Fake＆Gimmick

よつげ @Eight_os

２６ 「大事なこと？」 聞き返した私に大倉さんは、返事はしない代わり私の手からペンを奪い取って、『・互いの生活には…』の下に付け加えた。 『・大倉と峰村は同居人である。 そのことを理解し、お互いが同居人としての節度を守ること。』 #エイトで妄想

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２７ 「…ん、これでええんちゃう？」 「ですね。とりあえずどこかに貼っておきます？」 「琴葉ちゃんの部屋でええよ」 「いやいや、共同スペースでなきゃ意味無いですから！」 こうして決まったルール。 最後の１文が後に私たちを苦しめることになるとは つゆ知らず。 #エイトで妄想

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２８ さて、こうして大倉さんとの共同生活？が始まったのですが。 一向にウザさは慣れません← まず起床。 洗面所に行こうとしたら既に顔を洗っている大倉さんに遭遇。 「あ、おはようございます」 「ん…寝癖ヤバいで笑」 んなあああああ 挨拶くらいちゃんとしろ！ #エイトで妄想

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２９ そのまま手を伸ばされて髪の毛をちょいちょいと撫でられる。 一瞬いい気になる、けど、 よく考えたらこいつはあのクソうざい… …触んな女ったらし！！ 「ん、やっぱ直らんわ 自分で頑張って直して笑」 だったら余計に触るなぁぁぁ！！！！ #エイトで妄想

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３０ …とはいえ彼が作るごはんは普通に美味しい。 しかし。 「おいひいです」 と食べながら素直に感想を述べてやっても 「あっそ」 …うっす！塩か！！ もうやだ、褒めてやんない。 とは思いつつも新メニューが出るたび美味しいのでついまた褒めてしまう。 #エイトで妄想

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３１ そして、たまに 「あ、」 向かいに座ってる私に急に手を伸ばしてきて、 「！？」 口の端を長く細い人差し指でスッと撫で、 そこについたソースやらご飯粒やらをそのままパクっと食べて。 「ついてた。 まだまだ子どもやなぁ笑」 …うるさい…余計なお世話だ！ #エイトで妄想

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３２ だからいつもご飯は早めに食べ終える。 「ごちそうさまでした！」 やけになったように毎回そう叫んでから食器を片付ける。 ま、毎回完食はしてるけどね。作ってもらってるんだし。 そんな私を大倉さんは笑って見てるのが常。 たまに食器洗いを押し付けてくる。 #エイトで妄想

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３３ 「いい加減食器押し付けるのやめてください！自分のものくらい自分でやって！」 「そんなオカンみたいなこと言わんとってや〜笑」 こっちが怒ってるのも気にせずヘラヘラと… そんなやり取りをしながらお互い仕事なのでほぼ同時に家を出る。 #エイトで妄想

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３４ 唯一この生活にメリットがあるとすれば前述のように美味しいご飯にありつけることと、 会社までの距離が近くなったことだろう。 仕事を終えて帰り、「ただいまー」とドアを開けると、既に大倉さんは仕事を終えているようで、 「おかえりー」 とキッチンから顔を出す。 #エイトで妄想

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３５ …ちゃんと仕事してんのかよこいつ。 とか思いながらも美味しいご飯の匂いが私を呼ぶので自然と足は大倉さんのいるキッチン、というか食卓の方へ。 そのままご飯を食べてお風呂に入る。 だいたい大倉さんが先。 （食べ終わるのが早いから） #エイトで妄想

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３６ たまに大倉さんは寝巻き代わりのスウェットを持っていくのを忘れる。 「あーまた忘れてる…」 きっと私が来る前は裸でそのへんを歩き回るような自堕落な生活をしていたのだろう← 面倒臭いと思いつつも世話を焼いてしまう私も私だ。 #エイトで妄想

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３７ 「大倉さーん、スウェット…」 と声をかけてお風呂に繋がる洗面所のドアを開けると、大抵はまだ大倉さんはお風呂の中なのだが、 その日は運悪く、まさかのパン１の大倉さんと遭遇してしまった。 「ぎゃああああああばかあああああ！！！」 #エイトで妄想

