「アート×政治」群馬県立近代美術館の作品撤去が投げかけたもの
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白川先生の作品が置かれるはずだった群馬県立近代美術館のエントランスホール。 「わたしはわすれない。(゜o゜)想像☆の力」と書かれたのぼり旗と、白川先生の蜜蜂の巣をモチーフにした作品。 pic.twitter.com/7uX6tTc4Dr
2017-04-25 15:45:02件の作品は、慰霊碑とそこでの政治的中立性をめぐる表現の制約についての表現とも言える。その慰霊碑は、美術館と同じ群馬の森公園の中にある。
2017-04-25 15:47:11つまり、表現規制問題をテーマにした意見表明が、争訟的・政治的であるという理由で、美術館から撤去されてしまったわけでして、その深刻さをぜひ皆さんにはお察し頂きたいと思う次第です。元の慰霊碑論争自体の賛否とは、さらに別のレイヤーの深刻さを有する問題として。
2017-04-25 15:50:57白川先生の作品は、慰霊碑が袋を被せられ、布を掛けられて、見れなくなってしまった様子を描写した作品でして、その、規制された表現について表現した美術品の展示が、公共美術館で許されないという事態なわけですよ。
2017-04-25 15:54:33慰霊碑と作品を並べるとこうですね。 pic.twitter.com/jq42gTAUHi
2017-04-25 16:19:13論点の一つは、公共美術館の公共的役割と統制なので、一般的な表現の自由とは異なる部分も多いかと。 特に公立美術館を、専門家(ないしは専門家コミュニティ)の自律性で治めるのか、あるいは首長や議会による民主的統制によって治めるべきか、それらが責めぎ合い補完するバランスはどうあるべきか。
2017-04-26 00:49:38美術館の問題は、図書館の問題と似ている部分もありますが、ルールに基づく幅広い選書と、キュレーションでは大分事情が異なりますし、専門家言論の論点と似ている部分もありますが、それと比べるとかなり裁量的な話でもあります。大学や弁護士のような強固なギルドにすることには弊害もあるでしょう。
2017-04-26 01:07:57その中で、一度決まった美術展の選考を、表現の制約の問題をテーマとしたことが政治的・争訟的であるとの理由で引っくり返し、しかもその判断が、思想信条的の異なる人々が議員を使って働きかけた結果ということになると、そのような多元的・曖昧な統治のあり方・裁量に照らしても、問題があるかと。
2017-04-26 01:17:57さらに言えば、公共美術館が市民に対して果たすべき公共的な目的・役割を果たせていない、ということになるのではないかと思います。民主主義の危険性から、美術館的な自律性を、必要なだけ守れていないのではないか、ということです。
2017-04-26 01:24:04国際博物館会議(ICOM)の倫理規定を見てみよう
図書館には「図書館の自由に関する宣言」がありますが、美術館には何があったかなあと考えたところ、国際博物館会議(ICOM)の倫理規定があったじゃないか、と。
国際博物館会議(ICOM)とは?
ちなみに、学芸員は国際的な職種で、ユネスコ傘下のICOM(国際博物館会議)という、博物館関係者による国際組織もあります。再来年は京都でICOM大会が開かれます。日本の博物館・美術館をアピールするチャンスなのに、大臣が世界の学芸員に喧嘩売ってどうするんですか。
2017-04-17 18:36:19一応書いて置きますが、ICOMの倫理規定はガイドラインであり条約・法律の類ではありません。念のため。
2017-04-25 23:50:33倫理規定の中身
群馬県立近代美術館の企画展から政治性を理由に作品の撤去が要請された事件は、国際博物館会議の倫理規定だと「2.13 博物館の収蔵品からの除去」に当たるだろうか。 (美術館も博物館も科学館も「museum」として一緒くたに扱う倫理規定である)
2017-04-25 23:43:12「博物館の収蔵品から資料もしくは標本を除去することは、その資料の意義、性格(更新できる場合もできない場合も)、法的な位置、およびそのような行為から生じ得る公衆の信頼の損失を十分理解した上でのみ行われるべきである。」 j-muse.or.jp/icom/ja/pdf/IC…
2017-04-25 23:44:28政治的理由からの撤去要請は「公衆の信頼の損失」だということもできるかもしれない。 #群馬県立近代美術館
2017-04-25 23:45:50@high_octane2960 一旦展示したからにはそれまでとは違う格別の配慮が必要という点では、ユナイテッド航空に強制排除事件に似ますね。あれは搭乗口で拒否してれば権限内の行為でそれほど大きな問題にはならなかった。美術館も展示前ならその規定には掛かりませんよね。
2017-04-25 23:47:46@9YbrUHWt ガイドラインであって、解釈して運用するものだと思うので、ケースバイケースだと思います。そもそも、この規定は「収蔵品」の除去について書かれているので、展示の有無とは関係ありません。 博物館は、むやみやたら文化財を捨ててはダメだよという規定です。
2017-04-25 23:53:57@9YbrUHWt なぜ文化財を無闇に捨ててはいけないかというと博物館は、文化財を保護することはもちろん、鑑賞し楽しみ理解する機会を提供する義務があるからです。
2017-04-25 23:59:20@9YbrUHWt 今回の場合、一旦、企画展の展示に加えた作品を公開直前になって、政治的な理由で展示の対象から外すのは、文化財を捨てたわけではないにしても、上記の義務を真面目に果たしているのかという疑問があります。そのことによって失われる公衆の信頼を考えているのでしょうか、と。
2017-04-26 00:01:35@high_octane2960 この作品はそもそも収蔵されていなかったのだから、展示=その前段階での「引取・預かり」も含めて収蔵に該当する部分も意味したつもりでした。展示の有無のみで先の規定を読み取ったわけではないです。言葉足らずでした。
2017-04-26 00:23:01@high_octane2960 収蔵という言葉は、半永久的にその美術館の所有品とする意味だと考えているので、一定期間展示した後に作者に返還する場合は「収蔵」とは言わないのだろうと思ったのです。(^^)
2017-04-26 00:24:39これも掲げておこう。『博物館倫理規程に関する調査研究報告書』 mext.go.jp/component/a_me…「博物館に携わる者は、資料の多面的な価値を尊重し、敬意をもって扱い、資料にかかわる人々の多様な価値観と権利に配慮して活動する」
2017-04-26 03:29:34昨今流行りのアートで町おこしと表現の自由、もしくは「学芸員はガン」発言について
瀬戸内であれ北陸であれアートで町おこしというのは最近盛んなわけですが、そのことに対する貞包氏の問題提起。
貞包 英之「アートと地方の危険な関係〜「アートフェス」はいつまで続くのか?「地域おこし」に潜む政治力学」『現代ビジネス』講談社 2016.9.24
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49691