【正しい失恋の治し方】

りえこ @eighter_rieko83

26 でもごめんな？ チビ撃退して〇〇ちゃん落とせれば…誘わへんけど…。 となれば…いつも遠くで見てたけど、電車で声かけてみよかな…。 そろそろ、ちゃんと勝負つけよう。 あのチビ…どう出てくるか…。

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27 水曜日、きのうの『明日も早く来ます』ってゆー彼女の言葉を信じ、きのうよりも更に早い電車に乗った。 …ビンゴ…！ 彼女とその隣にいつものチビ確認。 迷わず混み合う車内を彼女に向かって歩く。 「〇〇ちゃん？」 『あ、大倉さん…。』

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28 明らかにムスッとするチビが、俺が何者なのかと彼女に問う。 『あ、会社の先輩だよ。』 ここは笑顔で爽やかに…。 「あ、どぉもー大倉ですー。」 《どぉもー安田ですー。》 ぷっ…敵意剥き出し…おもろ…。 「この人は？お友達？」 あっ、更に怒った(笑)

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29 戸惑い気味の彼女そっちのけで 《カレシですぅ！》って ドヤ顔。 知っとるし(笑) 「…へぇー…？」 思わずニヤリとしてしまう。 「カレシさん、カワイイなぁ？」 男が“カワイイ”なんて言われて腹立たんわけないよな。 って、勝手におもろがってたのに、彼女は…。

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30 『あは…まぁ、見た目はそうかもですけど…わたしは頼りにしてるんです…。』 って、顔を真っ赤に。 ニヤニヤ喜ぶチビ…ムカつく…。 さらに睨んでくるから、睨み返す…あっ…！ 「そーいえば、きのう大丈夫やったぁ？〇〇ちゃん悪ないのにさぁ、隈部専務のあの言い方さぁ…、」

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31 って、わざとチビの分からん話をする。 『だ、大丈夫です…！』 もしかして話してへんのかな…慌てる彼女がそう思わせる。 でも…それはそれでなんや勝った気になる。 また睨んどるし(笑) すると、電車が揺れてふらつく彼女。 思わず支えようとしたけど…実行したのはチビ…。

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32 そらそうや…カレシの前で俺なんかに頼るわけないもんな…。 なんやねん…俺ラブラブなん確認しただけみたいになってるやん…。 会社の最寄駅に着く。 悔しかったから、一緒に降りて、わざと彼女の真似してチビに手を振った。 あは…あれは怒ったな…勝った気は全くせぇへんけど…。

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33 会社に着くとまたマスクをして黙々と仕事を始めた彼女。 そんな彼女を眺めつつ、俺も仕事を始めたけどすぐに集中力が切れる。 ２人のやりとりが頭から離れへん…。 やっぱ…略奪は無理か…。 はぁー…コーヒーでも飲も…。 自販機の前へ行くと、そのタイミングでメガネちゃん登場。

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34 『おっ、おはようございます！』 「おはよぉ、メガネちゃん。なんか飲むぅ？」 『えっ？あ、はい、えと、ちゃんと自分で…』 「ええやん、飲みもんくらい。どれ？」 『…じゃあ…お茶を…。』 少しだけ震える指でお茶を指すのが、ちょっとカワイイ。

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35 「はい。」 『あっ、ありがとうございますっ！』 自分もコーヒー買って長椅子に座り、隣をポンポンと叩いた。 ちょっと考えて、また少し距離を取ってメガネちゃんも着席。 「この前もお茶やったよな？」 『えっ…はい…コーヒー苦手で…。』 「あはっ、お子ちゃまやなぁ(笑)」

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36 『そんなこと…。』 「お酒は飲めるん？」 『はい！…お酒は好きです…。』 「へぇー…。どんなん飲むん？」 『えと…焼酎とか…。』 「焼酎？！意外やなぁ…！」 『えっ、わっ、えと…はい…。///』 恥ずかしそうに俯く。 「会社の飲み会でもそんなん飲んでたぁ？」

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37 『それは…色々やる事があるし…。』 「せかせかみんなの世話しとるよな？自分も飲んだらえぇのに。」 『いいんです…それは…それで楽しいので…。』 普通にえぇ子なんやな、って思た。 掃除がありますのでって、そそくさにその場を離れたメガネちゃん。 そのメガネの下が気になる…。

