- fbd_forest
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そこを普通の狙撃銃と同等以上に、森の入口にいながら数キロ先の妖怪をぶち抜けるのが笹兄の凄い所で、その上に指揮や近接戦までこなせる。姑獲蝶の時にいてくれたら、奴が透明なまま、ガキ共に当てねぇようにしつつ羽を少しづつ撃ち抜いて落とす…なんて離れ業を見せてくれたかも知れねぇ。 22
2017-08-05 01:36:16まあ、いなかったのは誰のせいでもねぇし兄ちゃんを責める奴はいねぇ筈だ。本人以外は。 「ちょっと待てよ…?いつから出掛けてたんだ?」 「先々週の木曜だな…俺、夜勤明けに見送ったんだよなぁ。あの時はまさかなぁ…」 重兄はシチューを付けたパンを齧ると遠い目で天井を仰いだ。 23
2017-08-05 01:39:18「てことは…一週間出掛けてたのか」 「うん。皆心配してたし、会長さんも有給と別枠でドーンと休暇くれたんだよね」 俺達は顔を見合わせて、深い溜息を吐いた。笹兄としちゃあ、まさか旅行中にバケグモや姑獲蝶の騒ぎが起こるとは思ってもなかった筈だ。 24
2017-08-05 01:42:37勿論兄ちゃんに責任はねえし、いくら兄ちゃんが強いと言っても少なくともバケグモのときはいてもいなくても戦況は大差なかった筈だ。それでも責任というか心苦しさを感じちまってるってことか…。いや違う。やっぱさっきのは怒ってた。自分への怒り…もあるかも知れねぇがそれだけじゃなかった。 25
2017-08-05 01:45:04俺は鶏肉を噛む間に前後の経緯を推測して、食い終わってから口を開いた。 「もしかして…言わなかったんだな?」 「もしかしなくてもだよ。お前なら言えた?」 「……言えねぇよなぁ」 半年遅れの新婚旅行の最中に不穏な連絡はしたくねぇよな。最悪、途中で戻ってきたかも知れねぇ。 26
2017-08-05 01:47:54「お前やヨッシーさんのお陰で…蝶の方では死人を出さなかったけどよ…それは結果論だって怒ってるんだよな…」 「ええ…?蝶が出たのだって予想外だし…それこそ後出しの結果論だろ…?」 そりゃバケグモの時点で呼び戻せば蝶には間に合った筈だが、それこそ後だから言えることだ。 27
2017-08-05 01:51:09重兄が顔を寄せてくる。 「お前…今の笹田さんにそれ言える?」 「…………言えねぇ……よなぁ……」 「……なぁ?」 俺達は肩を落とすと、そのまま食事を再開した。多少冷めたテンションでも普通に温かくて旨いのは流石はさすがは松島のおっさんの料理だった。 28
2017-08-05 01:55:00フォビドゥンフォレスト5話「選ばれし者、選ぶべき者」 #16 「山小屋休憩」終わり #17 「秘密の通信」に続く
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