番外編1(典ソハ現パロ)

気分を変えて、典ソハ現代パロの番外編です 内容は一期×一期となっております
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バーナビー・ドラゴン @dragon002_Twitt

@pasupie2 だが、姪が騒ぎそうだな。と思いながらも彼女には事情を懇切丁寧に説明した。といわれて、恥ずかしいやらありがたいやら。そんな気分になった。 「そういえば、ここは?」 「Whisutariaの二階よ。私、住み込みママなの」 そう答えた後、「huhuhu…」と艶かしい声が聞こえる。 →

2017-05-15 13:53:22
バーナビー・ドラゴン @dragon002_Twitt

@pasupie2 「お茶を、お持ちしましタ」 「あら、ありがとう。むらちゃん」­ 「huhuhu…ごゆっくり」­ 確か彼はバーテンダーのはず。ここで暮らしているのだろうか。 「男3人、狭い屋根の下で暮らしているのよ。いろいろと、事情があってね」 そういいながらママはほうじ茶を飲み干した。

2017-05-15 13:56:13
パスピエ@浮上ゆっくりめ @pasupie2

@dragon002_Twitt 【後河原流音】うしろがわらるね。後河原の兄夫婦の娘。両親を不慮の事故で亡くし、今は後河原が育てている。元気いっぱいの6歳児で、普段は夜間まで預かってくれる保育園に通っている。一期を大好きなお姉ちゃんとして慕う。その名の通り歌う事が得意で、良く自作の歌を聞かせてくれる。

2017-05-15 16:44:17
バーナビー・ドラゴン @dragon002_Twitt

@pasupie2 【包丁武忠】ほうちょうたけただ。一期のバーで住み込みで働いている料理人。見た目は少年のように幼いが、これでも酒が飲める年齢。両親を火事で亡くしており、身寄りがなかったのをある会社に拾ってもらった。その後、料理人の道を志したいと進学・転職し、現在に至る。大衆料理が得意。

2017-05-15 17:05:07
パスピエ@浮上ゆっくりめ @pasupie2

@dragon002_Twitt 一緒にお茶を頂く。二日酔いには水分が多量に必要だ。脳の水分不足で頭痛が起こるのだから。そして回るようになった頭で思い出す。 「そうだ仕事!」 あたふたと帰り支度を始める後河原に、ママが呼びかける。 「今日は日曜日」 「あっ…」 職業病。休日に飛び起きたのも、二度や三度ではない。→

2017-05-15 17:10:09
バーナビー・ドラゴン @dragon002_Twitt

@pasupie2 【千寿村正】せんじゅむらまさ。物心がついた時にはすでに施設にいた。職員いわく、名の由来は千手観音が祀られている寺の境内に捨てられ、胸元に『村正』と書かれた手紙が入っていたことから。ホームレス状態だったが、武忠に拾われてバーに住み込みで働くことになる。実はある名家の隠し子らしい…?

2017-05-15 17:12:50
パスピエ@浮上ゆっくりめ @pasupie2

@dragon002_Twitt 「女手一つで姪っ子ちゃんを育ててるんですもの。お仕事は生命線よね」 人見知りの筈の流音が、ママに抱っこをせがむ。髪の長さを除けば、確かに二人は瓜二つ。「読んで」 道中に買い与えられたのか。少し難しそうな絵本を突きつけている。 「ママもね、昔は子供がいたんだって」 包丁が呟いた。

2017-05-15 17:15:34
バーナビー・ドラゴン @dragon002_Twitt

@pasupie2 驚いた。彼女…いや、彼は所帯持ちだったのか。と思ったが「違うよ」と首を振る。 「子供がいる、っていうのは夢の話なんだって。夢の中で奥さんと二人の子供がいて、楽しそうに笑っているんだって。羨ましいって言ってた。…俺もママも、孤児だからな」 驚いた。彼らも流音と同じ境遇だったのか。→

