パッチで妄想【ジョニー編】

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えいと@ぱられるわあるど @BRPOBYG_eighter

【パッチで妄想・26】 問い詰めるように尋ねる私。 こんな事、聞いたって何もならないって知ってるのに… そんな私の様子をみて、彼は小さくため息をつくと、 「君は知らんでもいいことや…自分でも分かってるんやろ? どちらにしても、僕が君の気持ちに応えることはできんのやから…」

2014-06-05 12:51:38
えいと@ぱられるわあるど @BRPOBYG_eighter

【パッチで妄想・27】 「どうしても、ですか?」 「…ごめん」 始めることすらできなかった、私の恋。 彼の心に住んでいる誰かが、羨ましくて、憎かった。 何処の誰かは知らないけれど、許されるのなら、その人に成り代わってでも、彼の側に居たかった… 暗くて重い心を引きずり、帰る…

2014-06-05 12:51:59
えいと@ぱられるわあるど @BRPOBYG_eighter

【パッチで妄想・28】 何もしたくなくて。 何も考えたくなくて。 なのに、今日の彼の言葉が、ずっと頭の中で繰り返される。 泣きたいのに涙は出てこなくて、心も身体も重くて、このまま闇に沈んで溶けてしまえれば、と願っていた。 今夜も、きっと眠れない…

2014-06-05 12:52:17
えいと@ぱられるわあるど @BRPOBYG_eighter

【パッチで妄想・29】 月日は流れ、少しずつ、少しずつ、彼に会う前の日常へと近づいていく。 あれから、顔を合わせづらくて、店には行かなかった。 少しだけお酒を飲んで、食事をして、踊っている人たちを眺めて…ああいう店は苦手だったはずなのに意外と楽しんでいる自分に驚いていた。

2014-06-09 20:34:44
えいと@ぱられるわあるど @BRPOBYG_eighter

【パッチで妄想・30】 だけど、一番好きだったのは、仕事をしている彼の姿だった。 もう、その姿を見ることも、会うこともできないけれど… 今日も彼は、カウンターの中で、自分の仕事を黙々とこなしているのだろう。 その心に好きな人を思い浮かべながら… 私ではない、誰かを…

2014-06-09 20:35:04
えいと@ぱられるわあるど @BRPOBYG_eighter

【パッチで妄想・31】 それから仕事が急に忙しくなり、感傷に浸る暇もなく時は過ぎていった。 特に、今日は、アクシデントが立て続けに起こり、やっとひと段落ついた時には、疲れ果てていた。 疲れた足を引きずりながらの帰り道、何を考えていたのか、気が付けば、店の近くまで来ていた。

2014-06-09 20:35:31
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【パッチで妄想・32】 その場に立ち止まり、懐かしい想いで店の外観を見つめる。 少しだけ…ここで癒してもらおう。 ここで見ている分には、彼に会うことはないから。 どれくらいそこに立っていたのか… もう、そろそろ帰ろうかと思った瞬間、誰かに肩を掴まれ、強引に振り返らされる。

2014-06-09 20:35:58
えいと@ぱられるわあるど @BRPOBYG_eighter

【パッチで妄想・33】 そこにいたのは、派手めの化粧をした女の人だった。 「あの…」 「あんたさぁ…この間、ジョニーに告白してたでしょう? 何考えてんの? 身の程知らずもいいとこじゃん」 驚きで声も出ないでいる私に構わず、彼女は私を責め立てるように話だした。

2014-06-09 20:36:17
えいと@ぱられるわあるど @BRPOBYG_eighter

【パッチで妄想・34】 「ジョニーはさ、あんたが客だから優しくしてくれただけで、何とも思ってないんだから! 信じられないよね、全く。いい? ジョニーはね、私と付き合ってるんだから、邪魔しないでよね!」 え? 付き合ってるって…そういうこと? 本当にこの人と?

2014-06-09 20:36:38
えいと@ぱられるわあるど @BRPOBYG_eighter

【パッチで妄想・35】 黙ったままの私に、彼女はますます苛立ったのか、 「何とか言ったらどうなの? こんなところで未練がましく見つめて! 彼は、あんたなんかにふさわしくないんだから、さっさと諦めなさいよ!」 何故だろう… 散々ひどい事を言われてるのに、怒りは湧いてこない…

2014-06-09 20:37:01
えいと@ぱられるわあるど @BRPOBYG_eighter

【パッチで妄想・36】 たぶん、この人は彼女じゃない。 そして、私が、あの日、街で見かけた二人に対して感じた想いを、彼女も、彼と私を見て感じただけ。 告白したの知ってるんなら、振られたことも知ってるはずなのに、行き場のない想いをどうする事もできずに私にぶつけてるだけ…

2014-06-09 20:37:14
えいと@ぱられるわあるど @BRPOBYG_eighter

【パッチで妄想・37】 「で? あんたは、どれだけふさわしい言うん?」 後ろから大きな声が響く。 いつの間にか、ジャッキーさんが後ろに立っていた。その後ろには、トッポさんもいて、二人とも黒いスーツに身を包んでいた。 「あいつに彼女できた言う話も知らんけど、本人に聞いてみよか?」

