意識は観察が上手だが心と身体の制御はヘタクソ

意識が、自分のもたらした観察情報をもとに心身を支配しようとすることが、悩みの原因なのかもしれない。
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shinshinohara @ShinShinohara

「総ざらい」をするなかで発見できたこと。「意識」が頑張るとろくでもない、ということ。悩みの大半は、意識しすぎるのが原因。他人から見れば大したことがないのに、気になり出すとそればかりに意識がフォーカスして、視野狭窄に陥り、「もう私はダメだ」という悪循環に陥る。

2017-08-19 00:46:07
shinshinohara @ShinShinohara

第三者からは「もうちょっとこういう考え方をしたらいいよ」とか思うし、アドバイスもするのだが。「そんなこと分かってる。でもできないんだ。気安く言わないでくれ」と反抗されるので、口の出しようがなかったりする。そして、悩んでいることをじっと見続ける。魅入られた状態。

2017-08-19 00:48:37
shinshinohara @ShinShinohara

PTSDに対し非常に効果を示す治療法がある。なんと、左右に動く光を目で追いかけるというもの。ただそれだけで、多くの人が過去の辛い出来事を思い出しても、パニックを起こさずにいられるようになるのだという。なぜだろうか?恐らく、「目先」を変えられるからだ。

2017-08-19 00:51:09
shinshinohara @ShinShinohara

人間の意識は「観察」が得意らしい。観察したものからたくさんの情報を取得するのが得意。だからたとえば、それまでは「路傍の石」のごとく、道端で目にしていても気にも留めないものだったのが、「石英の透明なのは水晶って言うんだって」と意識できたら、やたら石英を見つける感度が高くなる。

2017-08-19 00:54:22
shinshinohara @ShinShinohara

意識したものに敏感に反応するようになる代わり、この長所は欠点にもなる。悩み事に意識がフォーカスすると「あのときああしていれば」と、考えても仕方のないと分かっていても考えずにいられなくなる。意識したものは観察せずにいられず、そこから情報を取得せずにいられなくなるのだ。

2017-08-19 00:56:32
shinshinohara @ShinShinohara

すると「あのときああしていれば」「でもあのときはあれ以上のことはできなかった」「これ以上何をすればよかったって言うんだよ!」「そもそもあいつがあのときこうしてなければ」という、何度も何度も考えてきた堂々巡りの思考がグルグル回りだす。こうして悩みを眺めて悩みに「魅入られ」てしまう。

2017-08-19 00:59:29
shinshinohara @ShinShinohara

PTSDは、過去の出来事を思い出すと、そこに意識が集中し、意識はその出来事を「観察」し始め、様々な情報を抽出し始める。「あのときああしてれば」「あの人がこうしてくれたら」考えても仕方のないことを。そして自責の念に囚われ、でもどうしようもなかったという叫びをあげて、パニックになる。

2017-08-19 01:02:15
shinshinohara @ShinShinohara

ところが左右に動く光を目で追いかけると、過去の出来事、悩み事に目を奪われていることができなくなり、目で追っている光に意識の能力を大きく奪われる。「悩みに囚われている暇がない」ことになるのだ。悩みを見つめて、自責の念と苦しみを再生する脳内サーキットを走ることができなくなるのだ。

2017-08-19 01:05:00
shinshinohara @ShinShinohara

人間は、同じことを繰り返すと脳内の神経回路が強化され、関連するきっかけがあるとすぐにその神経回路が働きだし、強い信号を伝えるようになるのだという。PTSDも恐らくは「脳内サーキット」が形成されるのだろう。「あのときああしてれば」という後悔、自責を繰り返す脳内サーキットが。

2017-08-19 01:07:21
shinshinohara @ShinShinohara

ところが「左右に動く光を目で追いかける」という、至極単純な治療をすると、脳内サーキットが次第に走らなくなる。過去の辛い出来事に意識がフォーカスしきれなくなり、目で光を追うのに必死になるからだ。目先を変えられたことで、悩みばかり見つめることができなくなるのだ。

2017-08-19 01:09:19
shinshinohara @ShinShinohara

どうやら意識というのは、「観察」という機能にひどく特化したものであるらしい。意識したことへの観察力はものすごくよくなる(嫌いなピーマンをハンバーグから見つけるとか)のだが、逆に言えば「悩み」を意識すると、考えても解決しないのに悩み事から様々なネガティブデータを観察から抽出する。

2017-08-19 01:12:33
shinshinohara @ShinShinohara

意識は、観察に関してはとても優れているが、心や体を制御するのはひどく苦手。テニスでバックハンドが上手になったね、とほめた途端、フォームを意識するようになって動きがぎこちなくなり、全くうまく打てなくなる。意識してしまうと視野狭窄になり、思考もぎこちなくなってしまう。

