番外編1(典ソハ現パロ)

気分を変えて、典ソハ現代パロの番外編です 内容は一期×一期となっております
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バーナビー・ドラゴン @dragon002_Twitt

@pasupie2 【現パロ典ソハ番外編登場人物】 粟田口一期(あわたぐちいっき):バー『Wisteria』のママ。珠兎本丸・一期一振の転生者。前世での煩わしさから学んで、『女装ママ』として溶け込んでいる。 警察関係者から闇社会の首領まで幅広い人間から情報収集をしている。

2017-05-09 14:23:11
バーナビー・ドラゴン @dragon002_Twitt

@pasupie2 客からは『いちさん』と呼ばれている。ママと呼ばれるのは嫌う。 男女問わず流れるような言葉で口説くため、両刀使いと思われている。だが、肉体を売るようなまねはしないし、そういうお客様には笑顔でお断りをしている。 珠兎コーポレーションを通して主に闇社会からの情報を売買している。

2017-05-09 14:26:10
パスピエ@浮上ゆっくりめ @pasupie2

@dragon002_Twitt 後河原一期(うしろがわらいっき): キャリアウーマン。長門本丸•一期一振の転生者。前世での記憶は、朧げにしかない。両親を無くした姪っ子を引き取り、女手一つで育てて来た。 ある日憂さ晴らしに訪れた『Wisteria』で、2人は偶然に出逢う…。

2017-05-09 16:17:01
パスピエ@浮上ゆっくりめ @pasupie2

@dragon002_Twitt 後河原一期は、とある大物の秘書兼SPを務めている。どちらかと言えば男っぽいサバサバした性格。恋愛はそんな自分に相応しくないと思い、切り捨てて来た。そんな彼女であるが、幼い頃から繰り返し見る夢がある。偶然出逢ったいちさんは、その相手に酷似していると気づき封印していた恋心が動き出す。

2017-05-09 16:45:44
バーナビー・ドラゴン @dragon002_Twitt

@pasupie2 大通りから少し外れた路地にひっそりと埋もれるようにその店はある。バー『Wisteria』オレンジの照明と小粋なジャズ、酒の香で満たされた店内はこの世の憂き目を忘れさせるために在る。 藤の名を冠する店。そのカウンターに藤色の髪のバーテンダーがいるが、彼が支配人ではない。 【→】

2017-05-09 17:16:05
バーナビー・ドラゴン @dragon002_Twitt

@pasupie2 バーテンダーから少し離れた場所。水色のマーメイドドレスに藤をあしらった髪飾り。ベリーレッドの口紅で化粧をした『ママ』であった。 「いらっしゃいませ。お客様。この世のしがらみを落とす店『Wisteria』へ…ここで『愁い』を吐き出していってくださいな。明日を身軽に生きるために…」

2017-05-09 17:21:01
パスピエ@浮上ゆっくりめ @pasupie2

@dragon002_Twitt やめてやる。明日こそ辞表を出すんだ。後河原は、そんな気持ちで偶然この店を訪れていた。 「一番強いの」 「それでは用意ができるまで、貴女の話を聞かせて下さいね」 「私は…」 後河原は出されたミネラルウォーターで舌を湿すと、一気に喋りだす。 男性にも負けないくらいがんばって来たのに→

2017-05-09 21:58:51
パスピエ@浮上ゆっくりめ @pasupie2

@dragon002_Twitt 「定時で帰るのをやめてほしい」 上司からそう意見されてしまった。別にアフターで何か予定がある訳じゃない。姪っ子一人で遅くまで留守番させては不用心だから…。しかしややこしくなるから、本当の理由は話せなかった。一気にここまで喋った所で、見慣れた色の飲み物が置かれた。 「コーヒー?」

