近くて遠くてでも近い

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ぺちか @pechika_udon

176 「...来てくれてありがとう」 美香ちゃんに話したおかげで少し気持ちが落ち着いた。 「茜、辛いかもしれないけど...ちゃんと大倉くんに気持ち伝えようよ」 「...え?」 「このままじゃよくない。茜だってそう思うでしょ?」 #近くて遠くてでも近い

2017-09-14 16:57:07
ぺちか @pechika_udon

177 「...でも...」 「まだはっきりと振られたわけじゃないでしょ?だったら...」 「無理だよ!忠義は私のことなんて...!」 そうだ。忠義は私のことなんて幼馴染みとしか見ていない。 告白なんかして、はっきりそう言われるのはまだ辛い。 #近くて遠くてでも近い

2017-09-14 16:57:12
ぺちか @pechika_udon

178 「...茜。怖いのはわかるけど、今のままじゃ前にも進めないよ」 美香ちゃんは私の手を握る。 頭ではわかってる。 今のままでいいわけがないってこと。 「大丈夫」 「美香ちゃん...」 「何の役にも立たないけど、私もいるから」 #近くて遠くてでも近い

2017-09-14 16:57:17
ぺちか @pechika_udon

179 「とりあえず、何か食べてゆっくり寝るんだよ!明日待ってるからね?」 「ん。ありがとう」 「じゃあね」 美香ちゃんを見送って、ずるずるとその場に座り込む。 ...今更、忠義に告白なんてできるのかな。 あのときの忠義の冷たい目を思い出す。 #近くて遠くてでも近い

2017-09-14 16:57:23
ぺちか @pechika_udon

180 怖い。怖いけど...。 ここまで来たら、言っても言わなくても一緒なんじゃないか、て思えてくる。 どうせ幼馴染みにしか思われてないんだ。きっぱり振られたら、私の気持ちも整理できるのかもしれない。 「...よし」 ぐ、と両手を握って決心する。 #近くて遠くてでも近い

2017-09-14 16:57:30
ぺちか @pechika_udon

181 次の日、勇気を出して忠義にLINEを送る。 『授業終わったら駅前のカフェに来て』 しばらくすると既読の表示と『わかった』という返事。 ...これでもう後戻りはできない。 振られても今まで通りに、ていうのは難しいだろうな。 それも仕方ない。 #近くて遠くてでも近い

2017-09-14 16:57:35
ぺちか @pechika_udon

182 「美香、お前またお節介したやろ」 「えへ♡」 はぁ、と溜息を吐く亮ちゃん。 ...だって仕方ないじゃん。 「放っておけないんだもん」 「...まぁな」 「茜、大丈夫かな」 「大倉も素直になればええのに」 「同感」 2人で笑い合う。 #近くて遠くてでも近い pic.twitter.com/UABuc2S2ez

2017-09-14 16:57:42
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ぺちか @pechika_udon

183 駅前のカフェで忠義が来るのを待つ。 忠義が私のことを幼馴染みとしか思ってなかったら、もうすっぱりと諦めよう。 ...そんなことができる自信なんかないけど。 少しして、スマホが鳴った。 それは忠義からのLINEで。 『今授業終わった』 #近くて遠くてでも近い

2017-09-19 16:41:00
ぺちか @pechika_udon

184 もうすぐ忠義が来る。 緊張する。 帰りたい。 ...でも、逃げない。 決めたんだから。 またスマホが鳴る。 今度は美香ちゃんからで。 『がんばれ!』 たった一言だけど、嬉しい。 ...よし! 大きく深呼吸して、忠義が来るのを待つ。 #近くて遠くてでも近い

2017-09-19 16:41:07
ぺちか @pechika_udon

185 「茜」 少し待つと、忠義がやって来た。 「...久しぶり」 「おん」 「ごめんね。急に呼び出して」 「や、大丈夫」 ...やっぱり少し気まずい。 何を言ったらいいのかわからなくて、からからと氷をかき混ぜる。 #近くて遠くてでも近い

2017-09-19 16:41:14
ぺちか @pechika_udon

186 「...この前はごめん」 「え...」 「ごめん」 急にそんなことを言われて、頭がついていかない。 何で忠義は謝ってるの? きょとんとしている私を見て、忠義は少し困ったような顔をして笑った。 「言い過ぎた。ちょっとイラついててん」 #近くて遠くてでも近い

