示唆に富むトムソーヤ
- ShinShinohara
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拙著「自分の頭で考えて動く部下の育て方」でも指摘したが、トムソーヤのエピソードは、とても示唆に富む。仕事と勉強はできればやりたくない楽しくないものだと思われ勝ちだが、実はどちらも結構楽しめるのだ。 amazon.co.jp/%E8%87%AA%E5%8…
2017-09-23 21:14:22トムは伯母さんに壁のペンキ塗りを命じられる。一計を案じたトムは、いかにも楽しそうに集中してペンキ塗りを始める。通りかかった友人が「用事を言いつけられたのか」とからかうと「好きでやってるんだよ。これが奥深くてね」とろくに相手にせずにトムはペンキ塗りを続けた。ここから様子が変わる。
2017-09-23 21:17:24「ちょっと俺にもやらせてくれよ」トムは「ダメダメ、これにはコツがあるんだから」と断る。しばらく押し問答するうちに「このリンゴをやるから」と言われて渋々、友人にペンキ塗りを許した。「きれいに塗るコツはね」と偉そうに講釈しながら。友人は言われた通りにペンキを塗ってみせようと必死。
2017-09-23 21:20:31そのうち、ペンキ塗りをしたくて行列ができた。みな、ペンキ塗りをさせてもらうためにトムにプレゼントを持参して。トムは「そこのコツはね」と偉そうに講釈を垂れながら、まんまとプレゼントをせしめた。
2017-09-23 21:22:06このトムのエピソードは、とても示唆に富む。この話はトムにまんまと騙された話だとも言えるが、私たちは実は勉強も仕事も大好きな生き物なのだということを物語るエピソードでもあるからだ。
2017-09-23 21:24:52トムは伯母さんからの言いつけなので「やらされ感」が強い。こういう場合、やりたくない。つまらない。しかしトムは友人たちに「ペンキ塗りがいかに奥深いか、コツをつかむのが難しいか」という、「挑戦すべき課題」として見せたとき、友人たちはこぞってやりたくなった。
2017-09-23 21:26:46仕事だって勉強だってそうなのだ。「やらされ感」があるとやりたくないが、「挑戦しがいのある課題」だとのめり込んでしまう。やめられない。やめろと言われてもやりたくなる。それは仕事でも勉強でもそうなのだ。
2017-09-23 21:28:38報酬を与えて仕事をさせようという人がいる。報酬を約束することで勉強させようとする人がいる。しかし報酬を約束すれば、暗に次のメッセージを伝えることになる。「報酬でもなければこんなことやってられるか、と思えるような苦行に従事してもらいます。」これではやる気が向上するはずがない。
2017-09-23 21:30:50トムを見てみればいい。報酬を与えるどころか、プレゼントをせしめているではないか。「挑戦しがいのある課題」だと感じたら、報酬なんかなくてもそれにのめり込めること自体が楽しくてならないのだ。もちろんその上に報酬があれば言うことないが、報酬がほしいから頑張るのではない。
2017-09-23 21:32:59誰かに「やれ」と言われて「やらされ感」が出てしまった仕事は、言われたこと以上をしたくない。しかし誰からも「やれ」といわれていないのに自ら「挑戦しがいのある課題」と感じて取り組んだものは、様々な工夫をする。言われてもいないことを自主的にする。しかもできるだけ丁寧に。
2017-09-23 21:35:15仕事そのものが報酬であり、勉強することそのものが報酬。そんな風になれば、人は勝手に働きだす。勉強する。しかもますますのめり込む。「おい、無理するな」とブレーキをかけなければいけないくらい。 トムのエピソードは、指導者にとって示唆に富むものなのだ。
2017-09-23 21:37:19