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38 終業時間になると、今日も急いで帰ろうとするマスクの彼女を、ほぼ無意識で追っていた。 「〇〇ちゃん！」 『えっ？あ、お疲れさまです。』 これでアカンかったら…ほんまにもう諦めよう…。 「ちょっと話があんねん…大事な話。少しだけでえぇから時間取ってくれへん？」

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39 『えと…これからですか…？』 「いや…今日じゃ…いや！今日！今日がえぇ。」 なんや引き伸ばしになるん怖い…。 「ほんまにちょっとだけでえぇから！な…？」 肩に手を置く。 会社の目の前で、なかなかの行動かもやけど…俺はなかなか必死やった。

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40 その時彼女の名前を呼ぶ声が聞こえた。 その方を見ると、あのチビがこっちに向かって走ってきとる。 『えっ…しょーちゃん？！』 彼女はあっさりと俺の手をすり抜けて、チビに近寄った。 やっぱり……アカンか…。 《…ごはん食べ行こ思て…。》

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41 後ろ姿でも嬉しそうな彼女の顔が見えた気がした。 『あっ、大倉さん、すみません、そういうことなんで…えと、』 「はいはい、お疲れさま！」 そう言って歩き出して、しばらくすると、ムキになった自分がちょっと恥ずかしなった…。 なんか…飲みたい気分やなー…。

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42 誰かヒマなヤツ…あ…。 スマホを手に取りLINEを開いた。 “急にごめん。飲み行きたいんだけど、今から出てこれる？” すぐに既読になった。 “大丈夫です！どちらへ行けばいいですか？” 一度合コンで会っただけやのに…こんな急な誘いにも乗ってくるて…楽勝やな…。

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43 たまに１人でも来るような、気楽な焼き鳥屋に先に入って待つ。 カウンターの端っこ。 店に入ればすぐ俺を見つけれるような、狭い店。 ほどなくして来た彼女は、相変わらず今日も派手な出で立ち。 軽く手を上げて、微笑んでみせた。 「ごめんな、いきなりで。」

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44 首を横に振った彼女は、走って来たのか、少し息が上がってた。 「何飲む？」 『じゃ…同じものを…。』 俺のビールを指さした。 注文をして、乾杯。 この前もビールやったっけ？ …覚えてへんなぁ…。 「お酒、イケる方？」 『はい…まぁ、好きですね。』

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45 「そーなんや。じゃあさー、今日俺飲みたい気分やから、とことん付き合ーてーや？」 『ふふ、もちろん大丈夫ですよ？』 それってさぁ…どこまでオッケーってことなんかなぁ…？(笑) 短いスカートから伸びる程良い肉感のキレイな足…男としては是非なんとかしたい感じ。

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46 失恋したてでこんなこと考えれる俺って、結構ヤバイと思うけど…憂さ晴らしって言う言葉も悪いけど、そんなことも正直したいわけで…。 まぁ、結果いい感じな酔っ払い。 そして、気付けば彼女は俺のベッドで寝息をたてている…。 見た目で判断したらあかんてゆーけど…まさにや。

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47 派手やし、酔うたから家まで送っててゆーたらホイホイついてきて、押し倒しても抵抗せず普通に…と、ここまでは見た目で俺が判断した通りやった。 せやのに…抱いたらめっちゃぎこちなくて。 全然慣れてない感じが…正直めっちゃツボった…。 それに…めっちゃ良かった…。

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48 カラダの相性が云々って…初めて実感した…。 彼女がすぐに寝たりせんかったら…もっかいしたいくらいやったのに…。 それだけやない…実は飲んでる時から結構いい子やなって思ってた。 気も遣わんでえぇし、話も途切れんかったし…アリ…いや、大アリちゃう…？

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49 「化粧…もっとナチュラルにしたらえぇのに…。」 すっかり剥げた化粧のまま眠る彼女の頬に触れながら、小さくそうボヤいた。 そしてそのまま、いつの間にか眠りに落ちていた…。

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50 木曜日、いつもの目覚ましで目が覚めた。 隣にいたはずのあの子は、もう既にいなくて…ちょっと残念。 起き上がってボーッと昨日のことを考える。 また会いたいなぁ…。 自然とそう思えた。 ふと時計を見て気付く。 あ、目覚ましのセット、〇〇ちゃんの早出に合わせたまんまやった。