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「フォビドゥンフォレスト5話「選ばれし者、選ぶべき者」#1「陸の宇宙船①」」をトゥギャりました。 togetter.com/li/1108883
2017-05-10 00:31:19「フォビドゥンフォレスト5話「選ばれし者、選ぶべき者」 まとめ」をトゥギャりました。 togetter.com/li/1108885
2017-05-10 00:32:54部屋の隅、俺から5メートルの距離をキープできる辺りに立ったガイアが、この訳の分からねぇ状況の説明をした。 「はい。今朝私が五時に起きましたところ、机で研究をしておられたので、シュバッと引き剥がしてギュッと縛りつけてアイマスクをつけて眠らせたのです」 「…そこまでするか?」 1
2017-05-11 23:45:03「…十時には休む、という言葉をゴクンと鵜呑みにした私が愚かでした。休んだには休んだものの二十分休んですぐにシュタッと再開したそうです」 「まさかそれから七時間近くぶっ続けで…?」 「その通りです。流石に五分程度の休憩は複数回挟んだようですが…」 それは実質ぶっ続けだ。 2
2017-05-11 23:52:48「だ、大丈夫なのか…?そんなに仕事を振られてんのか…?」 ウチがこんな無茶な振り方をするとは思い難いんだかな…。かく言う俺も仕事を頼みに来た訳だが良かったのか? 「いえ、僚勇会の皆さんからの依頼は今週納期分までを水曜までにパパッと終わらせています。キラッと優先事項ですから」 3
2017-05-11 23:55:54「え。じゃあ何で?」 「博士の趣味です」 ガイアは長い溜め息を吐いた。 趣味…労働時間外に何しようが勝手だけどよ…これは限度超えてんだろ? 「博士は何をやってんだ?」 「それは…本人にズバンと説明してもらいましょう」 ガイアが博士の方を向くと、博士はもぞもぞと動き出していた。 4
2017-05-12 00:05:02俺達の会話で目が覚めたんだろうか。 「ふわぁあぁ」 アイマスクをされ太いゴム紐でベッドに拘束された大人の男の第一声がこんなんで良いのか。 「博士、起きたのならキリッとして下さい。来客ですよ。ハルカです」 「だから名前止めろっつってんだろ」 俺は抗議すべく一歩前に出る。 5
2017-05-12 00:11:13「だからっ…おい」 ガイアの左手にハンドガンらしきものが握られている。 「!…ハルカ」 俺に銃を向けたことに、向けてから気付いたらしいガイアが振り向いて悲しげな顔を見せる。 「悪ぃ。忘れてた」 俺が一歩下がると、ガイアはホッとした表情になった。 6
2017-05-12 00:26:36「いえ、こちらこそ。難儀なものです」 例の自動迎撃プログラムだ。前みてぇに急に近づかなけりゃ、攻撃の前に警告が来るんで助かった。それでも銃を持つ手が震えてたのは、深層意識が撃とうとするのを表層意識で抑えてくれてたんだろう。ガイアも好きでやってるわけじゃねぇんだ。 7
2017-05-12 00:39:32「どうしました?」 博士が困惑している。 「あれ?真っ暗…ガイア!またですか!縛るのは止めてくださいよ!ガイア!」 高そうなベッドの上でデカいイモ虫がびくんびくんと蠢いている。「少しシーンと待っていて下さい」 ガイアは俺を手で制すと、ゴム紐を解きにかかった。 8
2017-05-12 00:48:15敷布団の上から巻かれた紐を腕で巻き取っていく。二十回ほど巻き取ると紐の束を近くの台の上に置いて、布団を剥いだ。その下から出てきた博士の身体には…またゴム紐が巻かれていた。 「厳重過ぎるだろ!」 「いえ、ギリギリ安眠できる範囲で妥協しています」 「これで?」 9
2017-05-12 01:01:19「そうですよ。酷いですよガイア」 両手を腰の横で縛られたままの博士が抗議する。 「以前、腕を自由にしておいたら、半分眠ったままメモ帳に数式をキュキュッと書いていたことがありまして」 「だって思いついた時に書かないと忘れちゃうじゃないですか。だから常にメモとペンは手放せません」10
