ゴールデンカモイ　＃１２

劉度 @arther456

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（これからSSを投下します。TLに長文が投下されますので、気になる方はリムーブ・ミュートなどお気軽にどうぞ。感想・実況などは #ryudo_ss をお使いいただけると大変ありがたいです。忙しい方はtogetterまとめ版をどうぞ。それでは暫くの間、お付き合い下さい）

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【ゴールデンカモイ】＃１２

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「幼女の悲鳴が聞こえる……！」「いきなりどうした姐さん！」幌筵泊地の南方では、港湾水姫が北方水姫を撤退させようと躍起になっていた。幌筵艦隊は執拗に追いすがり、港湾水姫たちを逃がそうとしない。おまけに北方水姫は訳のわからないことを言いまくっている。1

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「港湾！」「何スか！」「私を投げろ！」「ハァ！？」「私をあの島に向かって投げろ！」北方水姫は占守島を指差した。「バカか！？」「ちゃんと考えている！死中に活あり、という奴だ！」「敵陣のど真ん中に飛び込むんだぞ！」「それだ！本拠地を狙われては、敵も私を追わざるを得ない！」2

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「……え？」ようやく、北方水姫が言わんとしていることがわかった。彼女は囮になって、港湾水姫たちを逃がそうとしているのだ。「で、でもそしたらアンタが……」「安心しろ、逃げるのには慣れている」その逃げる相手が艦娘ではなく深海警察だということを、港湾水姫は知らない。3

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「本当にいいのか？」「構わん、やれ！とうっ！」北方は港湾の手に飛び乗った。港湾はすべての力を右腕に集中させる。それは、太平洋のカイジュウや北極の巨大深海棲艦との縄張り争いの中で編み出した合体技だった。ガングート級という、北国の戦艦だからこそできる、掟破りの必殺技。4

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「方位修正、右3度！」「魔力滑走路フルオープン！」彼女たちが大技を繰り出そうとしていることに気付き、艦娘たちが港湾水姫を攻撃する。だが、小中口径の砲弾では港湾水姫は揺るがない。「準備完了……いくぜ！」「やってちょうだい！」港湾水姫は腕を振りかぶり、そして。5

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「ヴァージンレイザー！」「パラディオオオォォォン！」北方水姫を、投げた！6

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【FGO】深海電脳楽土 SE.RA.PH[終幕]イベントBGMⅠ【Fate/EXTRA CCCxFate/Grand Order スペシャルイベント】 youtu.be/jC8L19Iurng @YouTubeさんから

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矢の如く射出された北方水姫は、占守島へ向け一直線に飛んでいく！だが、その進路上には幌筵艦隊の指揮艦！このままでは衝突する！しかし、ここからがこの必殺技の真骨頂である！「砕氷艦首、展開！」北方水姫の足を覆うように、鋭い槍のような艤装が出現！7

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彼女の基となったガングート級は、流氷の浮かぶバルト海での航海を想定し、氷を砕く艦首形状をしていた。深海棲艦の姫となった今では、その艦首は氷はおろか敵の装甲すら貫く不壊の槍となった。「どけえっ！」北方水姫は指揮艦の船体後部をやすやすと貫通！なおも飛び続ける！8

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みるみるうちに島が近づいてくる。北方水姫はそこで暴れるネオヒグマと、箱の影に隠れて怯える護衛棲姫を見た。助けなければ！「待ってろごーちゃん、ほっぽちゃん！」北方水姫は主砲の反動で進路を微調整しつつ、占守島へ向けて飛んだ。9

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「ゴボーッ！」「アバーッ！」「ゴボーッ！」「アバーッ！」「ゴボーッ！」「アバーッ！」「ゴボーッ！」「アバーッ！」「ゴボーッ！」「アバーッ！」「ゴボーッ！」「アバーッ！」「ゴボーッ！」「アバーッ！」「ゴボーッ！」「アバーッ！」11

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占守島の南海岸は、ツキジすら生ぬるい惨状と化していた。座礁の衝撃で甲板から投げ出されたネオヒグマに、マグロ上陸兵たちが襲いかかったが、ものの５分で半数がネギトロとなった。段差や遮蔽物のない砂浜に降りてから、ネオヒグマはその瞬発力を発揮し始めていた。12

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「貴様ァッ！」潜水棲姫はサイボーグ護衛マグロをロケットランチャーめいて構えた。マグロの全兵装が展開、機銃とロケット弾の嵐がネオヒグマに向け襲いかかる！だが、ネオヒグマは爆風の中をジグザグ走行で駆け抜け、潜水棲姫に突撃！「グワーッ！」潜水棲姫は吹き飛ばされる！13

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追撃しようとしたネオヒグマだが、突如絶叫を上げて立ち上がった。老人が背中に刺さっていた木曽のサーベルを引き抜いたのだ。老人はヒグマの背中を駆け上がり、首筋を斬りつける。毛皮を斬り裂いたが、ヒグマは動きを止めない。「浅いかっ！」ネオヒグマの反撃を、老人は飛び退って逃れる。14

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今度はネオヒグマの胴体に戦車砲が命中した。ボロボロに錆びついてなお、『アメリアの柩』の魔力を受けて動くチハ戦車隊が、次々と砲弾を撃ち込んでいた。更に白骨化した旧日本兵の遺体が、軍刀を振りかぶって突貫する！ネオヒグマはそれを腕の一振りで寄せ付けない！15

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その激戦の最中、提督は那智の手で海から引き上げられていた。「貴様、大丈夫か！？」「なんとか……」ヒグマから少し離れたところに上陸する２人。そこにも銃弾やネギトロは飛んでくる。「危ない、隠れよ」提督は、同じく蔵王から吹き飛んだ『アメリアの柩』の影に隠れようとした。16

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突然、ヒグマが提督を見た。「えっ？」目の前のマグロヤブには目もくれず、武器も持たない提督に向け突進してくる！「アイエエエ！？ナンデ！？」「下がれっ！」那智が立ちふさがるが、止まる気がしない。固く目を瞑った提督の耳に、鋭い破裂音と、熊の咆哮が響いた。17

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「……あれ？」提督は恐る恐る目を開けた。ネオヒグマは体を震わせ、動きを止めていた。その腕には細長い鞭が巻き付いており、いつの間にか提督たちの後ろに現れた、隻眼の白人がそれを握っていた。「やれやれ。指輪を真っ先に守ろうとするとは、熊がファフニールの真似事かね？」18

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熊は鞭を引きちぎり、怒りに燃えた瞳で白人を睨みつける。「下がっていなさい、フラウ」一方、白人は提督の前に出る。その肌がゾワゾワと蠢き、硬い灰色の毛が生える。金髪の偉丈夫は、一瞬にして人狼へと変化した。人狼は空高く跳躍し、ネオヒグマへ爪を振り下ろす！19

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「ナチだ！」那智が言った。「はい？」「ナチだ！」「なんで自己紹介！？」「Naziだ。ナチスと言ったほうがわかるだろう」補足したのは海から上がってきたグラーフだった。隼鷹と北方棲姫、護衛棲姫も連れている。「あの人狼が着ているのは、親衛隊の制服だ。教科書で見たから知っている」20

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「ナチスって百年前の話だよね……コスプレ？」「わからん。忌々しいが、この状況で問い質す訳にもいくまい」深海棲艦、マグロ、老剣士、戦車隊、ナチスの人狼。これだけの戦力を相手してもなお、金色の魔獣の暴威は衰えることを知らない。21