映画「息の跡」の佐藤貞一さんが著した"The Seed of Hope in the Heart"まとめ:その2

実は「其の弐」もあるのだよ。 じっくりと読んで、陸前高田の「佐藤たね屋」の佐藤貞一さんの思いを感じてほしい。なぜ英語で書いたのか…。 そうそう、佐藤さんのギターの演奏もすごいですよ。
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ふぅ リボベジではありません @PzlSJDp6RFY437G

1-6章7 山の間の平地で海から5.5キロもある場所です。誰も家から避難するなんて考えなかったでしょう。そこを突然波が襲いました。家のことをしていた人、会社で仕事をしていた人、金庫の中を確認していた人、壊れたものを片づけていた人。たくさんの営みが一瞬にして消えてしまいました。

2017-05-19 10:28:01
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1-6章8 瓦礫の中からたくさんの遺体がみつかりました。箒を持ったままの女性。友達同士でしょうか、手を握りあっていた人たち。金庫をしっかり抱えていた男性は会社の会計担当者に違いありません。車の中で亡くなった人もいました。遺体は体育館に運ばれ、悲しみの声が山にこだましました。

2017-05-19 10:29:18
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1-6章9 この地区には金山沢と中ノ沢の2つの流れがありました。国道近くのこれらの流れ沿いは下流から運ばれてきた瓦礫が山になっていました。津波のときは、たとえ小さな流れであっても川の近くは危険です。

2017-05-19 10:36:22
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1-6章10 佐藤さんたちがここを出発して間もなく道が渋滞しました。津波はそれを後ろから襲い車の列は瓦礫の山と化しました。車に乗ったら逃げるのは困難です。車を捨てることも、同乗者をほったらかすことも、荷物を置いておくこともできません。そしてたくさんの人が車内で亡くなりました。

2017-05-19 10:38:42
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1-6章11  車から降りて走って避難しようとした男性は、渋滞した道路で車に跳ねられ波にさらわれました。この辺の地理に詳しく、抜け道を知っていた人たちはその道を通って助かりました。狭いガタガタ道は空いていましたが、国道の混雑は悲劇を招きました。

2017-05-19 10:39:03
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1-6章12 少し前に通った白壁の家は完全に壊れました。でも、あの盆栽のような松の木は生き残ったのです。直径50―60センチもある樹齢160~180年の立派な木です。津波から1年たっても、その松は青々としていました。8メートルの津波に耐えたその姿は周りの人に勇気を与えました。

2017-05-19 10:40:01
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1-6章13 ところがその松の脇に葬儀社の建設が始まりました。葬儀社の看板は被災した人たちに否応なく死を思い出させます。こうしたところで被災者の気持ちを落ち込ませる葬儀ビジネスはやめてほしいです。

2017-05-19 10:41:18
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1-6章14 ガソリンスタンドにとまっていた車はおそらく流されてしまったことでしょう。  津波の後、このガソリンスタンドの人から停電しているときは給油はできないんだと聞かされました。いっしょに働いていた女性のスタッフが亡くなったということも。いつもニコニコしていた人でした。

2017-05-19 10:42:23
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1-6章15  あのときガソリンスタンドに入ることにしたら、もし後ろの車がクラクションを鳴らしてくれなかったら…。  佐藤さんたちはガソリンスタンドで死んでいたに違いありません。これは運命でしょうか、それとも偶然だったのでしょうか?

2017-05-19 10:43:04
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息の跡 佐藤さんの本、続きです。 手もとの地図をみると内陸6.5キロを東京に当てはめると千代田区・中央区・港区ほぼ全域が入りそうです。誰一人津波なんて考えなかったことが容易に想像できます。 1-7章1 「廻館(マッタテ)橋付近(海から約6.5キロメートル)」

2017-05-27 10:58:13
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1-7章2 佐藤さんはガソリンスタンドを出て、スピードをあげて再び国道340号線を進みます。玉山金山方面入り口が見えました。平泉の繁栄を支えた山で従妹の子が通う幼稚園がありました。お母さんの家へはこの道を通って行くこともできますが、スピードを出していて通り過ぎてしまいました。

2017-05-27 10:59:22
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1-7章2 背後から明らかに車とは違う何かが近づいてくる音がしましたが振り返ることなく、黙り込んだままひたすらスピードをあげて走りつづけました。  多くの車が佐藤さんたちと同じ方向に向かう中で反対方向を急ぐ車もありました。津波見物に行くやじうまだろうと佐藤さんは思いました。