2014-06-09 20:37:31
えいと@ぱられるわあるど @BRPOBYG_eighter

【パッチで妄想・38】 それを聞いた彼女は、悔しそうに唇を噛んで、だけど哀しそうな表情で、人ごみに消えていった。 「女にモテるいうのも、大変なんやなぁ…なあ?」 と、私に向かって笑いかける。 「あ…ありがとうございました」 「別にかまわんよ」 「それじゃ」 「え?帰んの?」

2014-06-09 20:37:51
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【パッチで妄想・39】 「え?」 「店、来てくれたんと違うん?」 「いえ、今日は…」 「最近、ちっとも来てくれへんやん。来たら食べてもらおう思とるメニューあんのに」 「ジャッキー、彼女にだって都合あんねんから…」 「なぁ、ちょっとでええねん、食べてってくれんかな〜。頼むわ…」

2014-06-09 20:38:15
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【パッチで妄想・40】 「ジャッキー」 「お前、うるさい。なぁ、ええやろ?」 そう言うと、返事も聞かずに私の手を引いて店に向かう。 「俺、知らんで。ジャッキー、ほんまに、そういうことには鈍感なんやから」 「何のことや? あ、あいつもあんたの事、気に入っとったから、喜ぶで」

2014-06-09 20:38:34
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【パッチで妄想・41】 「…ジャッキーが連れて帰ったらよろこばんて」 店の扉が開く瞬間、耳に届いたトッポさんの呟きは、ジャッキーさんには聞こえてないみたいだった。 それ、どういう意味なんですか? 確認する間も無く、彼は店の奥に行ってしまい、私はそのままカウンターに向かう。

2014-06-09 20:38:56
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【パッチで妄想・42】 ジョニーさんはいつもと変わらず、カウンターの中で淡々と仕事をしていた。 「ただいま!」 「おかえり…あ、いらっしゃい」 彼が顔を上げて、私に気づく。 そして、繋がれた手に視線を移し、顔を曇らせた。 「彼女な、今、店の前でお前のファンに絡まれとってん」

2014-06-09 20:39:11
えいと@ぱられるわあるど @BRPOBYG_eighter

【パッチで妄想・43】 「え?」 「あの、大したことじゃ…」 「でな、今から試食してもらうんやけど、準備する間、相手しとって」 そう言うと、返事も聞かずに奥に行ってしまう。 気まずい雰囲気が流れる。 「とりあえず座って…何か、飲む?」 「…あの、やっぱり帰ります」 「何で?」

2014-06-09 20:39:27
えいと@ぱられるわあるど @BRPOBYG_eighter

【パッチで妄想・44】 「……」 何も言えずに俯いてしまった私に、 「もし、良かったら、食べてってくれんかな…来たら食べてもらうんやて、ずっと待っててん。今回のメニューは、いつもよりも苦労してたみたいやし。無理に…とは言わんけど」 ずるい… 好きな人のお願いは断れないよ…

2014-06-09 20:39:40
えいと@ぱられるわあるど @BRPOBYG_eighter

【パッチで妄想・45】 仕方なくカウンターの椅子に腰掛ける。 短い沈黙の後、 「さっきの話、ホンマなん?」 「?」 「俺のファンに絡まれたって」 「あ…はい」 「悪かったな…ごめん」 「いえ…何かされたわけではないですし、それに…」 「それに?」 「彼女の気持ちも分かるから」

2014-06-09 20:40:01
えいと@ぱられるわあるど @BRPOBYG_eighter

【パッチで妄想・46】 「そう…」 「彼女、じゃないんですよね?」 「どうやと思う?」 「すまん、すまん。遅うなってしもうた!」 「ホンマに遅いわ…」 「マックが悪いんや。あーだこーだ文句つけよってからに…そんなん言うんやったら自分で行け、言うてきたわ」 「お仕事…ですか?」

2014-06-09 20:40:15
えいと@ぱられるわあるど @BRPOBYG_eighter

【パッチで妄想・47】 「あ、すまんなあ、せっかく時間取ってもらったんに。もうちょっと待っててな」 「いえ…」 楽しそうに料理を作り出したその手元を見ながら、出来上がりを待つ。 ふと、ジョニーさんを見上げると、彼は切なそうに、だけど幸せそうに、彼を見ていた。その表情はまるで…

2014-06-09 20:40:27
えいと@ぱられるわあるど @BRPOBYG_eighter

【パッチで妄想・48】 その表情から目を離せずに見つめていた私の視線に気づいた彼が、気まずそうに目を逸らす。 トッポさんの言葉… 繋がれたてを見た時の彼の表情… そして、今… もしかして、彼が好きな人というのは… 「ジャッキーは、ほんまに、そういうことには鈍感なんやから…」

2014-06-09 20:40:39
えいと@ぱられるわあるど @BRPOBYG_eighter

【パッチで妄想】49 結局、私は、それからまた店に通うようになった。 ジョニーさんの想い人がジャッキーさんんだと知って、驚きはしたけれど不思議と嫌悪感はなかった。 何処かで納得してしまっている自分がいた。 そして、会ってしまったことで、会いたい想いの方が強くなってしまったから…

2014-06-23 18:40:40
えいと@ぱられるわあるど @BRPOBYG_eighter

【パッチで妄想】50 以前のようにカウンターに座って、お酒を飲んで食事をして。 けれど、以前よりは、会話をすることは減ったかもしれない。 話をしなくても、時間が過ぎるのが苦痛にならないという感じ。 だけど、ジャッキーさんはそれが気になるみたいで、よく話しかけてくるようになった。

2014-06-23 18:41:03