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「はい」 思わず見惚れた…いや聞き入ってた俺は反応が遅れたが、ガイアはさも当然のようにとんでもねぇことを抜かしやがった。俺は帽子を外して髪を整えている博士の表情も窺った。 「どうしました?」 「マジで宇宙船?」 「ええ」 博士は平然と頷いた。 22
2017-05-14 00:36:24「ええ。正確にはその名の通り宇宙ステーションですが、宇宙船でも間違ってはいませんね」 ガイアはたまに冗談を言うが、博士はあまり言わねぇらしい。つまりマジってことか。やべぇな…宇宙旅行が徐々に身近になってる時代とはいえ、まさか知らねえウチに宇宙船の中に入ることになるとはな…。 23
2017-05-14 00:44:29「待ってくれ。それが何で地下に埋まってるんだ」 「この船は元々、博士が宇宙空間で研究を行う為に開発したものなのですが…」 「打ち上げ許可が降りなかったんですよ。それで仕方なく移動研究施設として使っている訳です。殆どの施設は地上でも使えるのが幸いでした」 24
2017-05-14 00:47:05「いや先に許可取ってから造れよ」 順番があべこべだ。許可を貰ってからなら予算も出て、別荘を抵当に入れる必要もなかったろうによ。 「思い立ったが吉日って言うでしょう?図面を閃いた日から一ヶ月で一気に作っちゃいました」 博士は薄い上着を着せられながらとんでもねぇことを言った。 25
2017-05-14 00:53:41「閃いた…『日』?」 「ええ。博士は図面を半日でスパンと閃き、残る半日でダーッとそれを建造用ゴーレムに入力し、一気に完成させました」 「いやいやいや」 この宇宙船は俺が確認出来た部分だけでも、地上二階と地下三階はある。その図面を一発で閃いた? 26
2017-05-14 00:58:34「あの…俺、詳しくはねぇんだけどよ、こういうのは専門家が大勢で何ヶ月も掛けて設計して、建造には何年も掛かるんじゃねぇのか?」 俺の質問にガイアは得意気に両腰に手をやって胸を張った。 「博士は天才ですから」 「そ、そうか。…あれ、待てよ。ここに建てるのに一月も掛かってたか?」 27
2017-05-14 01:10:04「どう言う意味でしょうか?」 「確か、去年ここで工事をしてたけどよ。一週間くらいで建ったよな…?」 てっきり週末に建てる砦のように、ある程度組み終わったパーツを運んで一気に完成させたもんかと思い込んでたんだが…。 「穴だけ掘ってそこに飛ばしてきて埋め込んだんですよ?」 28
2017-05-14 01:12:40「いや!目立つだろうがよ」 「勿論夜の内にスパーンと認識阻害結界を張って飛ばしましたよ」 「いやぁ。先に作って正解でしたね」 「宇宙船じゃなくても飛べりゃ充分だろ!」 普通に考えて飛行船とかを作るほうが楽な筈だ。大気圏を突破しねぇて良いし、無重力を想定する必要もねぇからな。 29
2017-05-14 01:19:12「ああ…そうだ。一度部屋出たほうが良いか?」 男同士とは言え、人前じゃ着替えづらいよな。 「いえ、ピカッと大丈夫ですよ。すぐに済みますから」 「いけない。そう言えば、まだご用件を伺っていませんでしたね、すみません」 「いや、俺も色々聞きすぎたからな」 30
2017-05-14 01:37:11「博士、ハルカはキラッと例の件ですよ」 ガイアは人差し指をピンと立てた。 「ああ!例のですね」 博士がポンと手を打つ。 「え、何でそれで通じるんだ?」 さっき開発班からガイアには俺が行くと連絡があった筈だが、その時は博士は寝ていた筈だ。何で『例の件』で通じる? 31
2017-05-14 01:42:09フォビドゥンフォレスト5話「選ばれし者、選ぶべき者」 #2「陸の宇宙船②」終わり #3「早くて遅い!」に続く
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