140ssログ5,6,7月

Twitterで書いてた雑多ssのログです。刀です。男同士です。
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やまたに @mw_snc

暑いと青江はつれない。だって、君のは熱いんだよ、体温のことだけど。そんな可愛くないことを言って。じゃあ、君より低かったら抱き締めてもいいのかい。尋ねれば、まぁ、それなら、と体温の低い愛し子が頷いた。ので。では、君を熱くさせればいいんだろう。そんな解釈を。(石かり)

2017-05-31 07:30:51
やまたに @mw_snc

西瓜がいいんだって。どこから仕入れたかわからない知識で、髭切は弟の口にその欠片を放り込んだ。いつもなら、なにに良いのかと尋ねるはずが、返答はない。ただ、もしゃもしゃと食べている。ああ、汁が。襟に付く前に舐め取っても大した反応もなく。暑さとは、弟から羞恥心をなくすらしい。(髭膝)

2017-05-31 10:17:52
やまたに @mw_snc

つないだ指を、きゅっと握る。深爪で、それでもほんのり薬の材料で黒く染まった先端。大人に近いくらいに長いのに、節が目立つせいで短く見える指。薄い手のひらには刀を握る胝。一つ一つを確かめて宗三は、ふふ、と笑う。いつもは黒い手袋に隠された手。中身は僕だけが知っている。(薬宗)

2017-06-18 08:57:09
やまたに @mw_snc

かみが、床に散らばる。桃色の髪が、くるくると。四方八方に広がって、宗三の首にも貼り付いて。おまえ、こんなとこまでやらしいな。本心から言えば、とろりとした視線がこちらを見て。あなただって。宗三の伸ばした指が、額にぺたりと付いた黒髪を耳の後ろに避けた(薬宗)

2017-06-18 09:01:18
やまたに @mw_snc

一歩、近付くと一歩離れる。隣に座ると、避けられる。それは髭切が嫌われたのではなく、弟が暑がりだからと、知っている。兄者、すまないが。うんうん。適当に頷いて首筋に触れる。汗ばんだ肌、赤い頬。のぼせた瞳に熱い吐息。兄者。お前が、やらしい顔してるのが悪い。悪いお兄ちゃんだ。(髭膝)

2017-06-24 07:18:44
やまたに @mw_snc

首の後ろで一つ結び。時にお団子。くるりと巻いて簪を。おや、今日は三つ編みかな。楽しげに触れる男に、汗で張り付くからねと青江は言う。色々と遊んでいるのは只の趣味だ。その緩く編まれた髪を掬って、石切丸は口付けた。これも可愛いけれど、乱れた髪も見せてもらいたいなぁ。そう誘う。(石かり)

2017-06-24 18:01:45
やまたに @mw_snc

開きすぎだ、と薬研の手が襟を掴んだ。だって暑いんですよ。釈明に、見えるだろと聞かぬふり。見えたところで男ですもの。ころころと笑うと、男だって、とむっとして。俺はどきどきする。続く可愛らしい返答に宗三は余計におかしくなって。あなたが来るから、こんな格好なんですよ。種明かし。(薬宗)

2017-06-24 18:07:22
やまたに @mw_snc

雨粒一つ。その体に触れることを許したくないと言えば、狭量だと笑うだろうか。傘を傾けて薬研が言えば、そうですねぇと宗三が笑う。その手にも、傘。僕としては、相合い傘も良いですけれど。それじゃ、お前が濡れちまうからな。そう言って、片手を雨に晒して。これで我慢してくれ。手を繋ぐ。(薬宗)

2017-06-25 07:09:03
やまたに @mw_snc

雨が音を吸ってしまうから。青江は静かな室内で耳を済ませる。短刀の声もしない。長物連中の足音もしない。静かだなぁ、と目を閉じる。聞こえるのが、君の吐息と心臓の音だけなんて、とても贅沢だ。この腕の中にいるだけで、音が終わるなんて。青江。甘く囁く声すらも、ほら。(石かり)

2017-06-25 07:23:20
やまたに @mw_snc

獅子や、獅子や。呼び声に、なあにと髭切はわざとらしく応えて。三日月は、きょとりとしたあと、改めてその名を呼ぶ。獅子や、可愛い方の獅子や。随分な呼び方だ、髭切は笑ってその背を見送った。獅子や。後ろから、声。俺の愛しい方の獅子や。くすりと笑う弟に、髭切も破顔した。(髭膝+じじしし)

2017-06-30 17:53:17
やまたに @mw_snc

君の右目は普通だね、と覗き込まれて鶯丸は目を細めた。赤が見たいだけならば、大包平の目でも持ってこい。そういうことではないのだと、わかってはいるけれど。たかが数時間の遠征も待てない大太刀にはそれくらい冷たくてもいいだろう。青江はまだかなぁ。俺の前で、よくもまあ。(石かり+古備前)

