美容師エミヤくんの日記
- sunagamesh
- 2950
- 8
- 0
- 0
おはようだ!雑種ども!昨日はついFGOGOに夢中になって放置してしまったので、今日は続きから行くぞ!……で、どこまで上げたんだったか覚えているか?
2017-04-02 10:43:41は?エイプリルは昨日で終わった?何を言っている?今日も4/1に決まってるだろう。ほれ、我のFGOGOもこのおおりちゃんと動いているぞ? pic.twitter.com/f48TgGeOGU
2017-04-02 10:46:20【7月20日】 ようやく梅雨が明けたようだ。まだそこまでではないがこれから夏らしくなるのだろう。夏休みに入るからか学生の客が多い。女子生徒の相手は少し疲れる。担当美容師の恋人の有無を聞いて一体どうするつもりなのだろうか。
2017-04-02 10:47:45【8月10日①】 お盆の帰省前で忙しい。だというのに例の客がやってきた。暑さのためか過去最大に苛立っているようだ。男が入った瞬間、ピリピリとした緊張感が店内に広がる。まだ数回だというのにもう慣れたのか店員たちは互いに目配せし合うと、私から客を奪って男の方へと押しやった。
2017-04-02 11:05:00【8月10日②】 溜息を吐き奥の席に彼を案内する。彼が来るのもほぼ2ヶ月ぶりだ。その間切ってなかったのか、艶やかな金色の髪は肩には付かないものの耳を隠すほどに伸びている。他の人間がすればだらしなく見えそうだが、その外見と相まってそういうファッションのようにも見えた。
2017-04-02 11:18:16【8月10日③】 シャンプーをすると彼は小さく息を吐いた。心地良さそうなその声に少しどきりとする。シャンプーの泡の中に流れる金の髪はいつもより長く、誰もいないのを確認してその触り心地にうっとりと目を細めた。唯一側にいる髪の主はフェイスカバーで何も見えはしない。
2017-04-02 11:19:03【8月10日④】 夏用の柑橘系の香りのトリートメントを済ませてドライヤーで髪を乾かすと、彼の髪質に合っていたのかしっとり艶々と金の髪が指を滑る。髪を乾かされるのが心地いいのか、男は猫のように目を細めた。
2017-04-02 11:19:27【8月10日⑤】 不機嫌なばかりの男と思っていたが、向こうが慣れたのかこちらが慣れたのか、それ以外の表情も見えるようになってきた。懐かない猫にようやく触れられたようで、なんというか少しこそばゆい。
2017-04-02 11:19:56【8月10日⑥】 いつもより長い髪は艶々と美しく、シザーを入れるのに心が痛んだ。パラパラと金の糸が床に落ちる。どうにかいつもくらいに切りそろえると、彼は清々したように「うむスッキリした。やはり暑くても定期的に切らなくては駄目だな。いっそもっと短くしたほうがいいか?」と口を開いた。
2017-04-02 11:20:29【8月10日⑦】 彼から文句や要求以外で話しかけられるのは初めてで、少し驚いた。しかもこれはアドバイスを求められているのだろうか。これはどうにかよい回答を返さなくてはと思うのだが私の口から出たのは「……いや、今の長さが一番似合ってるのではないかな」という面白みのない言葉だった。
2017-04-02 11:22:55【8月10日⑧】 勿論彼の顔ならば短くてもそれはそれで似合うだろう。だがこの美しい髪をこれ以上切り刻むのは耐えられず、それに今の口調だと短くしたらまたそれが伸びるまで来なそうだ。無論今の長さが似合うという言葉にも嘘偽りはないが。
2017-04-02 11:23:24【8月10日⑨】 私の返答に彼はつまらなそうに鼻を鳴らしたが、それでもそのままの長さで帰っていった。夏の日差しに金の髪がキラキラと光っていた。誰もいなくなった奥の席を藤丸が片付けようとしてくれていたので慌てて自分でやるからと止める。店はまだ混んでいるのだ。
2017-04-02 11:24:02シナモンリンゴジャムとクリームチーズのクラッカーだぞ。リッツパーティーではない。ルヴァンだ。 pic.twitter.com/z716vbRpfz
2017-04-02 12:42:24【9月12日①】 彼が来た。機嫌がいいのだろうか。いつものピリピリした雰囲気はない。今日は比較的空いていたが、いつもの席に案内する。トリートメントが夏用のものから変わったのだが、彼の髪質には以前の方が合っていたように思う。前回のメーカーのも仕入れられないか店長に相談してみよう。
2017-04-02 14:18:59【9月12日②】 いつもどおりシャンプーを終えてドライヤーで乾かす。彼はこれが好きらしいと最近気づいた。指で髪をかき混ぜながら温風を当てると、気持ちよさそうに目を細める。
2017-04-02 14:19:25【9月12日③】 カットはいつもどおりのつもりだっだが終わった後に「ふむ、相変わらず凡庸な腕だが、まぁ多少はマシになったのではないか」と言われる。褒められたのかよくわからないが少し嬉しい。
2017-04-02 14:22:12【9月12日④】 機嫌が良さそうだったので次回の予約を勧めたが面倒だと一蹴された。そんな面倒なことをしなくてもお前は我の担当だろうと。なんとも自分勝手な台詞である。来たときに私が休みだったらどうするつもりなのか。
2017-04-02 14:22:54【9月12日⑤】 ただまぁ不思議と悪い気はしない。ついでに彼の名前を聞くと、くるりと赤い瞳を丸くした後「そういえば言ってなかったな」と笑った。揶揄のない普通の笑みを見るのは初めてで少し驚く。以前思った通り見惚れるような笑みに、いま周りに客がいなくてよかったと思った。
2017-04-02 14:23:41【9月12日⑥】 「ではな、エミヤ。次来るときまでにもう少し腕を上げておけよ」見送りのために出た道路の脇で、彼はそう言って帰っていった。どうやらこちらの名前は知られていたらしい。まぁ店の中で店長や藤丸たちに呼ばれていたので当然かもしれないが。
2017-04-02 14:27:04【9月12日⑦】 それでもそれを彼に認識されていたことに少し驚いた。こちらは今日ようやく名前を知れたというのに。来店から半年弱。ようやく知れた彼の名はギルガメッシュと言うらしい。
2017-04-02 14:28:00