2017-08-19 01:15:13
shinshinohara @ShinShinohara

そこで「インナーゲーム」の著者は、すっかりボールをうまく打ち返せなくなった生徒に「ボールの縫い目をスローモーションを見るような気分で見つめてごらん」とアドバイスした。すると、再びバックハンドがうまく打てるようになるのだという。

2017-08-19 01:17:41
shinshinohara @ShinShinohara

意識は、意識したものを観察してしまうという特性がある。「バックハンドが上手だね」と言われた途端、「自分はどういうフォームをしているんだろう?」ということが気になる。すると自分のフォームを観察してしまい、その結果、意識が身体の動きを支配してしまい、動きがぎこちなくなるのだ。

2017-08-19 01:20:00
shinshinohara @ShinShinohara

ところが「ボールの縫い目を見て」と言われると、意識はボールを観察することに精力を費やすようになる。すると、身体が今どうしているかということは意識できなくなり、身体を制御する権限が無意識にバトンタッチされる。すると無意識は、心と身体のコントロールが上手なのでよろしくやってくれる。

2017-08-19 01:22:18
shinshinohara @ShinShinohara

悩み事を考え始めるとグルグルと同じことを考えて、自分を責めたりでもどうしようもなかったしとかあいつがいけないんだとか、同じことを繰り返し考える負のループに入る。この信号が強化され、「脳内サーキット」が出来上がってしまうのが、PTSDの正体なのだろう。

2017-08-19 01:24:23
shinshinohara @ShinShinohara

PTSDが陥る「脳内サーキット」は、恐らくサイトカインストームと似ている。本来外敵から身を守るはずの免疫機能が暴走し、免疫が免疫を刺激して収拾がつかなくなる現象だ。PTSDは、「意識したことをじっと見てしまう」という意識の備える観察力が、悪い循環を促進する力になってしまうのだ。

2017-08-19 01:28:10
shinshinohara @ShinShinohara

そこで、目先を変える「左右に動く光を目で追いかける」をすると、意識がそちらに観察機能を発揮してしまい、悩みを観察せずに済むわけだ。悩みに囚われてしまい、視野狭窄になるのを防ぐというのは、なんと画期的なアイディアではないか。

2017-08-19 01:30:02
shinshinohara @ShinShinohara

そういえば、息子が泣き出すとなかなか泣き止まなくてどうしたらいいのだろうと思っていたら、育児支援室の先生から「別室に移動するといいよ」と教えられた。そんなアホな、と思ってやってみたら、本当だった。別室に移動しただけで大概泣き止んだ。

2017-08-19 01:31:42
shinshinohara @ShinShinohara

これは、転んで痛い時、意識は「痛い」を観察してしまい、「痛い情報」ばかりを収集して脳に送り込むため、「痛い」以外は考えられなくなり、ずっと泣かずにいられなくなるのに対し、別室に移動すると景色が変わり、新しい状況を把握しようと景色を観察し出す結果、「痛い」を見ていられなくなるのだ。

2017-08-19 01:34:14
shinshinohara @ShinShinohara

こう考えていくと、意識というのは、観察以外には能がないものであるらしい。観察に関しては素晴らしい能力を発揮するが、心と体を動かすことはとても下手。心と体の制御は、無意識に任せるのが一番よいようだ。

2017-08-19 01:35:56
shinshinohara @ShinShinohara

ところが意識が一ヶ所に固着すると、同じ情報ばかり脳内にアップする。そして「こんなに情報をあげているのにちゃんと対応しろ!もういい、心と体を貸せ!」とばかり、意識が心と体の制御権を無意識から奪ってしまう。ところがヘタクソだから心も体も動きがぎこちなくなる。

2017-08-19 01:38:24
shinshinohara @ShinShinohara

意識は観察に特化し、心と身体の制御は無意識に任せた方がよい。けれど意識がひとつの対象に固着し、同じものばかり見つめるようになると、しばしば意識は、心と身体の支配権を無意識から奪い、すべてをコントロールしようとする。悩むメカニズムも、恐らくこれだ。

2017-08-19 01:40:44
shinshinohara @ShinShinohara

ならば悩みを解決する方法は、「目先を変える」ことだ。悩んでいることでも同じ角度から見ず、常に新しい角度から観察することを心がける。すると新しい観察情報が入手され、無意識が引っ張り出す記憶や知識も別のものになる。PTSDの脳内サーキットが駆動せずにすむようになる。

2017-08-19 01:42:53
shinshinohara @ShinShinohara

もしあなたが悩んでいるなら、悩みを解決しようとせずに、目先を変えてみよう。すると、別の角度から別の情報を入手する。無意識は新しい情報を自動整理して、別の見解を提出してくれる。目先を変えるだけで、無意識はよろしく別の見解を提示してくれるのだ。

2017-08-19 01:44:47