ニンジャスレイヤー:ネヴァーダイズ 【8:オヒガン・シナプシス】 #2(ザ・ヴァーティゴ=サンのツイート補完)

ネオサイタマ電脳IRC空間 http://ninjaheads.hatenablog.jp/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867 既存のまとめに入っていないザ・ヴァーティゴ=サンのツイート(2016-08-03 16:08:36)を補完 続きを読む
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

生ゴミの中で嗚咽する存在を一瞥するにとどめ、裏路地から出てゆくのはやはりニンジャだった。どこか焦燥した様子で足早に進むのは、かつてイッキ・ウチコワシに属し、ザイバツへ渡り、アマクダリ・セクトに鞍替えし……そしてこの異常な夜に、自暴自棄な衝動に衝き動かされたニンジャだった。

2016-08-03 23:24:15
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

絶望や困惑をないまぜにした泣き笑いじみた奇妙な表情をメンポで隠し、彼は亀裂に躓きながら、民衆の走る方向へ向かう。既にその手にバクチク類のストックは無かったが。報道ヘリが飛んでいた。断続的な地鳴り。足元には浸み出した地下水か、あるいは海水か。白み始めた空に流れ星がジグザグに閃く。

2016-08-03 23:27:51
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

エントリー者の生体情報をセンサーが感知し、美しい音楽が流れ出した。その者は壁に手をつき、萎えかかった足を引きずって、奥へと進んだ。「ハアーッ……ハアーッ……!」その者の有機クリスタルボディはイビツだった。皺が寄り、亀裂が生じ、割れた箇所からは正体不明の無色の滲出液が染み出す。

2016-08-03 23:30:40
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

古巣ザイバツとのイクサで致命傷を負い、ジグラットから転落したトランスペアレントクィリンは、全ての始まりの地・ヨロシサン製薬本社ビルへの帰還を果たした。彼の肉体は人体の数百倍の新陳代謝・自己修復力を持つ。だがこうまで傷ついては、肉体の完全復元には「本社代表取締役会」の助けが必要だ。

2016-08-03 23:33:16
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「なんと悩ましい事か」白の通路を歩き進みながら、大師は呟く。アガメムノンは失敗した。あらゆるデータがそう告げている。これはヨロシサンにとっても大きな後退を意味する。オヒガンを閉ざす事で市民の建設的意志を完全剥奪し、ピュアテックで完全漂白した後に来るべき世界。理想ヨロシ社会。

2016-08-03 23:37:08
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

彼は網膜のヨロシ時計をリセットした。再定義社会は人類総ヨロシ化に適した更地だ。全人類へのヨロシ幸福DNA注入。地球全土のヨロシ・ホスピタル化・全人類の患者化。繁殖・成長・進化のヨロシサン管理。無限めいた専用ケージの中で人々はエネルギー生産労働を循環させ、鷲の王の礎となる。

2016-08-03 23:41:54
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ヨロシはインフラ自体であり、王を内包する。理想社会だ。だがその実現も遠のいた。「アジェンダを再作成せねばならぬ」彼は無感情につぶやき、胸の傷を押さえた。取締役会セキュリティ・フスマが開いた。彼は円卓室のエレベーターで深部へ降下する。やがて彼は……白亜の巨大な泉を前にした。

2016-08-03 23:45:16
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

彼は緑の液体、取締役会に、ゆっくりと身を沈めた。「フーッ……」バイオクリスタルボディが多色スペクトルに輝き、圧倒的速度で傷を癒す。再定義プロセスの失敗により、地球規模での天変地異の時代が来る。この数十分のうちに、無視出来ぬ事象が複数、バイオLANを通して彼の耳に入ってきている。

2016-08-03 23:47:30
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ヨロシサンには混迷の新時代を導く義務がある……」緑のプールに満たされたヨロシサン取締役会の意識とトランスペアレントクィリンは交合し、その知性を澄み渡らせる……BZZZZ!「アバッ!?」BZZZZZZZT!「アバババーッ!?」BZZZZZZZZZZTTTT!「アバババババーッ!」

2016-08-03 23:51:39
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ナムサン!緑のプールがマイクロ波で瞬時に沸騰し、中に抱かれたトランスペアレントクィリンを苛む!ボディが白濁し、激しく痙攣!そこへ、拍手しながら物陰から進み出た者あり!「事前に情報は得ておりましたが、直接目にすると、実際おぞましき様相でありますな」「サブ、ジュ、ゲイター=サン!?」

