【GC/if】黒騎士獅子譚

もしもラコート・マルタイユとレオンハルトが出会っていたら、のifのお話。 ラコートが反英雄側に来て、レオンハルトがオルタ化する。
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おやすむ💤ウニ @lv100uni

唐突ですが、今度ラコート・マルタイユが皇帝邪紋陣営に寝返ったif時空のグラクレ15Lv卓をやることになりました 魔王やります

2017-07-05 22:48:50

というわけなのでif軸のプレロールをやるよ

おやすむ💤ウニ @lv100uni

【if/黒騎士獅子譚】 その日も、男は戦場にいた。 無数に斬り、薙ぎ、殺し、奪った。 飽きるほど敵を斃して、壊して、それでも高みに至れず、まるでそれは子供の癇癪のように。 獅子は戦場を食い荒らし、荒らし尽くして、やがて――。 ――一人の黒騎士と、出会った。 @inugirice

2017-07-05 22:50:15
頭が平均みっつ程度ある〜! @inugirice

@hisyabun_sk 「おや、これはこれは」 斧槍の構えを解き、騎士は獅子と対面する。 「相変わらず清々しい蹂躙だが、もう少し演出にも気を使ったらどうだ?」 首を傾げ、周囲を手で指し示す。 「折角の偉業だ。観客が絶えては勿体無いだろう?」 抉れた大地、原型の無い屍。 それが延々と広がる荒野を。

2017-07-05 23:02:14
おやすむ💤ウニ @lv100uni

@inugirice 「あァ?演出だァ?」 この蹂躙は見世物ではない。この殺戮は演出ではない。ただレオンハルトが自分のためだけに築いた屍の山だ。 「そんなもんをして何になる」 作業同様の鏖殺は理路整然として美しくはあるが、そこには一切の華美さは無い。 淡々と殺しているだけだった。

2017-07-05 23:07:22
頭が平均みっつ程度ある〜! @inugirice

@hisyabun_sk 「君が如何なる結末を目指しているか知らないが……それが死力を尽くさねば到達できない地点だからといって過程を蔑ろにするのは勿体無いという話だ」 獅子の足元に転がる遺骸を指差す。 「それに、呆気の無い死も一つの美しさではあるが……華々しく殺して締め括るのも『悪役』の役目だろう?」

2017-07-05 23:16:26
おやすむ💤ウニ @lv100uni

@inugirice 「……」 足元に転がる死体を眺める。それは無残に胴を裂かれ、何の面白みも無く皇帝邪紋に敗れた男の死に様だった。 「……俺は、どこぞの唯一悪と違って、悪を標榜する気はない。悪であることに意味を見出さないし、悪であることを盾にしない」 彼等は皆。 「こいつらの死は、俺の生だ」

2017-07-05 23:20:07
頭が平均みっつ程度ある〜! @inugirice

@hisyabun_sk 「成る程。それは道理だ。君の生に、数多の死が必要だっただけ」 指をすいと上へ向ける。 獅子のその瞳に向かって、 「では、君の生は何だ?君の生には何の意味があると思う? ……いや、どういう意味をつけたい?」

2017-07-05 23:26:33
おやすむ💤ウニ @lv100uni

@inugirice 生の意味。生きる意味。 それは、レオンハルトにとって考えたことのないものだった。 「……」 生きているかも分からぬ魔境の日々で。 生き残れるか分からぬ戦場の日々で。 生きていけるか分からぬ混沌の日々であったから。 ただ、生きているだけだ。否、生きていくことすら困難だった。 →

2017-07-05 23:30:25
おやすむ💤ウニ @lv100uni

@inugirice だから、その先を考えたことなど一度もなかった。 男が黙る。唐突に突きつけられた哲学に、ふと、彼の中の何かが揺らいだ気がした。 もはや生きるものはそう居ない戦場で、立ち続ける男は。 「……俺は」 言葉を、口にする。 「……、……何かを残したい」 己の生きた意味を。己の生きた価値を。

2017-07-05 23:32:15
頭が平均みっつ程度ある〜! @inugirice

@hisyabun_sk 「ほう」 騎士の顔に浮かぶのは興味、好奇心、そして悪戯心めいた邪悪さ。 「君は既に屍の山と血の河を築き、世界に混沌を振り撒き……災禍という意味では史上でも屈指の影響を残している。 それこそ、このまま君が往けば、かの始祖君主にすら匹敵する程に」 →

2017-07-05 23:44:26
頭が平均みっつ程度ある〜! @inugirice

@hisyabun_sk 「君の所業は永遠に刻まれるだろう。その上で、君は何を残したいと願う?」 「残す、という事は何かしらの“観測者”(よみて)が居るという事だ。それに、何を伝えれば良いと思う?」

2017-07-05 23:45:10
おやすむ💤ウニ @lv100uni

@inugirice レオンハルトには難しいことは分からない。ラコートのように、哲学的な言葉をこねくり回されると面倒になって全てを薙ぎ払いたくなる。 実際ここで彼を薙ぎ払ってもいいのだが。 なんとなく、その答えは自分でも知りたい気がして。 振るいそうになった剣を辛うじて止めた。 →

