日向倶楽部世界旅行編第6話「パプアニューギニア・ジャングルの狩人」

ニューギニア島に上陸しジャングルの中で謎の生物と交戦した日向達は、その後人道支援団体の施設で一夜を明かした。 後はヒューガリアンへ戻るだけ、しかしそんな彼らをジャングルの中から狙う者たちがいた…
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三隈グループ @Mikuma_company

そう言うと扶桑は目を開き、大柄なジャンボの身体を静かに、そして軽々と持ち上げた 「これで一応の手当にはなりました、少しは保ちます。しかし急ぎましょう。」 「あ、ああ…瑞雲はこっちだ、付いて来てくれ。」 あまりの光景に日向はたじろいだが、すぐに冷静さを取り戻して歩き始めた。

2017-07-18 21:54:02
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「走ってください、私なら平気ですから。」 扶桑は日向を急かす、足場の悪いジャングル、丈の長い服に長い髪、到底走れるようには見えなかったが、日向は言われるまま走り出した。 「あのサル、また来ますかね…?」 最上が不安げに呟く、分からない、だがノロノロしてはいけないのは確かだ。

2017-07-18 21:55:03
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草木を弾き飛ばしつつ日向はジャングルの中を駆け抜ける、どう走っているのかサッパリだったが、扶桑もジャンボの身体を抱えながら着いて来ている。 (あのサル、昨日の怪物と何か関係があるのか…?) 日向は走り、周囲に気を配りながら思案する、サルについての疑問はいくつもあった。

2017-07-18 21:56:08
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(ニューギニア島に居ないはずのサルが現れ、襲って来た…しかも不意を打つようにだ。) サルの持っていたもの、それが野生動物の"敵意"ではなく、人間が持つ"殺意"である事を日向は理解していた。 (もしアレが我々の"敵"だとしたら、殺し損ねた我々を、見過ごすはずは…!)

2017-07-18 21:57:09
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そんな悪い予感を浮かべた直後! 「最上さん、日向さん、何か聴こえない…?」 それを言ったのは初霜!彼女の言う通り、鬱蒼とした木々の中から ガサガサ ガサガサ という音!それは、何かが木の上を飛び移る音!野生動物の音、ジャングルの、狩人の音!

2017-07-18 21:58:02
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「キキキィィィィィッ!!!」 次の瞬間!木々の一つ、草葉の裏から一匹のサルが日向に向かって飛びかかった! 「来たか!舐めるなよッ!」 日向は素早く刀を引き抜き居合斬って迎え撃つ!サルは爪でそれを弾き、跳ね、再度木へ飛び移る! 「こいつ、血が付いていないぞ!?」

2017-07-18 21:59:02
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ーーサルは一匹ではない 「日向さん、後ろ!」 初霜が叫ぶ!日向の背後から別のサルがやはり爪を立てて飛びかかった! 「このぉッ!!」 刀を振り抜く!サルは先程のものと同じように爪で弾き、同じように木々の中へと消える! 「奴にも血が付いていない、これは相当な数がいるぞ!」

2017-07-18 22:00:01
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遊撃、ヒットアンドアウェイ、サル達の動きから日向はそういった言葉を連想する。 サルは、いや敵は確かな戦術や策を持ってこちらを襲っている!深追いも、油断もしない! 「とにかく急げ!奴らは、この森はヤバい!」 後方を走る最上達に声をかけ、一層速く日向は走る!

2017-07-18 22:01:01
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「キキキッ」 「キキィィッ」 木々の擦れる音の隙間から狩人達の邪悪な声が響く!それは日向達を取り囲むように、どこまでも、どこまでも追跡している! 「キキィィッ!!」 「げえっ!こっちに来るんじゃないよ!」 そう吐き捨てながら最上は飛びかかるサルの攻撃を避ける!

2017-07-18 22:02:01
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「扶桑さん、どうにかならない!?」 初霜の問いに扶桑は首を横に振る 「ならない事はありません、しかしそうすればこの方の命が危うくなります。」 「それは、それだけは出来ないよね…!」 最上は歯をギリギリさせた、艤装さえあれば…と拳も握る、とにかく今は逃げるしかない。

2017-07-18 22:03:02
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サルの攻撃を警戒しつつ走り続け、日向達は遂に元の道へと戻って来た! 「この先だ!みんな急げ!」 サルの追跡は終わっていない、日向は最上達を先に行かせ、後方を警戒しつつまた走り出す。 「全く、観光どころの話じゃあないな…!」 彼女が腹立たしく舌打ったその時!

2017-07-18 22:04:01
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サル、木々、鳥の鳴き声に混じり、不自然な音が一つ! 「…っ!?なんだ、この音…笛…?」 何処からともなくピィーッという人工物の音、ホイッスルのような、運動場で聞くような音がジャングルに木霊する! 「誰が吹いているんだ…?いや、まさかッ!?」 何かに気付き、日向は叫ぶ!