2016-08-03 23:54:57
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ナムサン!緑のプールがマイクロ波で瞬時に沸騰し、中に抱かれたトランスペアレントクィリンを苛む!ボディが白濁し、激しく痙攣!そこへ、拍手しながら物陰から進み出た者あり!「事前に情報は得ておりましたが、直接目にすると、実際おぞましき様相でありますな」「サブ、ジュ、ゲイター=サン!?」

2016-08-04 13:43:03
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「然り」指を鳴らすと、UNIXデッキの陰から複数のペイガン464が姿を現した。彼らは高速タイピングで取締役会破壊プログラムを走らせたのだ……!「マインドコントロールが施されていない個体です。我が社の新たな幹部社員達という事になりますな」「アバババーッ!いかにして、そのような!」

2016-08-04 13:45:38
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ニチョーム戦が福音です。ニューロン攻撃を受けて壊死した脳組織に制限プログラム部位も含まれていた。サイオー・ホース」「場当たりの感情でこのような愚行を!歴史、レリックの重み!代表取締役会の叡智が損なわれてしまう!」「フー」サブジュゲイターは息を吐いた。「大師。何故私を作られた?」

2016-08-04 13:53:38
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「な……」「子は親を殺すもの」彼は親指を下に向けた。ペイガン464の一人がツマミを最大にした。ZZZZTT!「アバーッ!」クリスタルボディは融解。爆発四散して、煮え滾るプールに飲み込まれた。「サヨナラ!」神秘は軽々しく、永遠に失われる。「ハハハハハ!」サブジュゲイターは哄笑した。

2016-08-04 13:57:59
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「これでヨロシサンは私のもの……」「アバーッ!」その時だ!デッキに接続していたペイガン464が痙攣し、「サヨナラ!」突然の爆発四散!「何ッ!?」サブジュゲイターはデッキに駆け寄った。「上階サーバー室からのアクセスだと?これは……まさか」モニタに『本社総破壊プログラム進捗』の表示。

2016-08-04 14:02:29
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」天井のタイルが外れ、落下してきた影がペイガン464の脳天をバンブーで串刺しにした。「アバーッ!」「イヤーッ!」共に降りてきた影達が瞬時に散開し、残るペイガン464がカラテを構える前に殺害した。ナムサン……極限まで研ぎ澄まし狙い澄ました、無慈悲なアンブッシュであった。

2016-08-04 14:07:22
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

怒りに満ちたバイオニンジャが包囲する。「ドーモ。フォレスト・サワタリです」サヴァイヴァー・ドージョーの頭は代表してアイサツを決めた。464は一瞬で全滅し、ペイガン技術は絶えた。サブジュゲイターは呻いた。ドージョーの侵入は予期していた。だが本社セキュリティは堅牢。これは早すぎる。

2016-08-04 14:13:14
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「バカな」「俺を只の愚かな脱走末端兵士と思ったか。何年も救援なし孤立無援でジャングルを彷徨い、メコンの泥水を啜り生き存え、外から貴様らの非道を眺めれば、力も知恵もつける。己がかつて加担した非道行為の正体も」フォレストはナム幻覚を振り払うべく、目の前の現実を直視すべく首を振った。

2016-08-04 14:17:32
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

サワタリ研究員はモニタ上の進捗バーを横目で見た。「ヨロシプラント襲撃のたびに搔き集めたADMINパターンのパッチワークは、ジグラット・オフィスのデータをもって一応の完成を見た」彼の腕には無数のネームタグが巻きついている。バイオニンジャ達の。「ここで全て終わらせる」「バカな!」

2016-08-04 14:26:04
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

サブジュゲイターは泡を食った。「音声認識オープン!サブジュゲイターより命ずる!」彼は今や最上位社員だ。「代表取締役会に侵入者だ!排除……グワーッ!」「ニイーッ!」サスマタが彼を釘付けにする!「バイオニンジャめ!この男が何をしようとしているか、わかっているのか!」警報音が鳴り響く。

2016-08-04 14:29:49
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「そんなもん、わかってら」答えたのはハイドラだった。「その通り」ディスカバリーが頷いた。「構わねえよ。大将が覚悟しての事だ。俺らはついていく」「ヨロシサン、完全破壊。バイオインゴット、根絶」ファーリーマンが厳かに言った。フォレスト・サワタリは無言。警報音と赤いランプ。

2016-08-04 14:33:03
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

取締役会が消滅しバイオインゴットが失われれば、バイオニンジャのみならず、地上に生きる重改変バイオ生物も、重バイオサイバネ臓器移植者も、全てがジゴクを味わい滅びるやもしれぬ。だがそのジゴクと引き換えに、二度とヨロシサンの気紛れと傲慢によって理不尽なる悲劇が生み出される事はない。

2016-08-04 14:36:43
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