「こちら、アメリア・イアハート。私たちは今、地獄の淵の島にいます。6210キロサイクルでこのメッセージを繰り返します。聞き続けてください。繰り返します。私達は今、地獄の淵の島にいます。6210キロサイクルでこのメッセージを繰り返します。聞き続けてください。繰り返します……」
2017-07-12 22:22:47「極東軍め、とうとう本性を現しおったな……」 ――ネオホッカイドウ共和国。日本とロシアが熾烈な縄張り争いを続ける地。この国を揺るがす大事件が、始まろうとしていた。
2017-07-12 22:25:24「こちら蔵王!幌筵泊地、応答してください!応答してください!」眼前の幌筵泊地からは、黒煙が立ち上っていた。 ――幌筵泊地。日本最北端の鎮守府で、かつてない大混戦が巻き起こる。
2017-07-12 22:27:13《第4班、擲弾筒準備完了!》《第2班、第3班、配置につきました!》《こちら第5班、敵の戦車を発見!交戦を開始します!》「火砲を優先して運び出せ。準備のできたものから第3ラインへ配備だ」 ――北の地を根城にする日本陸軍第11旅団。
2017-07-12 22:28:32蔵王の前にも水柱が立ち上る。「射程外に退避!隼鷹、グラーフ、翔鶴姉、出撃!敵の砲撃部隊に爆撃を仕掛けて!」《ヒャッハー!任せろ!》リフトが降ろされ、3人の空母娘が海上に降り立った。 ――艦娘たちを率いる日本海軍横須賀鎮守府第33艦隊。
2017-07-12 22:30:05「爆雷ではなくカラテで立ち向かってきたことは評価してやる」ロングテイルは両手を開き、爬虫類めいた前傾姿勢をとった。「付け焼き刃の格闘技術がどこまで通じるか、見せて貰おうではないか」 ――幌筵泊地を襲う深海棲艦。
2017-07-12 22:31:23《もしや、娘は人間どもに捕まっているのではなひか?》「いや、泊地はくまなく探しましたけど、いませんでした。多分、他の島にいっちゃってるんじゃないでしょうか」《ふむ。まあ、疾く、疾く見つけたまへ。何かあったら許さぬぞ?》 ――とある少女を探す『北の魔女』。
2017-07-12 22:32:47「と、言うわけで!」パン、と少女が掌を打ち鳴らす。空を打つ音は、サーカスの猛獣使いが持つ鞭のようでもあった。「急いでお宝を探さなくてはいけません!そこで、埋蔵金を見つけたマフィアの皆さんには、報酬を2倍です!頑張ってください!」 ――何かを探しに来た少女とロシアンマフィア。
2017-07-12 22:34:17続いて、茂みの中から、黒いトレンチコートを身に纏い、襟とフードで顔を隠した大男が姿を表した。「なっ……!?」不知火が、驚愕に目を見開いた。 ――トラック泊地に潜んでいた正体不明の巨人。
2017-07-12 22:35:30「鬼だ」1匹が泣きながら呟いた。「ありゃあ、鬼だ……!」鬼の指揮官は天に向かって銃を撃ち、命令を下した。「廃屋まで前進しろッ!退却する者は斬り捨てるッ!」 ――地獄の底から蘇った亡霊。
2017-07-12 22:38:34やがて、それが姿を現した。岩のように頑強な肉体。黄金を思わせる黄色の毛皮。ナイフよりも太く鋭い牙と爪。心臓を縮こませる唸り声。「ネオヒグマ……!」神威がその名を呟いた。ネオホッカイドウの生態系の頂点に立つ、最強最悪の魔獣の名前を。 ――試されすぎた大地の産んだ自然の脅威。
2017-07-12 22:39:50「さて、聞きたいことは山ほどあるが……」「不知火さんッ!?」声が聞こえた。アイヌの巫女とその一行が戻ってきたようだ。「助けにでも来たのか?残念だが、時間切れだ」後ろからエンジン音が近づいてきた。援軍の戦車が到着したのだ。 ――ロシア対外情報庁スペツナズ、ザスローン部隊。
2017-07-12 22:41:18「俺は不死身だ!」悲鳴の代わりに、杉坂は咆哮を上げ、ライフルを連射した。 神威は流れ着いた流木を手に取り、タ級の頭に容赦なく振り下ろす!「ア゙ア゙ア゙ーッ!」 ――中心には2人。南西諸島の死地から帰ってきた不死身の男。そして、艦霊を身に宿すアイヌの巫女。
2017-07-12 22:42:37「ここ?」「ここ」地図の通りに山を登り、松林を抜け、塹壕を乗り越え、ほっぽちゃんとごーちゃんはいよいよお宝の隠し場所にやってきました。崖崩れを起こした山の斜面に、大きな穴が空いていました。きっとここがお宝を隠した洞窟です。「入ってみよう!」「うん!」
2017-07-12 22:44:31