2017-07-18 22:05:01
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「最上!初霜!気を付けろ!何かが来る!」 「何がです!」 「分からん!だが、何か来る!」 これ以上何が来るのか!最上達が息を飲んだ次の瞬間! 「キキキィィィィィッ!!!」 「なっ!」 最上達の行く手を六匹のサルが一列に封じる!だが、彼等が驚いたのはそこだけではない!

2017-07-18 22:06:01
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「これ、艤装かッ!?」 彼等は金属製の何か、いや、それは艦娘である彼等ならよく知る物、艤装を着けていたのだ! 「キキキィィィィィッ!!!」 「キキィッ!!」 サル達は砲を構え、撃つ! 「二人とも伏せて下さい!」 その瞬間!最上達とサル達の合間に扶桑が割って入った!

2017-07-18 22:07:01
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「止むを得ません!晴嵐、波紋障壁!」 左手にジャンボを抱えたまま扶桑は右手を払う! 赤い靄が広がると弾丸は失速し、彼女の正面にボトボトと落ちた! 「キキィッ!?」 「道を開けなさい!」 そのまま彼女は右手から波紋を放ち、逆にサル達を撃つ!赤い光が彼等の身体に直撃する!

2017-07-18 22:08:07
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「キキキキッ!!」 弾ける光!叩き込まれるエネルギー!サル達は気を失ってその場に倒れこんだ! その様子を見て、他のサル達は再び木々の中へと散っていった。 「お前達、大丈夫か!」 そこへ刀片手に日向も追い付く、追撃の激しさを物語るように、刀を握る手には汗が滲んでいた。

2017-07-18 22:09:21
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不穏な木々の音は変わらずジャングルを包んでいる、このまま呑気にしていればまた襲われる事は想像に難くない。 「とにかく走るぞ、瑞雲はこの先だ!」 一同は再度走り出す、一刻も早くこのジャングルを抜けなければ誰かが命を落とすだろう、それだけは避けなければならない!

2017-07-18 22:10:06
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(ニューギニア島に存在しないはずのサルの群れ、あのホイッスル、そして艤装…奴らは誰かに飼われている!) ならば何処かに操る本体が、猿回しをしている者がいる! 日向は限界まで感覚を研ぎ澄ませながら走る、わずかな気配も、変化も、見逃さぬ為に!

2017-07-18 22:11:01
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そしてその変化はすぐに起きた!またあのホイッスルが、鳴った! 「向こうか!少しは、ビビれよッ!」 日向は足元に落ちていた小石を素早く拾い上げ、音のした方向へサイドスロー! 回転のかかった石は木々の間を通り抜け、鬱蒼としたジャングルの奥へと消えた!

2017-07-18 22:12:02
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(お前の存在には"気が付いている"んだ、それに"気が付け"ッ!) 舌打ちながら姿の見えぬ敵を彼女は毒突いた。 だが投擲した直後!その一瞬崩れた体勢を、近場で狙う狩人達が逃すはずはなかった! 「キキキッ!!」 背後から爪を立てたサル!日向は刀で弾き飛ばしこれを去なす!

2017-07-18 22:13:03
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しかし! 「キキィッ!!」 足元からもう一匹のサル! 「足を奪う気か!」 反応!上半身を捻りながら足元の敵へ刀を振り下ろす、しかし! 「キキキィィィィィッ!!!」 サルは跳躍! 狙いは日向の、腕! (しまったッ!下手に動けばバッサリ行く!)

2017-07-18 22:14:11
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限界まで避ける、しかしサルの爪は僅かに日向の二の腕を捉え、その肉を裂く! 「ハンッ!痛いじゃないか!」 斬られた彼女は吐き捨てながらサルの頭を肘打つ!ミシッという嫌な音と共にサルは地面へと叩きつけられた! だが狩人達はまだいる!ガサガサ、ガサガサという音は未だ止まない!

2017-07-18 22:15:11
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(傷は浅い…しかし多勢に無勢、おまけにここは連中のホームグラウンドだ、ここは退くしかない!) 揺れる木々を睨みつけ、日向は最上達の後を追って駆け出した。 〜〜

2017-07-18 22:16:10
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〜〜 追撃を何度も受けつつ、日向達は遂に瑞雲の元へたどり着いた! 「発進用意にかかる!プロペラ周りの草木だけ取っておいてくれ!」 「分かりました!」 最上達は言われた通り草木を退ける、巧妙なカモフラージュが幸いしたのか、瑞雲が荒らされた形跡はなかった。

2017-07-18 22:17:02
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「退けました!」 だが、最上達が草木を退け終わった直後! 「キキキ」 「キキキキッ!!」 迎撃を掻い潜ってきたサル達が、歴戦の狩人達が再び現れた!悪い事に彼等は艤装をつけたタイプである! 「しつこいのは嫌いだな…!」 サル達の砲撃を日向は甲板で弾く!

2017-07-18 22:18:01