ロシア文学読んだことない奴がいきなり「カラマーゾフの兄弟」を読む

ezory @ezory

歯痛からひとまず解放されたエゾマーゾフは、歯科医と麻酔とドス（トエフスキー）に感謝しながら疲れのため夕刻より深い眠りについた。目覚めると大量の通知が届いていた。「なんだこれは？ どうなっている？ おい、誰かコニャックを持ってこい」しかしそんなものはなかったので、麦茶を飲んだ。 twitter.com/tg_editor/stat…

トゥギャッター編集部 @tg_editor

@ezoryさんのまとめ togetter.com/li/1131945 を本日のトゥギャトピに選ばせていただきました！読了お疲れさまでした！続きも期待しております。 トゥギャトピはTogetterのTOPページで紹介しています。みてね！

2017-07-23 00:13:18

ezory @ezory

三男、長老が死んだら僧院を出て俗世に戻るようなのだが、1巻の終わりで実は車椅子の少女からラブレターもらっていて、その子に問い詰められたあげくキスして「結婚しよう」と言い出した。 事件起こりすぎじゃないですか？ #エゾマーゾフ

ezory @ezory

【三男の1日】 ・一家と知人たちとで長老のとこ行く。父が失礼なことやらかしまくる ・長男に長話をされる ・長男の婚約者のとこ行ったら、婚約者がなぜか長男ご執心の商売女を呼びつけており、女同士の争いに巻き込まれる ・車椅子の少女からラブレターもらう ・寝る #エゾマーゾフ

ezory @ezory

・起床。長老が今にも死にそうだが、家のことやれと言われておつかいの続きに出かける ・小学生に石投げられて指噛まれる ・長男の暴力沙汰の被害者に200ルーブル渡すよう、長男婚約者に頼まれておつかいが増える ・被害者宅へ。あの小学生はそこの家の息子だった！ #エゾマーゾフ

ezory @ezory

・被害者のおっさんに最終的にお札を踏まれて怒られる ・車椅子の少女にラブレターの件を問い詰められて「結婚しよう」と突然プロポーズしてキスする ・少女の母親に盗み聞きされて激しく反対される あっ、昨日の午後に「長男が実家に乱入して父と使用人ボコる」を入れるの忘れた #エゾマーゾフ

ezory @ezory

・長男がヤバいと思ったのでとりあえず長男を探す ・料理番の下男（こいつは父の隠し子の可能性が高い）の密会現場とぶつかって気まずくなる ・「長男さんは、次男さんとあそこの店で食事してるかも」という情報を下男からもらって駆けつける ・次男のみが店にいる ←今ここ #エゾマーゾフ

ezory @ezory

……これが丸一日とちょっとの出来事です。 長男が使いこんだ金はどうするのか？ 婚約者と商売女の確執は？ 次男は長男婚約者とどうなるのか？ 長老の最期に三男は間に合うのか？ お前本当にあの子と結婚するのか？？ ドキドキが止まらない！（マジで） #エゾマーゾフ

ezory @ezory

わたしたちが結婚したら、わたし、あなたのことも監視しますからね、それだけじゃなく、あなた宛の手紙もぜんぶ開封して読んでしまうわ……そのことはいまからちゃんと心得ておいてください…… （第2部第5編 プロとコントラ） これ言う14歳の子と結婚するつもりだよ三男。 #エゾマーゾフ

ezory @ezory

この14歳少女、現代なら絶対に人のケータイやスマホを勝手に覗き見してきやがるタイプだし、いきなりラブレター送ったのに「あんなもの送っちゃって恥ずかしい///」と言い出す大した度胸の持ち主なので、三男……お前こいつはやめとけよ……みんなそう思うだろう？？ #エゾマーゾフ

ezory @ezory

次男イワン「父親死亡確定（スゥ）」 下男スメルジャコフ「イワンさん……イワンさんがカラマーゾフ家に来た理由って」 次男イワン「予定していた進行とはだいぶ違ったが カラマーゾフ家の財産を乗っ取るために決まってるだろ」 って感じで今後父殺すなら次男が犯人だと思う。 #エゾマーゾフ

ezory @ezory

ここまで次男のイワンの行動が他に比べ目立たなかったのには意味がある……父の隠し子としか思えない出生の下男スメルジャコフ、純真な三男アリョーシャ……操るのは容易いだろう駒だ。喧嘩稼業でいうならイワンは佐川睦夫ばりの何かを隠している可能性も高いかもしれぬ。 #エゾマーゾフ

ezory @ezory

でもな、この生きたいっていう願望というのは、ある面、カラマーゾフ家の特徴なんだよ。 （第2部 第5編 プロとコントラ より次男イワンの台詞） ここの次男の演説は名言の連続なんですが、弟のこと好きすぎてお前は佐川睦夫なんじゃないのか感も強まった！（稼業脳） #エゾマーゾフ

