Y Tambe氏による水道水中のヨウ素の挙動関連まとめ

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Y Tambe @y_tambe

今、家庭にある可能性がある中で、除去が有効な「可能性がある」ものは「逆浸透膜を使った浄水器」。ただし、これは「正常に機能している」のが前提。ここがクセモノで…そもそもこの手の家庭用浄水器を扱ってるところの多くが「ニセ医学的」主張を行ってるという状況で、どこまで信用できるかという。

2011-03-24 11:15:08
Y Tambe @y_tambe

もちろん研究室になら普通にあります。「浄水器ではあんまり」見ない。 RT @blackcat009 市販かどうかはわかりませんが、研究室で純水を作るのに普通に使われてますよ。RT y_tambe: 陰イオン交換樹脂は浄水器ではあんまり見ない。

2011-03-24 11:17:26
Y Tambe @y_tambe

カルキも消石灰(水酸化カルシウム)に塩素を吸収させたもの(水酸化カルシウムと次亜塩素酸カルシウム等の混合物)なので、一応「次亜塩素酸系の消毒剤」ではある。ただし飲み水には今はあまり使わない。上水道では塩素ガス(か二酸化塩素)消毒。@kikumaco @samakitakeo

2011-03-24 11:33:56
Y Tambe @y_tambe

まぁ高齢の方々にとっては「カルキ臭い」とか「カルキが抜ける」というのが、「俗語として」存在するのは確かなので。化学的文脈では厳密には誤りだけど「俗語としての用法」「広義の用法」としてはOKではないかと…いわば「放射能」と同程度の誤用。@kikumaco @samakitakeo

2011-03-24 11:38:26
東大病院放射線治療チーム @team_nakagawa

ある方にお願いして、煮沸によるヨウ素の濃度変化を検証する実験を、水道水中に含まれるI-131を対象に行いました。その結果、水道水を煮沸すればするほど水蒸気だけが飛んで、I-131が濃縮されました。もし、煮沸しようとされている方がいれば、直ちにやめるようお伝え願います。

2011-03-24 11:50:18
Y Tambe @y_tambe

毒劇物保管庫から、ヨウ素の入った試薬瓶を取り出す。中蓋、外蓋を閉めて、さらに外蓋の周りをビニールテープで巻いてある。外蓋とガラスびんの隙間にそって、ビニールテープが褐色に染まってる。ヨウ素の昇華を実感する。

2011-03-25 09:27:37
Y Tambe @y_tambe

いくら「昇華する」つっても、ヨウ素は常温ではやっぱり固体が主。昇華したヨウ素(気体)は、他の物体の表面に触れると再び、固体に戻って、表面に吸着する。

2011-03-25 09:40:19
Y Tambe @y_tambe

原発から、どのような状態で飛び出してるかは知らないが、ヨウ素(気体)なら、気温の低い上空で、空気中のチリに吸着して浮遊し、それが、雨と一緒に落ちてくるだろう。

2011-03-25 09:50:13
Y Tambe @y_tambe

ヨウ素(固体)は、元々あまり水には溶けない(Merck Indexによると25℃で0.0013 mol/lなので、最大で0.0165%ほど)。塵に吸着されたヨウ素が塵ごと浄水槽に入った場合、濾過層などに引っかかり、そこで除かれたまま半減期を迎えるだろう。

2011-03-25 09:57:57
Y Tambe @y_tambe

ただしヨウ素の一部は水に溶け出す。このとき、ヨウ素のほとんどはイオンの形になる。元素周期表でいうところのハロゲン族にあたるヨウ素は、さまざまな電荷を取りうるため、水中でも多くの種類のイオンになる可能性を秘めている。

2011-03-25 10:01:09
Y Tambe @y_tambe

ただし「多くの種類のイオンになる可能性を秘めている」とは言っても、そのすべてが、安定に存在するわけではない。不安定な状態のイオンは、すぐに別の、より安定な状態に変わる。結局、水の中ではヨウ化物イオン(I -)とヨウ素酸イオン(IO3 -)という、二つの安定な状態のどちらかになる。

2011-03-25 10:04:02
Y Tambe @y_tambe

雨水や河川水では、ヨウ化物イオン(I -)の方がヨウ素酸イオン(IO3 -)よりも安定らしく、[I -]の状態で存在するヨウ素原子の方が、後者よりも2〜5倍ほど多いらしい。これが水道水では事情が異なる。

2011-03-25 10:07:44
Y Tambe @y_tambe

水道水では、加えられる消毒用塩素の働きでヨウ化物イオン(I -)が酸化されて、ヨウ素酸イオン(IO3 -)に変わりやすい。このため、水道水では後者が、前者の20倍くらいになっているそうだ。

2011-03-25 10:08:57
Y Tambe @y_tambe

ヨウ素(I2, I)と塩素(Cl2)は、どちらも同じハロゲン族であり、その性質は割と似ている。ヨウ化物イオン(I -)や塩化物イオン(Cl -)の形ではかなり安定で、単体の状態(I2やCl2)や、次亜ヨウ素酸イオン(IO -)、次亜塩素酸イオン(ClO -)は強い酸化作用を持つ。

2011-03-25 10:12:07
Y Tambe @y_tambe

亜ヨウ素酸イオン(IO3 -)や亜塩素酸イオン(ClO3 -)も、安定で強い酸化作用を持つが、この酸化作用は強い酸性溶液中でないとうまく働かないらしい。

2011-03-25 10:14:28
Y Tambe @y_tambe

ヨウ素と塩素は確かに性質が似ている。しかし違う部分もある。(1) 塩素は水に比較的溶けやすい(ヨウ素が0.0013mol/lに対し、塩素はCl2, HClO, Cl-の形で合計0.092mol/l 溶ける)。

2011-03-25 10:19:41
Y Tambe @y_tambe

ヨウ素と塩素の違い:(2) 次亜ヨウ素酸(HIO、またはイオンとして IO -)は水中では非常に不安定だが、次亜塩素酸(HClO, ClO -)は、それに比べれば安定している(ただし次亜塩素酸も時間がたつと徐々に別の分子種に変わっていく…これがハイターの効き目が徐々に薄れる理由)

2011-03-25 10:23:04
Y Tambe @y_tambe

つまり、それぞれが水に溶けると…【ヨウ素】ヨウ化物イオン(I -)とヨウ素酸イオン(IO3 -)、【塩素】塩化物イオン(Cl -)、塩素酸イオン(ClO3 -)、次亜塩素酸 (HClO,またはClO -)、塩素(Cl2)

2011-03-25 10:26:00
Y Tambe @y_tambe

この「次亜塩素酸や塩素」の状態で水に溶けている部分の違いが、おそらく「煮沸や活性炭で除去できる」という性質に繋がってるはず…逆に言えば、ヨウ素の場合は元々「次亜ヨウ素酸やヨウ素」の状態では*ほとんど*存在してないのだから、煮沸や活性炭による除去効果は低いのではないかと考えられる。

2011-03-25 10:31:32
Y Tambe @y_tambe

ただし、これはあくまで「理屈の上での話」。本当にそうなのかは、実際に実験してみないと判らない。正しい手順を踏まえてなされた実験結果が出たとき、その実験結果と理論からの予測が食い違うようなら、両者擦り合わせの上、理論の方を修正する必要も出てくる、というのが大前提。

2011-03-25 10:34:29