2017-05-12 01:13:44「マジかよ…」 呆れる俺をよそに、ガイアはベッドの下を通したゴム紐を全て回収する。博士は自力でアイマスクを剥がそうとして上手く行っていねぇ。腕が痺れてるっぽいな。ガイアが代わりに外してやってる。 「いやいや。参りました…おっと失礼。お早うございます。片桐くん」 11
2017-05-12 23:36:08博士はイギリス人とは思えねぇほど流暢に話す。 「朝早くからすんません」 「いえいえ。しかし大変ですね君も」 「いや、どう考えても博士のほうが大変だろ。色んな意味で」 「…平日の昼間にこんなところに来るなんで」 「……日曜の午前だぞ」 朝だって言ったのに。 「…あれ?」 12
2017-05-12 23:50:39博士はベッドの横のアナログ時計を手に取って見た。西暦や日付と曜日が英語で見られるやつだ。 「あ、本当ですね。いけないいけない。感覚が狂ったようです。これはまた失礼しました」 「大丈夫かよ」 「ハハハ。もう。ガイアが無理やり眠らせるからですよ。勘弁して下さいよ」 「ほぅ…」 13
2017-05-12 23:58:15ガイアは胸の下で腕を組み、鋭い目つきで顎を軽く引いた。とてもメイドが主人に向ける表情じゃねぇが、主人を縛る時点で今更か。そもそもコイツはメイド服を着てはいるがメイドロボ…って訳じゃねぇよな?戦闘用ロボ…だよな? 「私のせいだと仰いますか」 14
2017-05-13 00:07:32そんなことよりもだ。組んだ腕で強調された胸がやべぇ。片乳だけで男の頭ほどもあるくせに、動くたびに柔らかさと弾力を主張して…落ち着け!あれはシリコンか何かだ。人間のとは違う!…俺は危険物から目を逸らし博士の顔を注視する。ガイアに気圧されて少し青くなってるな。 15
2017-05-13 00:17:11「労働は趣味の分を含めて一日十六時間まで…とシャキンと約束したのに、守って頂け無かったのはどなたでしたかね?」 「働き過ぎだろ!?」 「ええ。最初は十ニ時間と言ったのに、頑なに譲らなかったので、これでもグーッと妥協して差し上げたのですが…」 ガイアは長い溜め息と共に目を瞑る。16
2017-05-13 00:23:28そしてカッと見開いた。 「ですが昨日の様なオーバーワークを連発されましては、規制をグイッと強めるより他ありませんね」 「そんなぁ!困りますよガイア。人間の人生は短いんですよ?生きてるうちに少しでも研究を進めなくては」 博士がガバッと上半身を起こす。 17
2017-05-13 00:30:22博士は白と薄青の縞パジャマを着て、同じ柄で玉付きの帽子を被っていた。言っちゃ悪ぃが子供っぽい印象だ。 「今の生活を続けていては、その短い人生が更に短くなると言っているんです」 ガイアが胸を反らす。凶器が揺れる。 「そ、そうだせ博士。大体、何をそんなに研究してるんだよ?」 18
2017-05-13 00:36:48俺はさっき聞こうとしていたことを改めて聞いた。 「宇宙です」 「宇宙?」 博士からは漠然とした答えが返ってきた。 「博士は宇宙開発全般に関する研究や開発を手広くやっておられます。僚勇会の皆さんに提供する、ドローン、武器、被服、携行食その他は全てその応用なのです」 19
2017-05-13 00:41:03ガイアは得意気に胸を張る。 「へぇ」 間の抜けた反応になっちまったが、唐突に話が膨らみ過ぎてちょっと戸惑ったせいだ。実際凄いんだろうけどよ。いまいちピンとこねぇ。決して、突き出された胸に意識を持っていかれたからじゃねぇぞ? 「どうも博士の凄さをご理解頂いていないようですね?」20
2017-05-13 00:56:11俺の反応の鈍さが不満だったのか、ここでガイアはデカい爆弾を解放した。バッと広げた両腕から別の爆弾も解放された。 「この!ガイアステーションも、博士がアカプルコの別荘をスパンと抵当に入れて建造した宇宙船なのです」 「アカプルコの別荘?へぇ…博士金持ちなんだな……宇宙船!?」 21
2017-05-13 00:59:33