5/19 反英雄レオンハルト様との逆指名邂逅

#GC異聞絶望 イベントにて、皇帝邪紋レオンハルトの逆指名での邂逅。
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ルゥイン(跡地) @gc_luyin

@Leon_granart 薄く埃が積もる、白い石床の上を一歩ずつ歩く。 冷たさが直接足の裏に触れる。 その表情には何の色も浮かんでおらず、ただ渦の模様が刻み込まれている。 求める力が此処にあると。此処にいると。 そう己の全身が告げている。 →

2017-05-17 16:34:22
ルゥイン(跡地) @gc_luyin

@Leon_granart ひた、ひたと歩く。 最後に見るにはあまりにも寂しい景色だが、已むをえない。 緑。青。透き通るような闇とそこに差し込む温かな光。 それは、私が守りたい一つ一つ。 抜きもしない剣を腰に提げて、その白く薄暗い広間の中心で、足を止めた。 →

2017-05-17 16:34:48
ルゥイン(跡地) @gc_luyin

@Leon_granart すぅ、と大きく空気を吸い込む。 こんな終わりはあまりに虚しい気もするが、已むをえない。 私に生きろと言ってくれた者。私を引き留めてくれた者。 それは、私が守りたい一人一人。 触れてくれた温かさを、触れた柔らかさを、言葉の力強さを思い返しながら、目を閉じた。 →

2017-05-17 16:34:56
ルゥイン(跡地) @gc_luyin

@Leon_granart 心で振り返る。遠く見えるのはどこまでも広がる大地。 心で振り返る。遠く聞こえるのは人の営みの音の数々。 守りたかったものだ。このまま生きれば私が奪うものだ。 時間と距離を――隔たりを、識ることができなくなった私にとって。 ただ待つことは、苦痛でも、恐怖でも、安楽でもあった。 →

2017-05-17 16:35:40
ルゥイン(跡地) @gc_luyin

@Leon_granart 玉座に向かって立っている。 故郷を失い、王を失い、仲間を、過去を、未来を、失った男が。 最後のひとつだけは失いたくない、ただそれだけ、その一心で。 →

2017-05-17 16:36:07
ルゥイン(跡地) @gc_luyin

@Leon_granart . ――さあ。わたしののぞみを、かなえてくれ。 #逆理飛旋

2017-05-17 16:36:22
万象の虹/レオンハルト@異聞反英雄邪紋 @Leon_granart

@gc_luyin 空っぽの玉座を見つめる男の背後から、足音がする。 瓦礫を踏み砕く音。ブーツが床の石を叩く音。 かつ、かつ、と一定の速度だったそれが、不意に――止まる。 「ルゥイン」 低い声が、渦巻き乱れた邪紋を抱えた青年の背中へと呼び掛けた。 →

2017-05-17 23:54:53
万象の虹/レオンハルト@異聞反英雄邪紋 @Leon_granart

@gc_luyin 振り返ればそこに居るのは望む相手だ。 皇帝邪紋。 そう呼ばれる男が、血塗れの聖剣を肩に担いで竜のなり損ないを見つめていた。 「よくこの場所が分かったな」 此処はレオンハルトが塒にしている旧パンドラ本拠地。 他には誰も生きている者の居ない、二人きりの邂逅だった。 #反英雄との遭遇

2017-05-17 23:56:27
ルゥイン(跡地) @gc_luyin

@Leon_granart 来た。 目は閉じたまま。振り返りはせずに。 ――見る必要も、確認する必要もない。 その声は憎悪に燃えることも、恐怖に震えることもなかった。 当然だ。もうその必要はないのだから。 計画なしに今日初めて来たわけではない。この数日、探し回ってようやくここに辿り着いたのだ。 →

2017-05-18 00:19:59
ルゥイン(跡地) @gc_luyin

@Leon_granart 「混沌の匂いを、追ってきた」 返す声は妙に冷たく響き渡って。 「レオンハルト、あなたに頼みがあってな」 ふぅ、と息をついてやっと振り返った。顔にまで広がる渦の邪紋。透き通っているようにすら見える、「受け入れる」表情。 →

2017-05-18 00:21:12
万象の虹/レオンハルト@異聞反英雄邪紋 @Leon_granart

@gc_luyin 彼が口にした願いの内容は聞く前から分かりきっていた。 いつか、そういつか、レオンハルトが誰かに口にし、そうして受理されなかった言葉と同じだからだ。 そしてルゥインは、思った通りの内容を告げてきた。 ただ一言。 ――殺してくれ、と。 →

2017-05-18 00:33:30
万象の虹/レオンハルト@異聞反英雄邪紋 @Leon_granart

@gc_luyin 「そうか」 気に入らない、と思った。 その、全てを受け入れ、何もかもをどこかに洗い流してしまったような顔が。 まるで平静を保てていない荒れた混沌の気配と相反する、平静を極めたような、感情を削ぎ落とした声が。 死を受け入れてしまった姿が。 気に入らない、と思った。 →

