#17 「秘密の通信」<フォビドゥンフォレスト5話「選ばれし者、選ぶべき者」 >

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まとめを更新しました。「#16 「山小屋休憩」<フォビドゥンフォレスト5話「選ばれし者、選ぶべき者」 >」 togetter.com/li/1136295

2017-08-05 01:58:57
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フォビドゥンフォレスト5話「選ばれし者、選ぶべき者」 #17 「秘密の通信」

2017-08-09 00:12:53
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食事を取った後、俺達は二階に上がった。二階には、二段ベッド四台で八人が眠れる部屋が三つあり、俺達はその中の一つで仮眠を取る。テントでも交代で休めるが、やっぱりちゃんとしたベッドでも休みてぇからな。これから二時間ばかし寝て七時過ぎに出掛け、八時までにテントに行く。 1

2017-08-09 00:17:29
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日が出てくる七時頃まで一晩砦の基礎を守った後は、やってきた作業班と合流して交代でまた山小屋で休んだりしつつ、引き続き護衛を続ける。そして昼過ぎに予定通り砦が完成したら、砦に残るメンバーを残して大半は暗くなる前に帰る。俺たち学生組もだ。何もなきゃ正直暇だが、そのほうが良い。 2

2017-08-09 00:23:35
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「……くん……桐くん」 「……ん?」 何だ? 「片桐くん」 誰かが…女の人が俺を呼んでる?……声が近い。 「……すみません。起きて貰っていいですか?私です」 佐祐里先輩…会長か…。待て。声が近すぎる。まるで俺の真上に覆い被さってる感じだ。いやまさか…。 3

2017-08-09 00:38:39
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目を開けた俺は一瞬目を疑った。多分目が丸くなってただろう。 「何やってんすか、会長……」 俺は、俺の上に四つん這いで覆い被さる会長に呆れた声で呟いた。一応言っとくと、掛け布団の外側からだ。 「……夜這いなら俺一人の時にしてくださいよ、会長…」 4

2017-08-09 00:47:24
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上のベッドではラッタ、周りでは久浦や藤宮先輩が寝ている。 「ええ。残念ですが、それは今度の時にしておきましょうね」 会長はゆっくりとベッドを降りる。 「じゃあ今度よろしくお願いします」 俺も会長に続く。 「早めに起こしてごめんなさいね」 会長が頭を下げる。 5

2017-08-09 00:56:15
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壁の時計を見ると、起きる予定の十分前だった。 「いや平気っすよ」 確かにに少し早ぇが大したことはねぇ。俺は指示されるままに荷物を持ってテラスに出るとトランシーバーを渡された。最初期の携帯電話くらいデカいが、その分瘴気によるノイズも少なかったりと性能が高い奴だ。 6

2017-08-09 01:11:43
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あまり触ったことはねぇが、操作は教わらねぇでも何とかできる。問題は何故今、俺にコイツを渡すのかって話だが……答えは一つだよな。 「瑠梨ですか?」 会長は無言で微笑む。 「私は中に入ってますからね」 「ちょ…」 止める間もなくガラス戸を締めて中に入っちまった。 7

2017-08-09 01:26:14
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勿論ガラス戸だからお互い顔も見えるんだが…コレ耳を澄ませば声も聞けるだろ?しかも戸の前から離れる様子もねぇ…。俺がじっと見てると、会長は微笑みながら自分の腕時計を指差す。早くしろってことか…。俺は会長から距離を取ってテラスの縁まで歩くと、瑠梨の番号を探した。 8

2017-08-09 01:32:01
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トランシーバーに登録されていたのは、ほんの数件で瑠梨の名前は一発で見つかった。番号がいつもの携帯じゃねぇことに一瞬驚いたが、考えてみりゃ俺のコレだっておれのじゃねぇな。俺は微笑みながら待機したままの会長を一度振り返ってから、瑠梨を呼び出した。 9

2017-08-09 01:40:49
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フォビドゥンフォレスト5話「選ばれし者、選ぶべき者」 #17 「秘密の通信」(続き)

2017-08-09 23:52:04
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呼び出して十秒としねぇうちに応答があった。 『……はい、瑠梨です。どうぞ』 「瑠梨…お前今どこに……いやいい。なんだ?」 こっちから連絡しといて何だ?もないもんだが、今回は別だ。瑠梨は会長から予め聞かされてた筈だ。瑠梨が頼んだのか会長が気を利かせたのは知らねぇが。 10

2017-08-10 00:11:05
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『ごめんね。声を聞いておきたくって』 「何だよそりゃ」 瑠梨は通信機の向こうですまなそうに苦笑する。音質がクリア過ぎてまるで隣りにいるかのように感じちまった俺はつい辺りを見回した。当然いねぇ。そんなサプライズの為にこんな森の中で色々手を回す訳もねぇんだ。 11

2017-08-10 00:17:46
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「でもちょうどいいぜ。俺も聞きてぇことがあったんだ…」 『なに?』 「今日の…」 プレゼントの件を聞こうとすると、後ろでガラス戸を叩く音がした。振り向くと戸の向こうの会長が口パクで『順番が逆でしょう?』と訴えてきた。俺に読唇術の心得なんかはねぇんだが、はっきりと分かった。 12

2017-08-10 00:21:26
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…ていうか中に入った意味ねぇじゃねぇか!寒かったからなんすか? 『どうしたの?』 「いや、誕生日おめでとうな、瑠梨」 『うん。ありがとう。それで、聞きたいことって何かな?』 「ああ、プレゼントの話だよ。結局何が欲しい?」 『え?……そっか。ずっと気にしててくれたんだね』 13

2017-08-10 00:23:45
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「ここんとこ慌ただしくて聞く暇が無かったからな…」 会う機会は少しはあったが、人前じゃあこっ恥ずかしくて聞き辛かったからな。……それで今結局聞かれるんならとっとと聞きゃあ良かったぜ。俺は再び会長を振り向くと、自分と会長の顔を交互に指差した。 14

2017-08-10 00:28:35
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ガラス戸に顔を貼り付けていた会長は、気まずそうにゆっくり顔を引き剥がした。外は正直寒い。そんな真似をしてたら顔がくっついちまうし、それ以前に頬を潰した顔は見たくねぇ。…こんな俺達のやり取りなど知らねぇ瑠梨は言葉を続けた。 『でも、その話ならこの前終わったよね?』 「え?」 15

2017-08-10 00:32:30
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『覚えてない?ほら、佐藤のおばあちゃんのお店で』 瑠梨と駄菓子屋に行ったのは、先週か。水曜はすぐ帰ったし月曜のことか?何話したっけな……あ。 「…特大アイス?」 『うん!』 「お前あれマジで言ってたの!?」 真冬に特大アイス。想像するだに寒い。強い風が吹き付けてきた。 16

2017-08-10 00:34:56
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『……うん』 「ええ……」 『ダメ?』 「分かったよ。お前がそれで良いんならな」 『やった!』 「でも悪ぃけど多分次の土曜とかになるぞ」 『いいよいいよ!余裕で待てるよ!何ヶ月でも何年でも』 「…誕生日のを年単位で待とうとすんな」 17

2017-08-10 00:38:51
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瑠梨のアイス狂ぶりには、確証はねぇものの一応説明の付きそうな理屈もある。それを思えば出来るだけ食わせてやりてぇが、調達する身にもなって欲しいぜ。風科は標高が高い。下手な北国よりよっぽど寒いし、実際北海道出身の人も震える程だ。アイスなんて見るだけで凍えそうな思いがする。 18

2017-08-10 00:44:09