2017-05-10 23:20:30
バーナビー・ドラゴン @dragon002_Twitt

@pasupie2 一期のきょとんとした表情にママは優しく笑う。 「あなた、ひどい顔よ。強いものを飲む前に、まずはこれで温まって、落ち着きなさいな」 クリームチーズとジャムをのせたカナッペと共に出されたのは、アイリッシュコーヒー。それを手に取ってふぅ、と冷ましながら飲む。 「…あたたかい」 →

2017-05-10 23:37:53
バーナビー・ドラゴン @dragon002_Twitt

@pasupie2 身体が緩んだのを察知してママは言葉を返す。 「あなた、鎧でガチガチに固まっちゃっているのね。姪御さんを女手一つで育てているなんて偉いわ。私にできるアドバイスは一つ、姪御さんのことを話してみなさいな。それでも許されない時は…潔くやめちゃいなさい」 それに今度は驚いて目を丸くする。→

2017-05-10 23:40:59
バーナビー・ドラゴン @dragon002_Twitt

@pasupie2 「私ひとりじゃ店が立ち行かなくて困っていたのよ。女の子一人くらい、増えても平気よ。もし夜の仕事に抵抗があるなら、カフェの展開も考えているし、そこで働いてほしいの」 細められた金目に一期は惑わされそうになる。 「ま、考えてくれたら嬉しいわ?」 そういってマティーニを出した。

2017-05-10 23:43:46
パスピエ@浮上ゆっくりめ @pasupie2

@dragon002_Twitt 「こういう時は、話の流れとして辞めるなって言うんじゃないですか?」  「一見強い鎧だって、急所を突かれれば壊れる。柳の木みたいに逆らわずゆらゆら漂っている方が強い。それは解るでしょ?」 カナッペの美味しさに頬が緩む。コーヒーは荒んだ心まで染み渡った。 →

2017-05-10 23:56:18
パスピエ@浮上ゆっくりめ @pasupie2

@dragon002_Twitt 「辞めてしまったら、私はどうやって姪っ子を養えば良いのかしら?」 空にしたコーヒーカップに、お代わりが注がれる。 「良かったら、ここで働かない?貴女SPなんでしょ?用心棒も兼ねて雇ってあげる」 「そんな…今日知り合ったばかりの方に」 「本当にそうかしら?」 深淵まで覗かれそうな瞳

2017-05-10 23:58:06
バーナビー・ドラゴン @dragon002_Twitt

@pasupie2 その金目から逃れるように一期はマティーニを煽る。その瞬間、ぐるりと視界が回った。 「やだ。もしかしてお酒が弱いのに強いのを頼んだの?」 いや、違う。今日は疲れていたから酔いのまわりが早いだけで…でも、言葉に出来ないくらい酩酊していた。 「仕方ないわね。むらちゃん、店をお願い」 →

2017-05-11 07:30:38
バーナビー・ドラゴン @dragon002_Twitt

@pasupie2 そういってママが一期を背負って立ち上がる。ママ、力持ちだなぁと一期は人事のように思う。 「こんな状態のあなたを帰すわけには、いかないわ」 「めい、が…」 「姪御ちゃんは私が責任を持って迎えにいくから、安心して」 「うぁ…おねが、い…します…」 そこで、一期の意識は暗転した。

2017-05-11 07:32:23
パスピエ@浮上ゆっくりめ @pasupie2

@dragon002_Twitt 夢の中、後河原は誰かに覗き込まれていた。 「よく寝ていたね。やっぱり疲れているのかな」 傍らには健やかに育った赤子。男の子と女の子だ。 「貴方…誰?」  「どうしたのxxxx」 名前だけが雑音に阻まれて聴こえない。 「貴方は…私が出逢った貴方じゃない」 →

2017-05-13 00:49:15
パスピエ@浮上ゆっくりめ @pasupie2

@dragon002_Twitt ママに似たその人は微笑んだ。とても儚げに。 「そうか…君は、私を知らない君か」 「どういう事?」 「今は語れない。君が自力でこの答えに辿り着けるまで」 そう呟くと、後河原の手を取り軽く忠誠の証を立てた。 「戻りなさい。ここに居るべきは君じゃない」 目を開けると見慣れない天井が。