2017-07-06 07:40:54
おやすむ💤ウニ @lv100uni

@inugirice 沈黙。思考。 己に持てるもの。己に赦されるもの。己の望むもの。それらを並べて、描いて、強欲に、求める。 「俺が持てるものは己自身だ」 生まれたときより天涯孤独。持てるものはなく。 「俺が残したいものは、『己自身の証明』だろうな」 赦された自由はなく。 望むものは遠く。 →

2017-07-06 07:43:40
おやすむ💤ウニ @lv100uni

@inugirice であれば、願うのは『不確かな己の確立』。 己が誰であるのか。何であるのか。 最も自我が強く求められる邪紋使いでありながら、男のアイデンティティーはひどく不安定だ。 それを確立し――世界に己を刻み込みたい。 とても個人的で、あまりにもエゴの塊で、そのくせ壮大な、彼らしい願いだった。

2017-07-06 07:47:43
頭が平均みっつ程度ある〜! @inugirice

@hisyabun_sk 「『君自身の証明』か。良いな。実にシンプルで良い」 満足げに微笑むと指を引っ込めて斧槍の柄を弄ぶ。 「とはいえ、君が具体的に如何なる方向性を志向し、如何なる答えを導くのかは私には分からない。なので此処から先はあくまで私の趣味による提案であり勧誘だ」 →

2017-07-06 12:45:01
頭が平均みっつ程度ある〜! @inugirice

@hisyabun_sk 「『魔王』をやってみないか?」 「蹂躙と鏖殺を手段ではなく目的に据えてみよう。 君が人を屠るのは食事と同じ、生きるのに必要な義務だ。 だが、食事は単なる栄養補給ではない。美食は人の追求する快楽の極みの一つ。料理もまた技術を高めれば芸術となる」 →

2017-07-06 12:45:54
頭が平均みっつ程度ある〜! @inugirice

@hisyabun_sk 「……君は強者に敬意を払うだろう? 同じ事だ。 何も全員の死に気を遣えとは言わない。君が是非とも死合いたい相手には相応の気合を入れて格好を付ければ……きっと楽しいぞ?」 →

2017-07-06 12:46:26
頭が平均みっつ程度ある〜! @inugirice

@hisyabun_sk 「人の心を奪うような破滅を齎そう」 「そうして与えた絶望から君を討つ『勇者』が現れれば、きっと死に様は楽しい。 人類が全滅したのなら、大偉業の達成だ」 →

2017-07-06 12:46:47
頭が平均みっつ程度ある〜! @inugirice

@hisyabun_sk そう言い切ると悦の乗った声音で付け加える。 「少なくとも、私という読み手はそれが見てみたい」 「一応、払える“観劇料”もあるしな」

2017-07-06 12:46:57
おやすむ💤ウニ @lv100uni

@inugirice 「魔王」 それは大仰な響きにして、一つの覇道の終着点。 手段を目的の一つとし、芸術として高め、極め、そうして破滅を齎す存在となる。 ひどく傲慢だ、と思った。 人間は――目の前のこの騎士を仮に人間と呼ぶのなら、だが――なんて、業深い生き物だろう。 →

2017-07-08 16:46:47
おやすむ💤ウニ @lv100uni

@inugirice 殺戮を見世物とし、愉しみ、愉快だと嘲笑う。 だとすれば人間は、獣以下の醜悪な化物だ。まだ生きる糧として誰かを殺す方がよほどマシだろうに。 「……醜いな」 そう、言葉が漏れた。 紛れもない、失望の言葉だった。 →

2017-07-08 16:47:00
おやすむ💤ウニ @lv100uni

@inugirice 「で?お前のその"観劇料"とやらは何だ」 ただ徒に提案に乗るだけでは不合理だ。 ただ徒に醜いものを掃討するにも手間はかかる。 せめてこちらに少しでも、利がなくてはやる気が起こらない。

2017-07-08 16:47:37
頭が平均みっつ程度ある〜! @inugirice

@hisyabun_sk 「お気に召さなかったか?」 騎士は揶揄う。 「“人らしさ”というのは突き詰めれば自由な選択。即ち余暇と余分の追求だ。 ……その果てに、無意味な死の浪費を楽しむ事に何の不思議があるというのか」 そう言葉を転がした後、聖印を浮かべて問いに答える。 →

2017-07-10 23:17:28
頭が平均みっつ程度ある〜! @inugirice

@hisyabun_sk 「君に終焉を与えられる」 「かもしれない」 勿体ぶるような間を置いてそう告げる。 「此処で全てを説明するのは冗長過ぎるから端的に言うが、私と心中すれば死ねる可能性がある。何せ“終わり”という概念そのものの付与だ。果てが無かろうが勝手に果てを定める。試してみる価値はあるだろう?」

2017-07-10 23:18:03
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