- eighter_rieko83
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51 ま、えっか…ゆっくり支度しよ…。 そう思ってリビング見たら、何やら見慣れない紙が1枚。 “おはようございます。今日も仕事なので先に出ます。きのうは楽しかったです。また急でもいいので誘って下さい。” 「キレイな字…。」 なんか色々ギャップあり過ぎやと思う…。
2017-06-01 19:14:3452 その手紙を眺めつつ、のんびり用意してたら、逆にいつもより用意に時間がかかり、結果バタバタして電車に乗り込む。 すると、いつものところからあの2人が乗ってきた。 仲がいいのはずっと前から分かっていたけど、特別ベタベタしてることはない。でも、今日はなんか違う。
2017-06-01 19:14:4053 チビの肩にもたれたりして…俺の傷をわざと抉るかのようにベタベタ…。 いやでも…なんか痛みはしないかも…? すげー腹は立つけど…。 ふとチビが顔上げて、俺と目が合った。 文句あるんか、みたいな顔してコッチ睨むから、ちょっと睨み返して目を逸らした。
2017-06-01 19:14:4454 もう関係ないねん…。 カレシに手を振る彼女を置いて、先に駅の階段を駆け下りた。 そして最近の恒例、朝から自販機の前でコーヒー。 この時間だと、メガネちゃんが掃除であっち行ったりこっち行ったりしてんのが見える。 雑巾持ってたり、ほうき持ってたり…掃除いつも1人なん?
2017-06-01 19:14:4855 しばらくしてメガネちゃんが、自販機のとこに来た。 『お、おはようございます…。』 「おはよ!掃除お疲れさま!毎朝ひとりでやってんの?」 そう言いながら、いつもメガネちゃんが買うお茶買って差し出した。 『えっ、これ…、』 「飲んで。」 『あ、ありがとうございます…。』
2017-06-01 19:14:5356 「掃除って確か当番制やなかった?」 『はい、確か…(笑)でも、お掃除好きなんです。』 実際やらんやつもおるしな…俺もサボることあるし…。 そーゆーの、分かってるんやろな…。 ホンマえぇ子…。 今日は言われんでも隣に座ってくれる。 相変わらず1人分空いてるけど。
2017-06-01 19:14:5857 ふと、そんな彼女の首元に目が止まる。 赤い…痣…? 「メガネちゃんて…カレシおるん?」 『ええっ?!///』 明らかに焦って、お茶を少しこぼした。 すかさずハンカチで濡れた服を拭いながら、真っ赤な顔で言う。 『なっ、なんでそんなこと聞くんですかっ…。///』
2017-06-01 19:15:0458 意っ外…おんねや…! 「ぃや…なんとなく…。」 『・・・・・。///』 あ、黙ってもーた。 『お、お茶…ご馳走様でした…!』 逃げるように小走りで行ってもーた…。 正直…興味あるなぁ…。 あのメガネちゃんが…ベッドの上ではどんな顔して男に抱かれんのやろ…。
2017-06-01 19:15:0959 あんなにえぇ子やもんな…きっと真面目な男と付き合ってるんやろな…。 ……ええなぁ………。 えっ?! 俺、今、えぇなって…思った?! その男が羨ましいって?! あ…れ…? なんで…? それからなんか、ずっとメガネちゃんと、昨日のあの子のこと考えてた。
2017-06-01 19:15:1360 てゆーか、頭から離れんかった。 派手で遊んでるっぽいのに、実はそんなことないセックスと気が合うあの子。 見た目も中身も真面目で、めちゃめちゃえぇ子のメガネちゃん。 あかん…俺…2人とも好きみたいや…。 って、何考えてんねん! どっちかに絞らなアカンやろ…!