ezory @ezory

ここまでのあらすじを思い返しつつ、エゾマーゾフはやや釈然としない感情を抱いた。「自分も話が長いほうだが、カラマーゾフ一家はじめ、この作品の人間はいくらなんでも喋りすぎる！ なのにこいつは世界的名作なんだ！ 神か？ 神についてもっと喋れば己の生活も名作になるのか？」 #エゾマーゾフ

ezory @ezory

しかし同時に、エゾマーゾフはそれが現代日本では通用しないことも感じとっていた。「神とはなんぞや、と語り始めても『あそこの奥さん、宗教の勧誘をやるらしいわ』とご近所で噂になるだけだ！ まずはカラマーゾフ一家にとりあえず任せるとしよう！ それも文学の役割なんだろうな」 #エゾマーゾフ

ezory @ezory

まったく別の件も心にかかっている出来事であった。「この人たちは『魚スープ』とやらをよく食べているが、一体なんの魚なのだろうか？ ここは港町ではなかった気がする。というと川魚や池の魚だろうか？ 泥を吐かせる手間が大変なことだ！ そしてあまり美味しくなさそうだ！」 #エゾマーゾフ

ezory @ezory

エゾマーゾフ自身は、川や池の魚というと、ドジョウを使った柳川鍋を食べた経験しかなかった。「あれはオツなものだったが、魚なら焼いたり刺身にするほうがやはり好みだ！ でもカラマーゾフ一家に刺身を出しても手をつけてくれないだろう！」そしてついに読書に戻る決意を固めた。 #エゾマーゾフ

ezory @ezory

文庫2巻の半ばほど。次男イワンと三男アリョーシャは料理店で打ち解けるが、イワンがひどい拷問やら虐待のニュースを集めるのが好きだと明かしたあたりからだんだん混沌としてきて、ついに「ぼくのかんがえたものすごいものがたり」を弟に語り始める。「大審問官」のことです。 #エゾマーゾフ

ezory @ezory

もしあと十分、暇つぶしにおれとつき合う気があるのなら、その話をしてやってもいいがね。 （第2部第5編 プロとコントラ よりイワンの台詞） ここで三男が「とても聞きたいです」と言ってから2回、エゾマーゾフは読書を中断した。それはとても長い長い話だった── #エゾマーゾフ

ezory @ezory

それは暇つぶしというにはあまりに長すぎた スケールが大きく 分厚く 重く そして難解すぎた それは正に理論的な鉄塊だった もちろんこれはかの「ベルセルク」のドラゴンころしをもじったものだが、本当に読者は皆、この「大審問官」を理解しつつ読んでいるのだろうか……？ #エゾマーゾフ

ezory @ezory

エゾマーゾフは途中から「この次男の物語の中には、いったい何回『パン』という単語が出てきただろう？」と考え始めた。 コンサートで運悪く退屈極まりない演奏にあたった時、突然、自宅の冷蔵庫の中身を思い出すのに似ていた。そのくらい次男の物語は凄まじいものだった。 #エゾマーゾフ

ezory @ezory

同時に、エゾマーゾフはもっと若い頃の出来事を思い出した。世の中には奇妙な縁が確かに存在して（なぜか）ロシア領事館の人々と話す機会を得た折のことだ。 もしそこで「カラマーゾフの兄弟」のことを聞いていたらどうなっていただろう？ 魚スープについて説明してくれただろうか？ #エゾマーゾフ

ezory @ezory

サモワールから淹れたロシアンティー（絶品だった）を、のん気にご馳走になっていた若き自分を殴りつけたくなった。関係者の方々は日本語が堪能であった。そして親切であった。エゾマーゾフのロシア語ときたら「こんにちは、ありがとう、さようなら」程度だったというのにだ。 #エゾマーゾフ

ezory @ezory

読者がそんな回想に半ば埋没するうち、次男イワンは「大審問官」を語り終えていた。さっぱりわからない話だった。 そして三男アリョーシャは、兄のこの物語詩に興奮し、反論を始めた。なんと頭のよいことか！ ところで物語中では何分経ったのだろう、到底十分ではすまないぞ。 #エゾマーゾフ

ezory @ezory

次男イワンと三男アリョーシャの長い長い話は終わり、三男は突然兄の唇にキスをした。ロシアではよくあることなのかは謎である。BL……じゃないよね？ そして珍しく、ここからしばらくアリョーシャではなくイワンの行動が書かれるのだが、雲行きは一気に怪しくなる。 #エゾマーゾフ

ezory @ezory

下男スメルジャコフ（←父の隠し子の確率が高い）がイワンに話しかける。 こいつ、父フョードルと長男ドミートリーが同じ女性を取り合っていて、その板挟みになっている……と見せかけ、長男に情報を流し、なおかつ自分は明日から持病の発作が起きますと業務放棄予告！ #エゾマーゾフ