2017-05-15 17:28:26
バーナビー・ドラゴン @dragon002_Twitt

@pasupie2 それにしては暗さを感じない彼らに強さも感じる。否…この強さになるまで、どれだけの時間がかかったのだろうか。 「…ご家族の方は?」 「俺たちはみんな天涯孤独だよ。ママは一度養子に入ったらしいけど…折り合いが悪くて没交渉らしい」 なんだか彼らの秘密を覗き見てしまったようで後味が悪い。

2017-05-15 17:30:29
パスピエ@浮上ゆっくりめ @pasupie2

@dragon002_Twitt 「包丁。その話は…」 ママの笑顔が曇った。 「良いの。もう少し続けて」 ママと自分が立場こそ違うものの、同じ夢を見た。これが偶然で無いとしたら。 「包丁君。ママが夢に見たと言う奥さんの特徴を話して」 「うん。ママ…良い?」 黙って頷くのを許可と理解し、続ける。 →

2017-05-15 17:36:21
パスピエ@浮上ゆっくりめ @pasupie2

@dragon002_Twitt 「金の瞳。長い髪は水標(みずはなだ)色。そう…今の貴女と同じなんだ。だからここに貴女が来た時、ママが一瞬固まってた。当たり前だよね。夢から抜け出して来た様な人が、現実にいるのだもの」 私とママ。記憶が無いのに、互いに同じ夢を見た理由は何なのだろう?説明して欲しいとママを見つめる。

2017-05-15 17:43:07
バーナビー・ドラゴン @dragon002_Twitt

@pasupie2 そのまっすぐな瞳に根負けしたのか、村正と包丁に流音を任せた後に向かい合う。 「…私だって、説明がほしいわ。物心ついた時から見続けている夢なのだから」 物心がついた時から。そこまで一緒なのかと瞬きするとママの目が後河原を見つめる。 「その名前で、私は必ず呼ぶの。愛しい蝶と」 →

2017-05-15 17:53:18
バーナビー・ドラゴン @dragon002_Twitt

@pasupie2 でも、それだけ。相手の本名はおろか苗字すらもわからない。小さな時は彼女に恋い焦がれていたものだ。だから自分は… 「…滑稽でしょ?夢でしか見たことのない女に操を立てるため、男のくせに女の服をまとい、そして、化粧をしているのだから」 自分にも彼女の求める答えを出せないのが歯がゆい。

2017-05-15 17:54:55
パスピエ@浮上ゆっくりめ @pasupie2

@dragon002_Twitt 「そんな事…無いです!」 私も同じ夢を見たんです。そう告げると、ママの目が丸くなった。 「貴女も…?」 「はい」 「これは…驚きました」 「貴方が女装するのは、夢に見たあの人を忘れない為でしょう?鏡を見れば、常に彼女が見える」 「何でもお見通しですね」 ママはため息を吐く。 →

2017-05-15 18:21:25
パスピエ@浮上ゆっくりめ @pasupie2

@dragon002_Twitt 「夢に見た想い人に逢いたいなんて…とてもロマンチックです」 もし私がママの立場なら、きっと男装をしていただろう。それ程までに気になる夢だから。 「それも今日でお終いかしら」 「どうしてですか?」 「だって…見つけたから」 躊躇いも回避する間も無い。 「おかえりなさい。パピヨン」

2017-05-15 18:26:42
バーナビー・ドラゴン @dragon002_Twitt

@pasupie2 「パピヨン」その四つの言葉を聞いた瞬間、夢の映像が鮮明な画像になる。 そうだ…自分は刀剣男士だった。粟田口吉光が一振り、一期一振。それが私本来の名前。 でも、彼に出会ってから女としての幸せに目覚め、彼の妻となって寄り添って幸せな日々を過ごしていた。幸せはどうして儚いのだろう。 →

2017-05-15 18:58:04
バーナビー・ドラゴン @dragon002_Twitt

@pasupie2 本丸が解体される日、希望者は刀剣時の記憶を受け継いで転生することができた。だが、自分のように異例の刀剣男士は歴史遡行軍に狙われやすい。だからいちは… 「私とパピヨン、そして、子どもたちの記憶を消して転生させてください」 必ず巡り合える。それを信じて、転生の眠りについたのだ。