2017-05-13 00:54:19
バーナビー・ドラゴン @dragon002_Twitt

@pasupie2 二日酔いで淀んだ頭をフル回転させて、ここに至るまでの経緯を思い出す。確かバーで愚痴って、マティーニを飲んだら酔いのまわりがいつもより早くて………!姪っ子は!! 「おわわっ!」 ガバッ!と勢いよく体を起こすと、隣に誰かいたのか、素っ頓狂で慌てたような声が聞こえる。 →

2017-05-13 06:49:40
バーナビー・ドラゴン @dragon002_Twitt

@pasupie2 隣にいたのは淡い栗色の髪を持つ少年で、手には湯気の立つ丼と匙、水の入ったコップを置いたお盆を持っていた。 「おねーさん。二日酔い、大丈夫?」 沈黙に耐えられなかったのか、少年が恐る恐る尋ねてくる。確かに頭は痛いがそれほど酷くはない。ただ… どうして自分の服はジャージになのだろう?

2017-05-13 06:54:36
パスピエ@浮上ゆっくりめ @pasupie2

@dragon002_Twitt 「えっ?」 視野に映るのは、小柄な男の子だった。 「あ…ごめんなさい!起こすつもりは無くて…」 「私、帰ります!後日お礼に来ますから」 猛烈な勢いで立ち上がろうとして、激しい頭痛と立ちくらみが襲う。 「無理しないで。ママからの伝言…姪っ子さんはもうすぐここに来ると思うよ」

2017-05-13 07:00:59
バーナビー・ドラゴン @dragon002_Twitt

@pasupie2 姪がここにくると知ってホッとすると同時に、どうしてという疑問が頭を巡る。このご時世、他人の迎えなど出来ないと言うのに。その疑問はママが帰ってきた時に分かった。 「ふぅー。…録音音声による依頼が通じてよかったわ」 目の前には化粧を落としてさらにそっくりになったママが姪を抱いていた。

2017-05-13 07:05:29
パスピエ@浮上ゆっくりめ @pasupie2

@dragon002_Twitt 「おねえちゃん!」ママから降ろされた姪は、一目散に胸へ飛び込む。 「あの…いちさん。ありがとうございました」 「いえいえ。元はと言えば、私の失敗。貴女がお酒に弱いなら、ソフトドリンクにすれば良かったわね」 「…でも、強いのをお願いしたのは私です…」 「気にしないで。私も」 →

2017-05-15 08:42:23
パスピエ@浮上ゆっくりめ @pasupie2

@dragon002_Twitt 「お迎えのお母さん気分が体験できて楽しかったから」 「ありがとう…ございます」 そしてふと思い出した。 「ねえ、朝ご飯は食べた?」 「用意はできてるよ!」 包丁と呼ばれた少年が、可愛いくまさんのプレートを運んできた。 「ちっちゃいお客様の口に合うと良いね!」 →

2017-05-15 08:47:41
パスピエ@浮上ゆっくりめ @pasupie2

@dragon002_Twitt 一口サイズの様々な具のサンド。カラフルなポテトサラダに、ふんわりオムレツ。デザートのぷるぷるゼリーに、姪の目がハート化した。「これ、全部私が食べていいの?」 「そうだよ。みんな君の分だから」 整然といただきますを唱えてから、子供用のローテーブルで食べ始める。 「二日酔いはどう?」

2017-05-15 08:51:36
バーナビー・ドラゴン @dragon002_Twitt

@pasupie2 ママの優しい言葉に幾分か落ち着いた。と答えた後、 「そういえば…どうやって姪を連れてきたのですか?」 「そうね。一つはあなたの録音音声による依頼。もう一つは、あなたの身内だと偽ったのが幸をそうした結果かしら」 確かに、後河原とママは鏡を挟んだかのようによく似ている。 →

2017-05-15 13:49:45
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