2017-06-30 18:07:51

天国地獄

やまたに @mw_snc

腹を切れぬ刃が向かったのは天国か地獄か。どちらに行けば、と考えたことがあります。太腿に頭を乗せた宗三が、顔も見ずにそう呟く。どちらにしても、僕は現世にいるのですが。どっちにも行かなくて良かっただろう。桃色の髪を指がすく。俺はここに来た。ええ、そして次はどちらへ戻るのか。(薬宗)

2017-05-11 18:05:10
やまたに @mw_snc

兄者兄者と、兄を立てる弟の寝顔を髭切は見つめる。双剣と呼ばれても、長く長く奉納された弟は達観もなく諦観もない。その瞳は綺麗過ぎてたまに恐ろしくなるのだ。そう伝えれば、両の目を差し出す気さえする。だから、お前だけは天国にお行き。僕は地獄で構わないよ、それは知られぬ誓いだ。(髭膝)

2017-05-11 18:14:11
やまたに @mw_snc

おいで、と彼は手を差し出す。天国はこちらだよ、と微笑む。青江は予防線のように妖しく囁いた。一番イイところまで、連れて行ってくれるのかな、なんて。そちらの方でも構わないよ。あっさり返すから、この御神刀様は即物的だ。じゃあ、お任せしようかな。手が触れる。(石かり)

2017-05-10 22:08:00

恋とは

やまたに @mw_snc

恋に落ちた。青江は、心臓をたぐるように服を掴んだ。信じない。信じられない。僕が、君に。ほんの数秒前まで、置物だなんて思っていたのろまの大太刀に。僕が、どうして。繰り返しても、自覚した感情は覆らないのだ。零れた水は戻らない。そんな風に、恋をした。(石かり)

2017-06-09 17:28:42
やまたに @mw_snc

愛が無償のものならば。石切丸は布団に潜る。愛を与えるのは慣れていた。参拝者に仲間に主に君に。優しく見守りたい、幸せを祈りたい、柔らかに受け止めたいと。だから、これは愛じゃない。手にしたい、泣かれても、奪いたい。いつから、勝手な恋になったのか。隣で眠る子の涙の跡を拭った。(石かり)

2017-06-09 18:00:02
やまたに @mw_snc

それはまるで積み木みたいに。差し伸べてきた手が好きだった。子供のくせに男らしいところが好ましかった。宗三だって、それは自覚していたのだ。たまに子供らしく拗ねるところが可愛かった。勝手なところが嫌いになれなかった。そして、そして。山積みの好きは崩れ落ちて、恋になる。(薬宗)

2017-06-09 17:35:12
やまたに @mw_snc

その恋を例えるならば、と薬研は思う。つれない部分も可愛かった。笑顔が好きだった。怒っても綺麗で、涙に胸が痛くなった。けれどそれは、砂漠に水を落とすように溢れはしないと思っていたのだ。その液体が油だとは思わずに。ほんの火花で燃え上がる。そんな風に恋をした。恋は、炎のようだ。(薬宗)

2017-06-09 18:19:28
やまたに @mw_snc

恋の種を撒いたのだ。僕の半分がとても可愛いかったから、髭切の理由はそれで十分だった。このこを好きになればいいや。そうして水をやって虫をとるように、恋を育てて。あのこの良いところも駄目なところも好きなところにして。千年の大樹だねぇ、と笑う。朽ちることない君への恋だ。(髭膝)

2017-06-09 17:50:33
やまたに @mw_snc

君は世界を疑うだろうか。膝丸は微笑む。朝に日が登り、夜は暗く、空気を肺に運び、地面を踏んで歩く。その当たり前を失えるのか。水なしで生きれるのか、親なしに生まれるのか、明日が来ない日が訪れるのか。そういうものだと膝丸は繰り返す。今日も彼は兄を呼ぶ。その当然を恋だと歌うのだ。(髭膝)

2017-06-09 18:46:34

七夕

やまたに @mw_snc

我が愛しや細蟹姫。そう手を伸ばされ、こそばゆいと膝丸は肩を竦めた。俺は姫ではないし、そもそも蜘蛛は切った方で。そんな説明を兄は聞かない。おいで、僕の弟。そう一言だけ命じて。嗚呼、と観念して膝丸は駆け出した。抱き合ったその下で、鵲ではなく黒い羽根が散っていようと構うものか。(髭膝)

2017-07-07 22:20:17
やまたに @mw_snc

願い事は、と江雪は筆を走らせる。本丸中が七夕に浮き足立つ中、想うことはと弟たちの幸せばかりで。それならば、悲しみしかない願い事を綴るべきだろうか。この戦いが終わる日が訪れませんよう。上の弟が愛した焼刀が、役目を終えて消える日が少しでも遠いように。(薬宗+江雪)

2017-07-07 22:21:54
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