずツイッタラー医学会で非常に御高名な先生でいらっしゃいますが、慣例にしたがってご略歴を紹介させていただきます。枇杷先生はバラ科の常緑高木樹でございまして、特に造血器腫瘍には非常に造詣の深い果物でいらっしゃいます・・・
2016-01-06 22:07:17本日はウイルス学的にも腫瘍学的にも話題の付きないHTLV-1とATLについて、非血内クラスタの我々にもわかりやすく御講演いただけるとありまして、非常に楽しみにしております。それでは、枇杷先生どうぞよろしくお願い致します・・・
2016-01-06 22:08:35本日ご講演頂きますのは、造血器腫瘍に造詣の深い枇杷先生です。先生は「美少女に踏まれフルーツワインになりたい」とのささやかな夢をお持ちです。そんな枇杷先生のご講演、最後までお聴き頂ければと思います。
2016-01-06 22:17:55講演の始まりです。
成人T細胞白血病/リンパ腫は、特定のレトロウイルスが原因で起こる造血器腫瘍で、その原因ウイルスはHTLV(ヒトTリンパ向性[Tリンパ性白血病]ウイルス、human T-lymphotropic[T-cell leukemia] virus)-1という日本で発見されたウイルスです。
2016-01-06 22:08:44ウイルスの発見そのものは、アメリカとほぼ同時で名前もアメリカのグループがつけたものになっていますが、成人T細胞白血病/リンパ腫(以下ATLL)の原因であることを突き止めたのは日本人の仕事です。
2016-01-06 22:10:59HTLV-1はアメリカで命名されたのか。知らなかった。そもそもアメリカにもHTLV-1はいるんだっけ?アジア・アフリカだけかと思ってた…
2016-01-06 22:18:16このところの歴史は、枇杷が語るよりも科研費のサイトがドヤ顔で物語にまとめてくれているので、こちらをお読みください。 科研費から生まれたもの 成人T細胞白血病とHTLV発見物語 前編jsps.go.jp/j-grantsinaid/… 後編jsps.go.jp/j-grantsinaid/…
2016-01-06 22:13:53白血病やリンパ腫の多くは、少数の例外を除く他のがんと同様に、明らかな発症の原因(となるヒトの体の外部からの影響)はわかっていません。その中でATLLは、HTLV-Iというウイルスが原因になることがはっきりしている、珍しい病気です。
2016-01-06 22:19:11HTLV-Iはヒトからヒトへと感染しますが、その感染性は弱く、感染経路が限られており(後述)、ウイルスを体に持っている人(キャリア)の分布には地域性があります。したがって、ATLLが多く見られる地域は世界的に見ても偏っています。
2016-01-06 22:23:41@nascheveningen 日本では九州沖縄の他に、たしか四国・和歌山や東北地方太平洋岸や北海道(アイヌ系)など、いくつかHTLV-1の高頻度地域があったと思います。
2016-01-06 22:22:56HTLV-Iキャリアが多いのは、世界的には日本を初めとする東アジア、アフリカ象牙海岸、カリブ海沿岸諸国などです。日本ではご存知の通り、沖縄・九州地方を代表に南西地方が多いですが、宮城県を北限として太平洋沿岸にもキャリアがいます。漁民の移動に伴ってできた分布と考えられています。
2016-01-06 22:28:58あ、すみません。HTLV-IとHTLV-1の表記が混ざってました。HTLV-1に統一しますね。さて、こっからどっちへ展開しましょうか
2016-01-06 22:33:37ATLLとはどういう病気か、について先にお話ししましょう。ATLLはさっきの物語にもあったように、もともと高齢成人に発症するT細胞性白血病で、末梢血中に特異な形態(花びらのような)をした核を持つflower cellが特徴的な病気として見つかってきました。
2016-01-06 22:37:48それに加えて、HTLV-1のキャリアでは、白血病ではなくT細胞リンパ腫(血液中よりもリンパ節などで腫瘍細胞が増える)が発症してくることがありました。また、病変が皮膚に限られているものや、一見白血病のようで、緩慢な経過で長期間治療しなくても悪化しないものなどもみられました。
2016-01-06 22:44:31HTLV-1がこれらの腫瘍に関係していることを診断するには、(1)腫瘍細胞にHTLV-1の遺伝子が認められること、(2)その遺伝子が患者DNAに組み込まれた位置が全て同じであること、を証明する必要があります。
2016-01-06 22:50:07