2017-05-15 19:40:59
バーナビー・ドラゴン @dragon002_Twitt

@pasupie2 そして、眠りから覚めた瞬間、おぞましい感覚が体をはい回る。自分たちを亡き者にしようと動く、まがまがしき存在。 「くっ…!」 護るすべがなくとも、パピヨンと彼女の愛する者だけでも…!ママはかばうように覆いかぶさる。目の前の空間が歪み、中から現れる異形の存在。 →

2017-05-18 15:29:26
バーナビー・ドラゴン @dragon002_Twitt

@pasupie2 血に濡れた刀が自分たちめがけて振り下ろされそうになった。その時だった。 「サッダルマ・プンダリーカ・スートラ!」 その声と共に異形の者の腹が貫かれる。後方から飛んできたそれは宝戟である。 「huhuhu…記憶を完全に取り戻す前に亡き者にしよう思いましタカ?」 村正が立ち上がった。

2017-05-18 15:33:46
パスピエ@浮上ゆっくりめ @pasupie2

@dragon002_Twitt 「いちサン!アナタも記憶が戻ったなら戦エマス…サア…チカラは貴方の中にアル!」 敵は村正が投げた宝戟で身動きできない。 「あ…つい」 パピヨン達を背後に庇って向き直る。 その瞬間、全身に熱を感じ、目の前に光の塊が出現した。輝きが消えると、それはいちの両手にふわりと納まった。 →

2017-05-18 15:47:12
パスピエ@浮上ゆっくりめ @pasupie2

@dragon002_Twitt これは…。いちが握ると、早く抜けとばかりに鞘が鳴いた。無意識に立ち上がると、鯉口を切る。美しい刃が晒された。 「一期一振、参る!」 丁度その時、襲撃者が刺し貫かれたまま動き出した。いちより背が高く、体躯はふた周り違う。太刀には手の余る大太刀だが、引く事は出来ない。 「お覚悟!」

2017-05-18 15:56:03
バーナビー・ドラゴン @dragon002_Twitt

@pasupie2 一刀のもとに袈裟掛けに斬られ、大太刀は崩れ落ちる。そうだ、姪は!と顔を上げた瞬間、少女の悲鳴が部屋の中に木霊する。 その方向に行くと下半身が蜘蛛の脇差が流音と包丁を追い詰めていた。どうやら先ほどまで彼一人で戦っていたようで、片腕から血がにじんでいる。 →

2017-05-18 16:56:35
バーナビー・ドラゴン @dragon002_Twitt

@pasupie2 どうやら体にまとわりついた蜘蛛糸で身動きがとりにくいようだ。それでも流音を守ってくれたことに感謝しきれない。 「ちょっと、うちの従業員はお触り禁止ですよ?」 流れるような動作でママが前に出る。その手に宿すのは雷撃。背後から近づいた手から放たれた雷撃は脇差の心臓を貫いた。

2017-05-18 16:59:36
パスピエ@浮上ゆっくりめ @pasupie2

@dragon002_Twitt 悲鳴をあげる間もなく、焦げた塊と化して蹲る。同時に包丁に絡んでいた糸も溶けて消えた。 「流音!」  いちの後ろから駆けつけたパピヨンが、その勢いのまま姪を抱きしめた。 「包丁君…。姪を護ってくれてありがとう」 「ヘヘ…お姉さんは元人妻だよね?困ってるのに放っておけないよ」 →

2017-05-18 17:07:18
パスピエ@浮上ゆっくりめ @pasupie2

@dragon002_Twitt 「いて…」 包丁が顔をしかめる。傷は思ったより深く、切り裂かれたシャツは所々緋色に染まる。 「誰か…救急箱を」 「大丈夫デスヨ。彼も刀剣男士」 村正は、包丁から手渡された短刀を受け取り、別室へと姿を消した。 ふと目をやると、遡行軍は二体とも消えている。この世の存在で無い →

2017-05-18 17:15:35