2017-05-18 00:33:47
万象の虹/レオンハルト@異聞反英雄邪紋 @Leon_granart

@gc_luyin だから。 「望む通りに殺してやろう」 聖剣の血を払い、鞘にしまった。 己の邪紋から黒い長剣を引き出した。 それを掴み、一歩離れて。 「言い残す事は」 そう、問うてみた。

2017-05-18 00:33:59
ルゥイン(跡地) @gc_luyin

@Leon_granart この決断に至るまで、私はあまりにも長い間躊躇い続けていた。 生き続けたい。 呑み込まれる最後の一瞬まで、たとえ虚勢でも、足掻いていたい。 私の意思は、竜の血は、此処で絶えるべきものではない。そう、思い続けていた。 →

2017-05-18 00:58:01
ルゥイン(跡地) @gc_luyin

@Leon_granart だが、私の心は折れてしまったのだ。 己が混沌に呑まれるということは、己が魔境と化すということは。 怖いのは死ぬことではない。それ以上に、それよりも、 私が私のまま死ねないことが、怖い。 私のまま死ねなかった私が、守りたかったものを穢すのが、怖い。 →

2017-05-18 00:58:12
ルゥイン(跡地) @gc_luyin

@Leon_granart 生きろと言われることが、辛くなった。 再会の約束が、呪詛のように心を蝕んだ。 何故。何故。 縁がまるで呪縛のように思えた。それほどまでに、私は追い詰められていたのだ。 →

2017-05-18 00:58:33
ルゥイン(跡地) @gc_luyin

@Leon_granart だから。 言い残すことは、と問われて、今更なにがあるだろうかと、風が靄を吹き飛ばしたかのような意識の中で考える。 呪詛はもういい。 ――ああ、そうだ。ひとつだけ、良いことがあった。 それを伝えよう。どう言えば良いだろう。どの言葉を選べば良いだろう。 →

2017-05-18 00:59:10
ルゥイン(跡地) @gc_luyin

@Leon_granart 少し考えると今まさに刃を受け入れんとする男は、口を開く。 そうして、この張り詰めた空気と不似合いな、それはまるで全てを愛する大地の神のような、笑顔を。 「レオンハルト。私は」 言語に絶する苛酷すぎる運命にあっても、己の道を執念で切り開き続ける、青年に向けた。 →

2017-05-18 00:59:39
ルゥイン(跡地) @gc_luyin

@Leon_granart . 「私は、あなたの在り様も、愛しいと思ったよ」

2017-05-18 01:00:10
万象の虹/レオンハルト@異聞反英雄邪紋 @Leon_granart

@gc_luyin 竜のその言葉を、獅子がどう受け取ったのかは分からない。 男は表情を変えなかった。 ただ一言。 「そうか」 そう、言った。 真摯に竜の最期の言葉を受け止め、受け入れ、そして。 無慈悲に刃を振るった。 →

2017-05-18 19:27:42
万象の虹/レオンハルト@異聞反英雄邪紋 @Leon_granart

@gc_luyin ルゥインの服を纏わぬ上半身を刃が滑る。 軌跡を辿って紅が噴き出した。 鍛えられた胸板の上を這う渦の邪紋を引き裂くように。 乱された龍の邪紋を断つように。 黒い断罪の刃がルゥインの胴を斬り裂き、心臓を両断した。 →

2017-05-18 19:27:51
万象の虹/レオンハルト@異聞反英雄邪紋 @Leon_granart

@gc_luyin 血の海に頽れていく男。 それを見送る男。 「じゃあな、竜の子よ」 返り血で頬が濡れる。 刹那――金の瞳同士が同じ感情を映した気がした。

2017-05-18 19:28:17
ルゥイン(跡地) @gc_luyin

@Leon_granart 一瞬の幕引きだった。 これまで己で己を殺そうとしてきた、何度も己を傷つけた己の刃など比較にならない程の、終焉。 最後の意識に、龍は金の目を見た。 黒く濁った血液が静かに爆ぜる、その刹那は。 長い長い、甘美な時間だった。 まだ声が出るならば、礼の言葉を述べたかった。 →

2017-05-18 20:10:33
ルゥイン(跡地) @gc_luyin

@Leon_granart 唇が微かに動こうとしたのを、獅子は見ただろうか。 全ての、生けるものと営みへの想いを詰め込んだ、一言を。 たった一言を。 ――響き渡るは、無音。 最後の時間は、閉ざされた。

2017-05-18 20:17:55
万象の虹/レオンハルト@異聞反英雄邪紋 @Leon_granart

@gc_luyin 男は何かを言おうとした。が、その言葉は音を伴う前に途切れた。 ゆっくりと、己を鏡で映したような男が地に斃れていく。 血の海に溺れるように沈んでいく青年は、その瞬間、確かに事切れたのだった。 最期の命が途切れる瞬間を見つめ――レオンハルトは一つ、溜息をついた。 →

2017-05-18 20:49:09
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