2017-09-19 16:41:21
ぺちか @pechika_udon

187 「ううん。私の方こそごめん」 「何で茜が謝んねん。悪いんは俺やろ」 「...あ、そっか」 へへ、と笑うと忠義も笑った。 なんか、ほんの少し前までは当たり前だったことなのに、すごく嬉しい。 ...やっぱり忠義が好きだ。 #近くて遠くてでも近い

2017-09-19 16:41:27
ぺちか @pechika_udon

188 「で?何か話あったんちゃうの?」 「あ...うん」 ...どうしよう。 さすがにいきなり告白するなんてできないよ! 「えっと...この前の話なんだけど...」 「この前?」 「あの、私の好きな人...がどう、とか...」 「あ...」 #近くて遠くてでも近い

2017-09-19 16:41:32
ぺちか @pechika_udon

189 『できない』じゃなくて『する』んだ。 「私の、好きな人は...」 テーブルの下でぎゅっと手を握り締める。 怖いけど、もう後には戻れない。 「...私が好きなのは...」 ...伝えるんだ。 忠義が好きだって。 #近くて遠くてでも近い

2017-09-19 16:41:39
ぺちか @pechika_udon

190 正面から忠義の目を見つめる。 「忠義が好き」 私の言葉に忠義は目を大きく見開いた。 「...え?」 「私が好きなのは、忠義だから」 ごめんね?と笑うしかなかった。 「急に言われても困るよね。でもこれ以上は苦しいだけだから」 #近くて遠くてでも近い

2017-09-19 16:41:45
ぺちか @pechika_udon

191 ...言っちゃった。 でも思ってたよりすっきりしてる。 もう、いいや。 「ごめんね?」 「...何で謝んの?」 「え?」 「やから、何で謝んのって」 「だって...」 忠義にしたら迷惑でしょ? ただの幼馴染みに好きだって言われて。 #近くて遠くてでも近い

2017-09-19 16:41:51
ぺちか @pechika_udon

192 「...俺もずっと考えててん」 忠義は一度私から視線を外して、呟くように言った。 「何であない腹が立ったんか、て。茜に好きな奴がおったって幼馴染みの俺には関係ないのに、て...」 「忠義...?」 「俺、わかってん。何で腹が立ったんか」 #近くて遠くてでも近い

2017-09-19 16:41:58
ぺちか @pechika_udon

193 ...ちょっと待って。 何が言いたいの? 「俺...茜のことが好きや」 頭が真っ白になる。 ...え?何? どういうこと? 忠義が私のこと好き、て...。 好きって言った...? 忠義が? 私を? ぽろり、と涙が零れる。 #近くて遠くてでも近い

2017-09-19 16:42:04
ぺちか @pechika_udon

194 「え、ちょ...何で泣くん!?」 「だってぇ...!」 「泣くなやぁ」 忠義は笑いながら、私の頭をぐしゃぐしゃと掻き混ぜた。 だって!泣くなとか無理! てゆーか、泣かせてんの忠義じゃん! 「忠義のばかぁ...!」 「誰がや!」 #近くて遠くてでも近い

2017-09-19 16:42:10
ぺちか @pechika_udon

195 「とゆーことで、ご迷惑をおかけしました」 一応、昨日美香ちゃんには電話で伝えたけど、改めて亮ちゃんもいるところでご報告。 「ほんっま迷惑だらけやわ」 「ごめんてぇ、亮ちゃん」 「でもよかったね、茜」 「ありがと、美香ちゃん」 #近くて遠くてでも近い

2017-09-19 16:42:15
ぺちか @pechika_udon

196 「ほんま、よかったわぁ」 「いや、何でお前がおんねん」 いつの間にか当たり前のように一緒にいる丸山くん。 忠義も口ではそんなふうに言いながらも、楽しそうに笑ってる。 「ふふっ」 「何笑うてんねん」 「ん?楽しいなぁって思って」 #近くて遠くてでも近い

2017-09-19 16:42:20
ぺちか @pechika_udon

197 私と忠義は幼馴染み。 その距離は近いけど遠かった。 隣に立ちたい、なんて私の我侭だと思ってた。 側にいられるだけでいいと思ってた。 でもそうじゃなかった。 #近くて遠くてでも近い

2017-09-19 16:42:37
ぺちか @pechika_udon

198 幼馴染みから恋人に変化した私たちの関係。 近くなるのか、遠くなるのか。 それはまだわからないけど、忠義と一緒なら何とかなるはず。 近くて遠くて、でも近い。 そんな私と忠義の関係。 【end】 #近くて遠くてでも近い pic.twitter.com/AF7XzFs15q

2017-09-19 16:42:58
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