【GC/if】黒騎士獅子譚

もしもラコート・マルタイユとレオンハルトが出会っていたら、のifのお話。 ラコートが反英雄側に来て、レオンハルトがオルタ化する。
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おやすむ💤ウニ @lv100uni

@inugirice 「違いねぇ」 口では同意しつつも、レオンハルトは内心で一つの結論に至っていた。 もし、人らしさが自由と共にあり、無為な死を好み、徒に浪費されることすら厭わないのであれば。 きっと。 きっと――自分は永遠に、人間にはなれないのだ。 →

2017-07-11 12:17:04
おやすむ💤ウニ @lv100uni

@inugirice 混沌による侵食で自由はなく、己の矜持から無為な死は好まない。 すがた形は人間と同じであったはずなのに、どこかで決定的に掛け違えたらしい。気が付けば自分は人間の形をしているだけの、人ではない何かに成り果てていたようだ。 →

2017-07-11 12:17:19
おやすむ💤ウニ @lv100uni

@inugirice それでも己の混沌はこの肉体を生かし続ける。 ヒトに成れず、自由も得られない。平穏は程遠い。 ならば、望むならば、もはや終焉の他にない。 「男と心中か。ぞっとしねェな」 からからと乾いた笑いを漏らしつつ、男を見つめた。 彼は邪悪だ。 それは見て分かる。 →

2017-07-11 12:17:43
おやすむ💤ウニ @lv100uni

@inugirice 獣としての嗅覚が告げている。きっとここでこの男を殺しておいた方がいい。 けれど、既に絶望し、失望し、至るべき望みすら捻じ曲がってしまったこの獅子にとって――終焉を与える儀というのは、あまりにも魅力的すぎた。 「お前。名前は?」 レオンハルトが名を尋ねる。 →

2017-07-11 12:18:10
おやすむ💤ウニ @lv100uni

@inugirice いいだろう。 魔王だろうと何だろうと、成ってやるよ。 その代わり。 . その代わり――このクソッタレな人生に、さっさと決着をつけようじゃないか。 .

2017-07-11 12:18:32
頭が平均みっつ程度ある〜! @inugirice

@hisyabun_sk 「手間暇をかけさせてくれるのなら、美女と心中もできるがな」 そう騎士は嘯いて、姿勢を正す。 「私の名前はラコート・マルタイユ」 優雅な所作とは裏腹の邪悪な蜜を乗せた声音で、名乗る。 「君に終焉を与える為の下僕だ。 ――宜しく、“陛下”」

2017-07-11 14:11:32
おやすむ💤ウニ @lv100uni

@inugirice 陛下、と呼ばれた男はそれを鼻で笑って。 「ならば、ラコート。まずは――お前の言う通り、魔王らしく、事をやるとしよう」 ラコートの腕に提がる、同盟の紋章を指でつついて。 『魔王』は邪悪に笑う。 「同盟は俺の古巣でもある。……分かるだろ?」 →

2017-07-11 14:42:37
おやすむ💤ウニ @lv100uni

@inugirice それは優しく、邪に。 蜜月を紡ぐように。 脳裏に一瞬、蜥蜴の背中が過って。 「俺の仲間はもう殺した」 その記憶すらも、黒く裏切りが塗り潰していった。 「次はお前が、お前の仲間を裏切って、潰して、殺してみせろよ」

2017-07-11 14:44:53
頭が平均みっつ程度ある〜! @inugirice

@hisyabun_sk 「それは実に素敵だ」 黒く黒く、堕ちて捻じ曲がるその様に、騎士は目を細める。 「私も同盟は古巣、知り合いは多い」 誘う様に指を手折り。 「だからこそ……壊し甲斐があるというものだ」 赤い舌が唇を舐めた。 「お望みのままに、陛下。蹂躙と冒瀆の一幕、御覧に入れよう」

2017-07-11 15:10:39
おやすむ💤ウニ @lv100uni

このあとめちゃくちゃ裏切りした(この後めちゃくちゃセックスしたのノリで)

2017-07-11 15:11:29

《屍肉喰い》襲撃事件

頭が平均みっつ程度ある〜! @inugirice

【黒套獅子譚〜《屍肉喰い》襲撃事件〜】 廃墟を改装した一軒の店に灯る灯りは一つのみ。 重たい雲の隙間から時折月明かりが射し込む、そんな夜。 帳簿をまとめ終えた店主が大きく欠伸をした直後。 轟音が、響いた。 否、それどころではなく。 建物全体が大きく傾いた。

2017-07-14 20:27:58
頭が平均みっつ程度ある〜! @inugirice

「えーっ⁉︎」 吹っ飛んだ床の穴から、階下に着地する。 店舗として使っていたフロアは圧縮された暴風により抉り取られており、商品の残骸と瓦礫が散乱していた。 店主はカウンター奥に掛けていた斧が足元に転がっているのに気付き、それを拾い上げる。