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３８ 顔が赤くなるのを見られないように逃げ出して、思い出したように一旦洗面所に戻って中を見ないようにスウェットを放り投げる。 そして素早くダッシュ。 濡れてなかったからまだお風呂入る前だったのか、持ってくの早すぎたな。 #エイトで妄想

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３９ 「…ふっ」 私は知る由もなかった。 その後ろで残された大倉さんが笑っていたことも。 「自分で開けたくせに…笑」 「ほんまよーわからんやつ笑」 私が走り去った、その後ろ姿を見送った大倉さんが何を思っていたのかも。 #エイトで妄想 pic.twitter.com/SwNU5iPJD0

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４０ その頃私は 「うあああああ…！！！」 自責の念に駆られていた。← いくら何でも家主に向かってばかはまずかった、かもしれない。（かもしれないとつく辺りに若干の苦手意識） それにしても… 今までこんなこと無かったのに… 何か悪い予兆とか？ #エイトで妄想

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４１ …んなわけないか。 そう思い直して私は、とりあえず今日の失態は寝て忘れることにしよう、ということで風呂後早々に布団に潜った。 明日も無事に過ごせますように。 …でも、『大倉さんパン１事件』は、ほんとに悪い予兆の意味を持つことになる。 #エイトで妄想

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４２ 翌日。会社にて。 「吸収合併！？」 どうやら私の会社が別の会社に買収？されるんだそうだ。（そこらへんの事情は説明は聞き流してたのでよくわからない） まあこの会社は支社？みたいなのとして残るらしく、少なくとも私は異動はないらしい。 #エイトで妄想

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４３ …のだが。 …なぜ。 なぜ、こいつがここにいるうううう！？ 「新社長の大倉忠義です。 これから新しい仲間も含めて団結して、会社をよりいっそう盛り上げていけたらと思います」 なんで！ もう１個の会社の社長が！ こいつなんだよおおおおお！！！（泣） #エイトで妄想

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４４ え？ でも一社員と社長なんて絡む機会ないんじゃないかって？（聞いてない） はいそうですね、普通はね！ だけどそれからすぐのことだったんです。 『私と社長が同棲している』という噂が流れたのは！ 流したのはもちろん… #エイトで妄想

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４５ 「同棲してるとは一言も言ってへんよ？俺はちゃんと同居って言ってん。それをいいように解釈したんは他の奴らやろ？」 大倉ぁぁぁぁぁぁぁ！！！！！ 「責任転嫁しないでください！ってかなんで同居のこと言うんですか！？普通内緒にするもんでしょこういうのって、」 #エイトで妄想

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４６ 「そんな内緒にすることなん？」 「はぁ！？」 「後からバレた方がよっぽど騒ぎになるやんか。それなら最初っから言っておいた方が安全とちゃうん？」 …何も言えねぇ（泣） 「そんなに嫌ならルールに書いときゃ良かったやん」 …ごもっとも。 …いや、でも！！ #エイトで妄想

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４７ 「まさか言うとは思わなかったんですよ！！プライバシーってもんがあるじゃないですかプライバシーってもんが！！」 そう反論すると大倉さんは… 「でもなぁ…仕事上言っといた方がメリットはあるで？」

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４８ はあぁ！？ 「どこが！？」 と、若干キレ気味に尋ねる私に、大倉さんは言った。 「俺社長職やから、それなりに会社代表として出張も多いねん。 そしたらお前連れてかなあかんくなるやん？」 「なんで！」 「ほっといたらお前外食かコンビニ飯やろ」 …図星 #エイトで妄想

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４９ 「そういう風にするんやったら、会社にもオープンの方がええと思うねん？な？」 なんか… うまく丸め込まれた気分。 でもまあいっか。 ん、でも、出張… 一緒に… え？ それは… 私、大丈夫なんでしょうか笑 生きて帰れるかな（泣） #エイトで妄想 pic.twitter.com/i7CbHpB4HR

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５０ それから１週間… 朝起きたら、喉がカッスカス← 身体も重くて。 日頃の疲れかな、最近色々あったし… でも、私は常に他人と過ごしているんだから、迷惑かけるわけにはいかない。 家でも会社でも。 「おはようございます」 「おは…大丈夫？」 「え？」 #エイトで妄想