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その時、コンコンと再びガラス戸が叩かれる。会長は腕時計を指差している。そろそろか。長話のつもりはなかったから、寝間着の上にコートを直接羽織ってきただけだったで割りと寒い。一回暖まってから行くか。 『もう時間?』 「ああ。聞こえてたか。行く前にもう一ついいか?」 「なぁに?」 19
2017-08-10 00:47:47「お前結局どこにいるんだ?今日の儀式にも来なかったし…森の中なんだよな?」 会長を始め、知ってそうな人がことごとく教えてくれねぇってことは聞かねぇほうがいいのかも知れねぇが、どうしても気になっていた。 『えっと…色々あってね…』 瑠梨は言葉を濁した。 20
2017-08-10 00:50:36コイツは嘘がつけねぇ。宗教的な理由じゃなく、単に性格の問題だ。 「何だ。そこは…暖けぇのか?」 『それも…ごめんね』 今いる場所が暖かいかどうかも言えねぇのか…。まさか鳥姫の巫女を寒空に放置しとく訳もねぇからどっかの屋内には違いねぇんだがな…。一体何だってんだ。 21
2017-08-10 00:53:59「分かった分かった。もう聞かねぇよ。悪かったな。暖かくして寝ろよ」 『……うん。ごめんね。ありがとう』 「どうした?」 瑠梨の声色に陰りを感じた。音質が悪かったら気付かなかったかも知れねぇ程度のほんの少しだ。 『何でも…ないよ』 「…また変な予知でも見えたか?」 22
2017-08-10 00:58:42「分かった分かった。もう聞かねぇよ。悪かったな。暖かくして寝ろよ」 『……うん。ごめんね。ありがとう』 「どうした?」 瑠梨の声色に陰りを感じた。音質が悪かったら気付かなかったかも知れねぇ程度のほんの少しだ。 『何でも…ないよ』 「…また変な予知でも見えたか?」 23
2017-08-10 01:01:27「まぁ、何が来ようが今日は皆集まってるしよ。俺だって博士のお陰で強くなったんだ。神様なんか…神様に頼らねぇでもぶっ飛ばしてやるよ」 『んもぅ……』 瑠梨の声は不機嫌と神秘が半々って所だった。 「悪かったって」 『もういいよ。でも……本当に無茶はしないでね』 「……お前もな」 24
2017-08-10 01:05:20俺は屋内に戻ると会長にトランシーバーを預け、寝室に戻った。既に着替えたり準備をしていたラッタたちを適当に誤魔化して俺も準備をした。 「では、皆さん。くれぐれも宜しくお願いしますね」 玄関まで会長と数名が見送りに出てくれた。会長は魔力はあっても耐魔力がねぇから山小屋で待機だ。 25
2017-08-10 01:08:45「じゃあまた明日!」 「おやすみなさい!」 俺達は手を振り挨拶をして山小屋を経った。俺たち高一組は巡回チームの大人達と共に先行して歩き出した。だから俺達の背後で、桐葉さんと幸川の兄ちゃん、そして藤宮先輩が会長たち山小屋組と目配せをしていたのには気が付かなかった。 26
2017-08-10 01:15:52フォビドゥンフォレスト5話「選ばれし者、選ぶべき者」 #17 「秘密の通信」終わり #18 に続く (次回更新は一週間後の8/16水の予定です)
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