2017-05-27 11:00:52
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1-7章3 前方に気仙川にかかる鉄橋と廻館橋が見えてきました。矢作川と気仙川はここで合流します。進行方向左側のデルタ地帯に田んぼや畑が広がっていました。左折すると廻館橋を渡って矢作川に沿って国道343号線を行くことになります。しかし佐藤さんたちはそのまま340号線を進みました。

2017-05-27 11:03:40
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1-7章4 車の列は左右にわかれ、道は急に空きました。左を見ると農業法人の大規模な花栽培のハウスが見えました。いつもの風景でした。

2017-05-27 11:04:45
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1-7章5 ひとまずガソリンは足りそうです。ラジオは「津波の高さは3メートル」と繰り返しています。「津波なんて絶対ここまで来ないし、店も大丈夫。渋滞をみて大げさに考え過ぎたな」そう話ながら、それでもふだんよりは速く車を走らせてこの地区を過ぎました。

2017-05-27 11:05:12
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1-7章6 佐藤さんの考えは誤りでした。チリ地震津波では洪水の被害はなかったものの廻館橋付近に津波で流れついた瓦礫が残っていたのです。それが津波の可能性を知るヒントだったのですが、佐藤さんも含め皆の記憶からそんなことはすっぽりと抜け落ちていました。知らぬが仏とはこのことです。

2017-05-27 11:07:15
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1-7章7 背後から怪物が口をぱっくりと開けて追いかけてきました。  数分後、廻館橋付近を津波が襲います。津波は猛スピードで川を遡上し、鉄橋に襲いかかりました。鉄橋は数分間持ちこたえるも半壊し線路はロープのようによじれ、近くの竹駒駅は完全に流されてしまいました。

2017-05-27 11:08:38
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1-7章8 津波はさらに50メートル上流の廻館橋にぶつかりました。コンクリートの橋はしばらくの間激しい波の攻撃を受け続けましたが、なんとそれに耐えたのです。川の流れが二方向に分かれて津波の勢いが少しそがれていたこともあると思います。でも何と勇敢な橋でしょう。

2017-05-27 11:09:06
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1-7章9 近くに住む佐藤さんのお母さんの幼なじみが家ごと流されてしまったと知り、お母さんは大声をあげて泣きました。毎年、白菜の苗を買いにくるお客さんは流されたところを救出されましたが、あまりのショックに避難所で亡くなってしまいました。同じような話がたくさんあります。

2017-05-27 11:09:52
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1-7章10 佐藤さんのご近所に住むご夫婦は、ハウスで野菜の手入れに没頭しているところを津波に襲われ、だんなさんは3キロも離れた矢作川でみつかり、奥さんは行方不明です。毎年、桃太郎の苗を買いに来てくれた人でした。もう会えないと思うと胸が痛みます。

2017-05-27 11:10:25
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1-7章11 佐藤さんと中学生のときから親しかった上級生は竹藪の竹にひっかかっていたそうです。彼は責任感がとても強く、持ち場の建設現場を離れられなかったのでしょう。「命は仕事より大切だ」。彼がその死をもって残してくれた教えです。

2017-05-27 11:11:31
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1-7章12 津波はあれだけたくさんのものを運んできたのに、いくら探しても佐藤さんのものは何一つありません。家、店、ハウス、家財、結婚指輪、アルバム、卒業証書、通帳や証書。全てなくなりました。佐藤さん自身を証明するものは何もありません。「あなたは誰ですか?」。この言葉が怖い。

2017-05-27 11:15:44
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1-7章13  反対車線を海に向かっていた車は、やじうまとも限らなかったようです。いとこのくみ子さんは金山入口から幼稚園に向かい、子どもを連れて山間部に逃げました。その後、幼稚園は大きな波で破壊され、たくさんの人が亡くなりましたが、いとこも子どもも無事でした。

2017-05-27 11:16:45
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1-7章14 消防団の人たちは救出活動のため津波に向かいました。水門を閉じ、お年寄りを安全な場所に誘導し、「逃げろ、早く!」と叫びながら勇敢に闘い続けましたが、51名が亡くなりました。やじうまの中にも波に呑まれた人がいました。海や川に近づいた多くの人が貴重な命を失いました。

2017-05-27 11:19:37
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1-7章15 廻館橋付近の波の高さは6メートル以上に達しました。鉄橋は壊れ、農地は浸水し、瓦礫といっしょにたくさんの遺体が流れ着くという悲劇に見舞われました。でも廻館橋が残ったことに将来への望みが残ります。この橋は震災後、気仙川にかかる唯一の橋として重要な役割を果たしました。

2017-05-27 11:21:55
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