ISTのロケットMOMO打ち上げの「なかのひと」の思い。

小林伸光 @nobkoba

SKY-HILLSを立ち上げ、準備をしている途中で、ふと思い出したのは、2006年のM-Vロケットの打上げ後の、ある時間のことだ。 自分は宇宙作家クラブの取材チームの1人として参加していたのだが、打上げが成功して宿に帰ろうかと思っていた時に、的川先生にある会に誘っていただいた。

小林伸光 @nobkoba

それは内之浦の町の人達と、M-Vを打上げたスタッフとの懇親会、つまり打上げの打ち上げで、そこに全くの部外者である宇宙作家クラブの我々も、誘っていただいたのだった。森田プロマネの後継機に関する新情報とか聞けるかも、と、勇んで出て行ったのだが、会場の内之浦の漁港の市場みたいなところで

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町の人と、ISAS（敢えてこう書くが）の人たちが和気あいあいと、賑やかに、祭りのように、楽しそうに交流しているのを見て、居心地の悪さというか、なんか、不思議な感情が湧き上がって来た。その時は分からなかったが、漁師さんのおかみさんがその場で揚げているさつま揚げを一口食べた途端

小林伸光 @nobkoba

そのあまりの美味さ、今に至るもあんなに美味いさつま揚げは食ったことがない、それを食べながら、その感情の正体に気がつき、涙が出てきた、それは疎外感だった。内之浦と宇宙研の長い密接な人と人との付き合いが生んだ濃密な空間、その空気に当てられて、一刻も早くその場を後にしたくなったのだった

小林伸光 @nobkoba

ただ、1人では宿に帰る足がない、タクシーででも帰ろうか？と思っていたら、宇宙作家クラブの中で、やはり帰るという編集者と作家の人がいた、その編集者に、いたたまれないから帰るというと、彼もまた、ここは自分達のいていい場所じゃないと思う、と言って、逃げるように、いや、逃げ出した

小林伸光 @nobkoba

今回、SKY-HILLSの設営には実はISTのメンバーはほとんど関わっていない。彼らはその頃、MOMOを形にするためにひたすら奮闘を重ねていた。SKY-HILLSを作ったのは地元で我々を応援してくれている普通に職業を持った後援会の方々や、高校生を含むボランティアの学生の方々だった

小林伸光 @nobkoba

そして、ずっとやっていた射場作業がひと段落して、こちらにきてくれたインターンの人たち、CFで、お金を払ってスタッフとして参加してくれた人たち、前日に前夜祭を運営して、その足できてくれた皆さん、音響や、ネット中継してくれた人や出演者、美味しい食べ物や、グッズを売ってくれた出店者

小林伸光 @nobkoba

そして、全国から集まったてくれたお客さん。きれいな芝生の生えた眺めのいい、その土地を貸してくださった方、そういう全ての人たちが、この場を作ってくれた。MOMOが打ち上がる時、自分は会場の一番前に行っていた、ロケットに背を向けて、会場の方を見ていた

小林伸光 @nobkoba

前から冗談で、ロケットが打ち上がる時に、ロケットに背を向けて記念撮影をしたい、などといっていが、まさか本当にやるとは思わなかった、しかも自分が関わって、一部は手を動かして作ったロケットの、最初に宇宙に行くかもしれないその時に、それをやるとはまさか思っても見なかった

小林伸光 @nobkoba

どうせ霧でロケットは見えないだろうととは思っていたのは事実だ。だったらその場で一番価値あるものを見ておこうと思って、観客席を見ていた、MOMOが打上がって、轟音が聞こえ、見ている人たちの顔がMOMOを追って上がって行き、やがて音が消えると同時に拍手が起こる中、自分は歩いていた

小林伸光 @nobkoba

丘の下から上まで、観客席を歩きながら、そこにいる人たちを見て、MOMOの打上げを本当に嬉しがってくれている人達の中を歩いている時に、ああ、あの時の内之浦のあの場所にいるのだ！とわかった。ずいぶん時間がかかったけどあの時いたたまれずに逃げ出したあの場所にいつの間にか戻ってきたんだ

小林伸光 @nobkoba

それが、自分にとっての、今回のSKY-HILLSという場所の意味だったのだが、色々なあ人が色々な意味をあの場所で見つけてくれていたのなら、とても嬉しい。