2017-06-01 19:15:1761 いや、でも、メガネちゃんにはカレシおるんよな…でも…確かめたわけやないし…。 そうやな…とりあえず…! 「メガネちゃん?」 『えっ?あ、大倉さん…。』 帰ろうとする彼女を自販機の前で呼び止めた。 「あのさ…今からメシ…行かへん?」 『えっ……は…い…。』
2017-06-01 21:37:2362 良かった…。 「ほんなら行こっ。」 にっこり笑って一緒に外へ出た。 あの子とも行った焼き鳥屋へ。 2日連続やけど…ま、えっか。 「焼酎が好きなんやっけ?」 『あ、はい…でもとりあえず最初はビールで…。』 お互いビールで乾杯する。
2017-06-01 21:37:2763 「好き嫌いある?」 『いえ、特には。』 「何か食べたいのある?何でもうまいで?」 『大倉さんのオススメで…。』 「ほんなら…おっちゃん、なんかオススメお願い!」 《はいよ!》 昨日も来てたこと知ってるから、おっちゃんは昨日とは違う料理を適当に出してくれた。
2017-06-01 21:37:3264 こーゆーとこが、この店の気に入ってるとこ。 安いし、融通がきくし。 だから毎日来ても飽きひん。 《毎日仲良しだねぇ。同じ店で飽きないの?》 おっちゃん、勘違いしてはるわ。 てか、メガネちゃんに別の女と昨日も…ってバレるやん、やめてーや…もぉ…。
2017-06-01 21:37:3565 焦ってチラリと彼女を見ると、気まずそうに俯いてる。 …あれ? もしかしてやけど…脈アリ?? 「あの…さ…朝も聞いたけど…その…どうしても知りたくて…こんなん失礼なんかもやけど…いや、失礼ってゆーか…迷惑なんやろうけど…、」 この俺がこんなんで緊張…ヤバイ…。
2017-06-01 21:37:3966 「…カレシ…おる…んよな…?」 『えっ………。』 お願い…おらんてゆーて…。 『………いま…せん…。』 「ホンマっ?!」 つい食い気味に。 いや、でもさ…いないのにキスマーク…はアカンくない? 『なんで…そんなこと気になるんですか…?』
2017-06-01 21:37:4367 うっ…そらそう思うよな…。 「なんでって…。」 昨日は別の女と一緒おったくせに…って思ってんのかな? そんなヤツが気になってるとか言うても説得力ない…? あーもぉ、おっちゃん…! 『大倉さん…わたし…、』 アカン! 帰る、とか?! 『謝らないといけなくて…。』
2017-06-01 21:37:4768 へっ?! 謝る? なんで? 何を…? 《はい、アスパラベーコン巻きね!》 おっちゃん…間も悪いわ…。 《それにしても彼女…昨日と随分雰囲気違うね~!》 うわ! 何言ってんの!! 「いや、おっちゃん…っ、」 『すみません!』 「えっ?!」
2017-06-01 21:37:5069 突然彼女が大きな声を出して立ち上がった。 『あ…のっ…本当に…すみませんでした…あの……今日は帰ります…!』 へっ?! えっ?! 彼女は俺とおっちゃんにペコリとして、慌てて…あっという間に店を出てった。 《は、はぁ~ん…。》 「何が“ははぁ~ん”やねん、もぉ!」
2017-06-01 21:37:5470 なんやわけわからん状況。 「なんか、絶対誤解させたやん…!」 《誤解?誤解してんのは君でしょ。》 「はぁ?」 《いやいや…まだまだ見る目がないねぇ…(笑)》 「はぁっ?!」 《つけといてやるから、早く追いかけてあげなさい。》 「へっ?!」 《ほら、早く!》
2017-06-01 21:37:5871 「は…はいっ!」 急いで店を出た。 とりあえず…駅かな? 走って駅へ向かった。 すると、駅の入口で彼女の後ろ姿を捕まえた。 「待って!」 俺の声にビクッとして、でも逃げる時間はなく、大人しく捕まってくれた。 「なんでメガネちゃんが謝るん?」
2017-06-01 21:38:0372 『えっ…だ、だって…。』 泣き出しそう。 手を引っ張って、人通りの少ないとこへ。 手首を握ったまま、向かい合ってもう1度聞く。 「おっちゃんはなんか分かったみたいやったけど、俺分からへんかった。何が謝る必要あったん?謝るとしたら、むしろ俺の方ちゃう?」
2017-06-01 21:38:0773 『……騙すとか……そーゆーつもりじゃなかったんです…。』 「…騙す…?」 メガネちゃんは俺が捕まえてないほうの手でゆっくりとメガネを取り、俺を真っ直ぐ見た。 「えっっ……。」 その目から涙が零れる。 確かに随分印象は違うけど…あの子やん…合コンのあの子…。
2017-06-01 21:38:1274 メガネちゃんは…あの子…? 俺の部屋で眠った…あの子…? 「ウソ…やろ…。」 『こんな…地味な…ごめんなさ…、』 堪えきれずに零れ続ける涙。 それをまたグッと我慢して言葉を続ける。 『ずっと…好きだったから…嬉しくて…誰かの代わりでいいからって…本当に…ごめ…、』
2017-06-01 21:38:1675 「好き…やった…?俺のこと?」 彼女は目を伏せて、でもしっかりと頷いた。 「あんな…出会ってすぐの子を…すぐ部屋に連れ込むような男を…?てか、何?誰かの代わりって…。」 『大倉さんが好きな人いるのは知ってます…ずっと見てたから…。』 「そーゆーこと…。」
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