【捏造】ミスリードさせない情報発信技法について【編集】
著者によるけど、実話怪談は「体験者の伝聞」を書くから、入り口が三人称で始まるものが多いんだけど、読者には体験者の体験を「体験者当人の視点」で追体験させたいから、途中からさりげなく主語を省略したり、内心の感想を地文に差し込んで一人称のように錯覚させたりとか。
2017-07-04 10:09:53そうすると、いつの間にか釣り込まれて「怪異に翻弄され、布団の上にお婆さんを乗せて金縛りに遭っている」のが、作中のAさんではなく自分自身のように錯覚する。主語の部分を省略することで、「誰に起きていることか」をすり替えちゃう、という。
2017-07-04 10:11:06これを新聞、雑誌、テレビニュースは、「マジメに扱うべき報道」でやってんのよね。 主語が省略された報道は、例えば自分が加害側・被害側どちらの立場でなくても「自分事」のように刷り込まれてしまう。
2017-07-04 10:12:24「築地から豊洲に移ることで迷惑を被る」のは、築地の業者、大きく見積もっても東京都民のはずなのに、その辺りの主語が端折られることによって、「水産関係者ではなく、そもそも東京都民でもない人」までが、「豊洲はなんて酷いんだ!」と思わされてしまうアレ。
2017-07-04 10:13:43ここらへん、悪意のあるなしの問題ではなく、「主語を省略して当事者のように錯覚させる」っていう意識誘導のための技法によって成される部分ではある。 他に「正義の怒り」「義憤」を誘発する文章とかもある。技術の問題なんだよなあ。
2017-07-04 10:15:00なので、「主語を省略して、他人事を自分事のように錯覚させる誘導技術」と、「憶測や記者の願望がもうすぐ来る未来の事実であるかのように錯覚させる技術」と、「正義の怒りを誘発することで思考を停止させる技術」とかいうのがある、ってことを分かっておいて気を付けるのがいいかもね。
2017-07-04 10:16:27ただ、「そういうのが技法としてある」と分かっていても、「社会正義のため、可哀想な他人のため、狡い権力者を懲らしめるために、俺は怒るんだ!」っていう甘美な誘惑には勝てないんだよなあ。 怒らされたら負けだよ負け。
2017-07-04 10:17:28実話怪談以外に、創作物としての小説で「登場人物の心情に読者を寄り添わせたいとき」や、決起を促したり警鐘を鳴らしたりするための文章なんかでも、こういう「主語を極大化」「主語を省略」して当事者のように錯覚させる技法ってのは使われてると思う。
2017-07-04 10:19:48どっちにせよ、「誰に取っての利害なのか」を伝える必要を伴う報道でやっていい技術じゃないとは思うんだけど、「一線を退いたら将来は司馬遼太郎になりたいんだ、俺……」っていうジャーナリストが多いせいなのか、報道記事でポエムや小説風の情緒刺激作文をする記者が多くてかなわん。
2017-07-04 10:21:01その後のやりとり
この間にいろいろあるんだけど、その辺りはこちらのまとめにあるから割愛。
そして……ここまでを受けてこの例え話に繋がる
1)ヒアリの女王アリの死骸が見つかる(ファクト) 2)繁殖している可能性がある(警戒を促す情報) 3)安倍政権の落ち度である(因縁) 大抵の報道に求められているのは(1)か(2)までなんだけど、(3)を言い出すから新聞はBBQの焚きつけにしかならんのじゃい。
2017-07-04 14:17:58事態の経緯とまとめ
タイムスタンプを見るとわかるように、中村あや氏の「マスコミは伝えてくれない」ボヤキの後に連なる「正確に伝える技術に関する論考」(本まとめ)がまずあった。
その後に「ニュースの不正確性は取材対象/報道各社自身/読者・視聴者の全てにとって不利益」という話が続き、「オピニオンとファクトの混同」の話から「ヒアリは安倍政権のせいなどと言い出すから信頼されないのだ」、という例え話が出た。(そしてここが部分抽出から誤読された)
そして、その後に一連の本題としての「ニュースの不正確さを是正する方法に関する提案と論考」に続く。
一連のヒアリ関連批判を行った人々の傾向としては、
- (A)一部抽出(前後の文脈を知らない)からの誤読により、「デマを発信するのは許せない」という批判(真に受けレベル1)
- (B)一部抽出からの誤読に基づき「安倍政権のせいだと言い出すような愚かな左派が実在する、という誘導が安倍政権擁護者、ネトウヨから出るのは許せない」という批判(真に受けレベル2)
- (C)「都議選で敗北した安倍自民の、落選候補者(中村あや氏は、千代田区出馬で都議会のドンと目された内田前都議の後継)に塩を送るような内容だったから、ネトウヨの仕業に違いない」という批判(真に受けレベル無関係の左派・リベラル・アンチ安倍系統の批判者)
概ねこの3系統のいずれかであったように思う。
(A)は一連の経緯まとめから正しい文脈を理解できれば翻意できるはずだが、ここで「正しい文脈(ソース、まとめたURL)を断固として見ない」という能動的なリテラシー盲目を選んだ人々が少なからずいた。
一方、「疑問を呈したが、返答と説明で納得した」という人からは、その後の批判はない。
(A)が「デマの配信はよくない」という批判であるのに対して、(B)は「存在しないデマを流しているのがアンチ安倍(左派・リベラル)であるかのように誘導するのは安倍擁護者・ネトウヨの仕業に違いない」という感じで、批判者の属性/発信者(この場合は僕)の属性を意識した批判になっている。
右のサイハテにいる人からも激しいご批判は戴くが、左寄りの人から激しいご批判をいただく機会が多いので、「自分より右にいる奴は全部ネトウヨ」という理論からネトウヨ扱いを受けているのだろうと類推できる。
(C)はこれに加えて、7/2の都議選で自民が敗北したことで、「敗者を慰めるなど不届き千万」という意識が加わっている。勝てば官軍負ければ賊軍という意識から、「賊軍に手をさしのべるものは賊軍と同一だ」、という勝者の陶酔が垣間見える。
※(A)~(C)には加えていないが、過去、「反原発」「反共謀罪」「反特定機密保護法」「反基地」その他の、「安倍政権での施策について真っ向から反対する野党と反対を支持するアンチ安倍」という立場から僕と何らかの議論の機会があった人々の名前がちらほら見受けられた(が、こちらがブロックされているので内容が分からないものが殆どw)ので、そうした方面からも「安倍自民の敗北者に塩を送る奴は許せない」という方面から流入してきた批判者は一定数いたようだ。