2017-07-14 20:33:21
頭が平均みっつ程度ある〜! @inugirice

「やぁ、ご機嫌麗しゅう」 店外で黄金の聖印と白熱した刃を構えた騎士が微笑していた。 「う〜ん!ご機嫌麗しいのは君の方だけかなぁ〜!なんてね!まぁ君がこんな事をするという時点で私もワクワクしているとも!」 店主もまた、聖印を起動し、歩を進める。

2017-07-14 20:38:15
頭が平均みっつ程度ある〜! @inugirice

相対する両者の聖印も、武器に宿る輝きも、全くの同一であった。 そして、齢は違えども相対するその相貌も。 「ああ、君も喜ぶと思う事柄だ」 「へぇ!是非聞かせてくれ給え!」 間合いの取り方は紛れも無く臨戦態勢のそれだったが、声音は雑談のような軽いものである。

2017-07-14 20:42:16
頭が平均みっつ程度ある〜! @inugirice

そうしてあっさりと、騎士は告げる。 「同盟から皇帝邪紋レオンハルトの元へ裏切る事にした」 自然な動作のまま斧槍を振り上げ、 「だから、手土産と余興代わりに君達を殺す」 回転する勢いそのままに背後を薙ぎ払った。 「おっ、となしく死んどけよ騎士モドキー!!!!」

2017-07-14 20:45:22
頭が平均みっつ程度ある〜! @inugirice

暗殺者の刃はあっさりと弾かれ、その身体ごと大きく吹き飛ばされる。 入れ替わりに迫った紅炎の刃を受け流し、騎士は間合いを取り直す。 「煩いです。早く休息に戻りたいので失せるか死ぬかしてください」 「君が死の安息を得る以外の選択肢は無いな」 「は?」

2017-07-14 20:51:49
頭が平均みっつ程度ある〜! @inugirice

女の絶対零度の視線にも動じず、騎士は飄々とした態度を崩さない。 「遂に本性現しやがったなクソ野郎……」 「いいなー!私も裏切りイベントやりたかったなー!ラコート君〜私も裏切りイベントやりたいよ〜」 「黙ってろクソ店主!」 外野の声にも楽しげに耳を傾けつつ、聖印の出力を上げる。

2017-07-14 20:54:59
頭が平均みっつ程度ある〜! @inugirice

「悪いな。この裏切り枠は一人用だ」 そんなふざけた言葉を吐きながら、騎士は再び女と剣戟を重ね始める。 女の怪力で振るわれる大剣と聖印の加護を受けた騎士の斧槍がぶつかり合い激しい音と衝撃が大気を揺らす。

2017-07-14 21:01:05
頭が平均みっつ程度ある〜! @inugirice

「本当に舐め腐ってんなぁ!」 暗殺者の男が投げるナイフも同時にいなしながら、騎士はせせら笑う。 「そんなぁ〜!ラコート君のケチ〜!私と君の仲じゃないか〜!」 そうして、不貞腐れた子供のように唇を尖らせた店主もまた間合いに踏み込み大斧を振り上げた。

2017-07-14 21:04:12
頭が平均みっつ程度ある〜! @inugirice

「…………“ソレ”はいけないな」 騎士は全力で、迫り来る三つの刃から逃れた。 そう、特に。 店主の白の輝きから。 「うん、まぁそうだな。もはや制限する必要も無いか」 逃がさないとばかりに猛追してきた紅蓮の刃を弾き返した。 「は」 今度は、鍔迫り合いには至らず。 はっきりと。

2017-07-14 21:08:18
頭が平均みっつ程度ある〜! @inugirice

「まずは一つ」 女の胸に現出した金の輝きが砕けると同時に、大剣を握ったままの右手が飛んだ。 「はぁ⁉︎何だそれ⁉︎」 ナイフの牽制により、暗殺者はそれ以上の追撃を阻止する。

2017-07-14 21:13:03
頭が平均みっつ程度ある〜! @inugirice

「あー、言っておいた方が良かったかな?特殊スタン攻撃持ちなの」 「ふっざけんなよお前……」 店主のあっけらかんとした言葉に、男が地の底を這うような声で返す。 「く……」 態勢を立て直した女が、腕と剣を取ろうとするが、騎士によってそれは彼方に蹴り飛ばされる。

2017-07-14 21:16:35
頭が平均みっつ程度ある〜! @inugirice

「いやぁー!本気だね!」 「一対三だぞ?まともに相手をすれば死ぬに決まっているだろう」 「ごもっとも!」 店主の斧、騎士の斧槍。 それらは決してぶつかる事がない。 互いに、武器をぶつける事すら避けている。 「クソ店主!他に何かヤバいのあるならさっさと吐け!知ってんだろ!」

2017-07-14 21:21:01
頭が平均みっつ程度ある〜! @inugirice

「多分無いね!裏切る為の戦闘行為だから自殺はしないだろうし!……あっ、刺し違えてでも殺したいならこっちが使うかね?アズレト君」 「ちょっと待って、何か変な事言ってねぇ⁉︎」 作り出された隙により剣を拾い上げた女が口を開く。 「その二人、同一人物でしょう」 「……なんて?」

2017-07-14 21:24:32